社長が訊く
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社長が訊く『スターフォックス64 3D』

社長が訊く『スターフォックス64 3D』

目次

8. 3倍くらいのボリューム

岩田

ジャイロの操作に関しては、
宮本さんの思いどおりになったんですか?

宮本

ええ、僕の思い以上になりました。
そもそもジャイロって、ふつうに考えると
「まずスライドパッドの操作で遊んで、
ある程度うまくなったらジャイロも使えますよ」
というのが、正しい順序のように思うんです。
ところが今回は、
「ジャイロから入って、スライドパッドも使えますよ」
というくらいのほうがわかりやすいんです。

岩田

それくらいジャイロがイチオシなんですね。

宮本

はい。それくらい
気持ちのいい操作ができるようになりました。
これまでのゲームでは、決められた画角のなかで
遊んでいた印象があったんですけど、
ジャイロで遊んでみると・・・
(画面の枠に顔を突っこむポーズをして)
画面に顔が埋まったような感じもあって・・・。

岩田

だからそのぶん、没入感が大きいんですね。

宮本

空間がすごく拡がったというか・・・。
馬車の馬は、脇目ができないように
目隠しを付けたりしますよね。

岩田

はい。

宮本

あれがパッと外されたみたいな。
なので、すごく開放感を感じることができたんです。
それに操作感もいい感じで・・・
たとえばスキューバダイビングをするときに、
両手でつかまる水中スクーターがありますよね。

岩田

はい。スクリューのついた魚雷みたいなやつですね。

宮本

まさに、あれにつかまっている感じなんです。
水のなかを水中スクーターで
ぐわーっと進んでいくように遊べるんです。

岩田

なるほど。

宮本

ただ課題もあって、3DSを動かすと・・・。

岩田

とくに斜め方向を見るには弱いですね。

宮本

そうなんですよね。
もちろん見え方には個人差がありますので、
見えにくいときは3Dボリュームをオフにしてもいいから
ぞんぶんにジャイロを使って遊んでもいいし、
その逆でもいいですし、
自分で好きなように遊んでほしいと思っています。

岩田

いつでも切り替えできるように
3Dボリュームが右上に付いているわけですからね。

宮本

そうですね。
それにジャイロで遊んでいるときも、
スライドパッドにもハイブリッドで対応しています。

天野

だから、ゲームの途中で
スライドパッドで操作したいと思ったら、
触ったその瞬間に切り替わるようになっています。

岩田

つまり、気持ちよくくぐりたいときはジャイロで、
ボス戦のときはスライドパッドで、みたいに、
同じコースのなかでも操作の切り替えが瞬時にできるんですね。

天野

そうです。お好みで楽しんでいただけたらと思います。

岩田

では最後に、お客さんへのメッセージで締めたいと思います。
高野さんからお願いします。

高野

僕は今回、キュー・ゲームスさんがつくってくれたものを
次から次にチェックするような仕事もしていたんですけど、
それがすごく楽しかったんです。

岩田

14年前に自分がつくったのに、ですか?

高野

はい。たとえば、高架の下をくぐるステージも、
N64版のときは上を通過したりしていたんです。
ところがジャイロで操作すると、
高架の下を華麗にくぐり抜けることができて、
「おれってうまいんじゃないか?」
みたいな感じで楽しかったんです(笑)。

岩田

はい(笑)。

高野

なので、初代をプレイされた人たちのなかには
すでにお父さんになっている方もいて、
その人が息子さんといっしょに遊んだときに、
「お父さん、うまいね~」と言われるくらい
ジャイロで快適に遊べるようになったと思いますので、
ぜひ楽しんでいただきたいですね。

岩田

はい。天野さん。

天野

僕は自己紹介のとき、
「高校1年のときに、N64版をひととおり遊びました」
と言いましたけど、じつは全部を遊び切れていなくて・・・。

岩田

はい。

天野

今回遊んで、「3倍くらいのボリュームがあったんや・・・」と。

一同

(笑)

宮本

「大好きです」とか言ってたくせに(笑)。

天野

いや、めちゃくちゃ好きで、
自分では遊んでいたつもりだったんです。

岩田

でも、ぜんぜん遊び尽くしていなかったということですね。

天野

そうなんです。
「おおっ、このステージは初めて!」とか。
キュー・ゲームスさんのスタッフのみなさんのほうが
こまかいところまで詳しくて(笑)。

ディラン

「何なんですか、このステージ?」
とか言ったりしてましたよね(笑)。

天野

ジャイロでプレイすると、
いろんなところをすり抜けることができて、
新しい発見がたくさんあったんです。
なので、かつてN64版を触った人も、
僕と同じような発見を、3DS版でできると思いますし、
初めての方も、同じステージを繰り返し遊んでも
飽きないつくりになっていますので、
ぜひ楽しんでいただきたいですね。

岩田

繰り返し遊んで、どうして飽きないんですか?

宮本

もともと、何度も戻って遊んでほしいという
つくりになっているんです。
別のルートを探してほしいとか。

岩田

そうか。繰り返し遊ばれることを前提に
コースがつくられていたんですね。

天野

そうなんです。
N64版ではステージ進行がセーブできなかったため、
遊びはじめは毎回同じステージを遊ぶことになっていたので
それに耐えられるように、
かなりステージの仕掛けが練りこんでありました。
あと、今回は携帯機ということもあり、セーブ機能を追加したり、
ニンテンドー3DSモードでは、ゲームオーバーしても
コンティニューできるようにして、
できるだけゲームに慣れるまでのストレスを減らしています。

岩田

では、ディランさん。

ディラン

僕は4人までの対戦モードを楽しんでほしいです。
プレイヤーの顔をカメラで撮って、
相手の顔を見ながら対戦することができますし。

岩田

相手の顔はMiiではないんですよね。

ディラン

はい。せっかくカメラが付いてますので、
プレイヤーの顔がリアルタイムに見られるようになっています。
それに、ソフトが1本あれば、
ダウンロードプレイで4人で遊べますし、
遊ぶ人がふたりしかいなくても
コンピューターがほかの2機を担当してくれるので、
それで楽しむこともできます。

宮本

1人対コンピューター3機もできるんですよね。

ディラン

はい。

岩田

では最後に宮本さん、お願いします。

宮本

「そこに憧れていた、宇宙がある・・・」。
あ、いまのコピーは臭いので書かないでください。

一同

(笑)

宮本

でも、それくらい今回は、3DSにすることで、
宇宙感がより出せたように思います。
それに、ディランさんたちにも言ったんですけど、
「これが面白くなかったら、
もう『スターフォックス』はつくれへんよ」と。

ディラン

言ってましたね。

宮本

「これが、初めての人にも受け入れられたら、
『スターフォックス』はまた復活していけるから」と、
それくらいこの1作には賭けたところがあります。

岩田

これが受け入れられるかどうかで、
『スターフォックス』の未来が変わるようです。

宮本

なので、未来を見たい人は、ぜひ遊んでください(笑)。
そうそう、遊ぶときは積極的に
ブレーキを使ってください。
同時にその角度でジャイロが位置補正されるので、
ズレが気になったときもブレーキです。

岩田

なるほど、攻略法ですね。
さて、世の中の人からすると、14年前のゲームが
3DSでリメイクされたことになるんでしょうけど、
みなさんが言ってることを訊いていると、
「古いゲームがリメイクされました」
という感じではないんですよね。
これは『時のオカリナ 3D』(※20)にも言えることなんですが、
一般的な“リメイク”ではないと思うんです。

宮本

エミュレーションを使ったものでもないですしね。

天野

いわゆる移植ではないんですよね。

宮本

うん、新しく生まれ変わったような感じで・・・。

ディラン

そう、“Rebirth(リバース)”というか。
爆発したときのグラフィックなども、
ていねいにつくりなおしていますし。

岩田

そう、全部つくりなおしてるんですよね。

宮本

なので、フェニックスが火の海にじゃぽんと落ちて、
もう1回、生まれ変わってくるような感じがあって。
でも、だからといって『スターフォックス64 フェニックス』では
なんだかわかんないですし(笑)。
実際は、いまの技術を使って
目コピーでつくられているんですよね。

岩田

じゃあ『スターフォックス64 目コピー』ですか?(笑)

一同

(笑)

岩田

ディランさん、次回作も楽しみにしています。

ディラン

ぜひ楽しみにしてください(笑)。

岩田

今日はどうもありがとうございました。

一同

ありがとうございました。

※20
『時のオカリナ 3D』=『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』。2011年6月16日に、ニンテンドー3DS用ソフトとして発売されたアクションアドベンチャーゲーム。