社長が訊く
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社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

第13回:『THEATRHYTHM FINAL FANTASY』

目次

5. クリエーターになるということ

岩田

間さんは今回、初めて自分が中心として
つくり手を経験されたわけですけど、
完成したいま、「大変だった」とか、
「おもしろかった、もっとやりたい」とか、
どんな気持ちがいちばん強いですか?

うーん、そうですね・・・。
周りの人には本当に申し訳ないんですけど、
「ぜひ、もっとやりたいなぁ」と思っています(笑)。

岩田

それは今回の経験で、いろんな周囲の人から
フィードバックを受けて、
次へのエネルギーが得られているからですか?

そうですね。それもありますし、
やっていくうちに自家発電みたいに、
どんどんテンションが上がってきたんです。

岩田

あぁ、自家発電ができてるとしたら、
まちがいなくクリエーターに向いてますよ。
その人の原動力と合致しているわけですから。

そうなんですかね?
ありがとうございます(笑)。

岩田

誰に頼まれるわけでもなく、
周りが元気づけてくれなくても、
自然に頭も体も動くわけですから、
結果、自分が報われる循環ができやすいんです。
ただそこに至るまでに、
運不運であったり、ご縁や巡り合わせが
早く来る人とゆっくり来る人の
個人差があったりするんだと思います。

たしかに、そうでした。

岩田

それと今回はある意味、もともともあった
『FF』というコンテンツのエネルギーを
うまく自分のものに変換することができた、
というのはあるんでしょうね。

それはあると思います。

岩田

エネルギーそのものをつくって
生み出さなきゃいけないときって、
たぶんまったく同じチームでやったとしても、
自分が現場にテーマを打ち出して、
次々に判断していくということが迫られるんですけど、
この商品は『FF』へのオマージュとしてできていて、
そのクリエイションのエネルギーが
存在していたわけですからね。

そうですね。そこがまさに、
自分がクリエーターをいちばん尊敬している点で、
タイトルを引っ張っている人たちって、
いまの制作期間だと下手をすると1年以上の間、
ずーっと、一人きりで暗い道を
歩いているような感じじゃないですか。

岩田

はたから見て、そう見えますか?

見えます。
たとえ自分に自信がなくてもそれは言わずに、
「絶対あっちに行けば大丈夫、ついて来い!」
って言わなきゃいけない。
それはきっと、暗くて厳しい道だと思うんです。

岩田

本当は、行き先なんて誰も知らないんですよ。
ただ、「たぶんこっちに行ったらあると思う」、
あるいは「そこに自分の感覚だとか、
判断を信じて突き進む」ってことだと思うんですよね。

それをしてきた人間たちも、
そこから生まれた『FF』も、
本当に素晴らしいとつくづく思っています。

岩田

でも逆に、そういった部分を
今回、自分で経験されたことで、
ますますクリエーターを
敬うようになるかもしれませんね(笑)。

実際それはすごくあります。
自分が彼らほどいろんなものを抱えて、
裸で堂々と歩けるようになるには、
たぶんまだ時間がかかると思います。
でも、「いつかそうなれたらいいな」という気持ちも、
いまは自分のなかに、しっかりとあります。

岩田

わかりました。それでは間さん、
最後にプロデューサーとして
みなさんへメッセージをお願いします。

今回は本当に、自分が最初思い描いていたものよりも、
はるかにおもしろいものになった手応えがあります。
でも結局、自分たちでできることはここまでで、
あとはお客さん一人一人の記憶や経験が、
このタイトルを何倍にも
“化けさせて”くれる可能性があると思っています。
『FF』が好きなすべての方に、
長く楽しんでいただけると思いますので、
まずはぜひ、体験版(※18)からさわってみてください!
ちなみにこの体験版は、以前配信した楽曲とは違う
2曲を3つの難易度で体験できます。

※18
体験版=『THEATRHYTHM FINAL FANTASY』体験版は、ニンテンドーeショップにて配信中。また、全国のお店でも体験できます。お店での体験について、詳しくはこちら。なお、体験版は予告なく終了になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

岩田

今日わたしは、もともとはつくり手として
業界に入ったわけではない間さんが、
どうしてこういう商品をつくったのかをたどるなかで、
まるで何かに吸い寄せられるように、
この場に来ていただいたように思えましたし、
非常に興味深くお話を訊かせていただきました。
 
そして、そんな間さんがつくられた
『シアトリズムFF』が
『FF』にいろんな思い入れを持った方たちの
気持ちや記憶を呼び覚ますきっかけを、
手のひらのニンテンドー3DSで体験できる。
それがどんな風に受け入れられるか、楽しみです。

僕も、すごく楽しみです。

岩田

この商品がたくさんの方に届くように、
我々も引き続き頑張っていきたいと思います。
間さん、今日はどうもありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。