社長が訊く
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社長が訊く『スーパーマリオ 3Dランド』

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社長が訊く『スーパーマリオ 3Dランド』

プロデューサー 篇

目次

5. 2Dマリオと3Dマリオの境目のない未来へ

岩田

最後に、それぞれの立場から、
お客さんへのメッセージをお願いしたいと思います。
では、林田さんからお願いします。

林田

今回は3DSということで、
立体視やすれちがい通信など、
これまでのマリオではできなかったことを
いろいろと実現できていると思いますので、
いままでにない新しい遊び方を楽しんでほしいです。
それからもうひとつ、
今回は 『ゼルダ』をオマージュしたコースが入っています。
部屋を上からのぞいてみるという、
これまでのマリオにはなかったことにチャレンジしました。

宮本

上から見ると、マリオが帽子しかみえないんですよ(笑)。

岩田

マリオって、上から見るようには
機能としてデザインされていないですからね。

林田

でも、これをつくったときに
手塚さんの反応がすごくよくて、
「もう『ゼルダ』しかないでしょう」
という話になりまして、「入れちゃえ!」と。

岩田

ああ、「入れちゃえ、入れちゃえ」ですね(笑)。

林田

そこで燭台もつくって、
例の“謎解き音”もするという・・・。

岩田

え? あの“音”もするんですか?

林田

はい(笑)。

岩田

ゼルダ25周年だからこその企画ですね(笑)。
では、3Dマリオの歴史とともに
歩んでこられた小泉さんから。

小泉

僕は『マリオ64』からかかわっているので、
ま、苦節・・・ではないですけれど(笑)、
もう15年になるんですよね。
今回のメンバー同様、僕も当時は若かったんですが、
毎日、会社に来るのが楽しかったんです。
ゲームというより体験そのものが楽しかった・・・。
ここにくるまでに、いろいろチャレンジしてきましたが、
今回の『3Dランド』は、いままで積み上げたテクノロジーや
数々のトライから発見したものが、全部つまっています。
「2Dと3Dのおいしいとこどり」でもあるんですが、
同時に「3Dの集大成」と言えるかもしれません。
また一歩、新しいステップに進めたかなと思っています。

岩田

「2Dと3Dのおいしいとこどり」だけではなく、
「3Dでやってきたことの集大成」
という手ごたえも同時に感じているんですね。

小泉

はい。『マリオ64』や『サンシャイン』
『ギャラクシー』が持つ楽しさも散りばめているので、
それを探すのも面白いと思います。
このゲームは次のマリオへとつながる
キーワードになるんじゃないかな、とも思っています。
新しい原点、ひょっとしたら分岐点かもしれません。

岩田

わかりました。では手塚さん。

手塚

今回のマリオは
「2Dマリオとのコラボ企画」みたいな印象で、
2Dマリオの仕掛けや敵について、
「3Dならこう見せますよ」
とあちこちで紹介しています。
2Dマリオで遊んできた方に
新たなものを提案できたように思います。
だから今回の『3Dランド』で得たものを
次の2Dマリオに活かしたいなとも思っています。

岩田

このゲームが登場したことで、
2Dマリオも3Dマリオも何らかの影響を受けて、
発展していくかもしれませんね。

手塚

ええ。だからここで使われたネタを
逆に2Dならどう使うか・・・みたいに、
どんどんアイデアをいただこうと思っています(笑)。

林田

ありがとうございます、ぜひ使ってください(笑)。

岩田

はい、では宮本さん。

宮本

いくつかあるんですけれど、
立体視をしなくても遊べるようにつくってはいるんですが、
やっぱり立体視のほうが面白いんです。
だから、まずは立体視になじんでほしいということがひとつ、
この商品の大事なポイントだと思います。
 
それからもうひとつ、はじめて遊んだマリオが
DSの『マリオ64』(※11)という人もけっこういるんですね。
『マリオ64』は、遊んでいるうちに
だんだん攻略できるようになって、夢中になっていくんです。

※11
DSの『マリオ64』=『スーパーマリオ64DS』。2004年12月、DS用ソフトとして発売された3Dアクション+タッチペンミニゲーム。

岩田

探索しているうちになにをすべきかがわかってきて、
攻略できちゃった、という人はいっぱいいますよね。

宮本

アメリカではDSの『マリオ64』は
日本の4倍くらい売れています。
だからアメリカのゲームプレイヤーは
3Dマリオを普通に遊んでいる人が多いんです。
その背景を考えると、
「3Dマリオが難しいので、
 2Dマリオのような入門編をつくりました」
という言い方は、間違ってはいないんですが、
本当はそうではなくて、
みんながまだ・・・慣れていないだけなんです。

岩田

はい。

宮本

だから、まずは1回遊んでみてください。
「3Dマリオは遊びにくい、難しい」
という声もありますが、実際に遊んだ方からは、
「奥にも手前にも行けるし、いろいろなことを
 してみたくなって楽しいです」
という声もたくさんいただいています。
簡単に遊べるし、とても面白いので、
ぜひ遊んでほしいです、ウソはつきません、本当に(笑)。

岩田

『3Dランド』は、いつのまにか
3Dマリオで遊ぶことに慣れていきますからね。

宮本

「3Dマリオは難しいよ」とか、
人から聞いた話に惑わされず、自分で遊んでみたら
きっと楽しい未来が見えると思います。
そして僕らの未来も(笑)。

一同

(笑)

岩田

不思議な存在の商品になりましたよね。
いままで2Dマリオと3Dマリオはわけて語られていましたが、
これを機会にそういったことがなくなるかもしれません。
もともと、
「あんな世界でアスレチックをしたら、
 こんな面白いことができるんじゃないか?」
という思いでつくりつづけた結果、
2Dマリオも3Dマリオも誕生したわけですから。
このゲームを機会に、脳のなかでつくり出された
2Dマリオと3Dマリオの境目がなくなるといいですね。
何年か先に「昔はふたつをわけて語っていたらしいですよ」
と考古学で言われるようになると、面白いなと思います。

宮本

考古学者としてはどう?

林田

あ、はい、僕もそう思います(笑)。

岩田

林田さん、これからもライバルとして、
宮本ウォッチャーとして、ともに極めましょうか?

林田

はい、よろしくお願いします(笑)。

一同

(笑)

岩田

今日はどうもありがとうございました。

一同

ありがとうございました。