1. 同じ京都にある会社として

岩田

今回の「社長が訊く」は、
いつもとは違う趣向で、社外の方に参加いただいています。
株式会社はてなの近藤さんと二宮さんです。

近藤・二宮

よろしくお願いいたします。

岩田

近藤さん、まずは自己紹介をお願いできますか?

近藤

はい。株式会社はてな(※1)の近藤です。
今日はこのような場にお呼びいただき、ありがとうございます。
 
わたしたちは普段、「はてな」という
インターネットのウェブサイトを運営しています。
2001年からスタートしまして、
主に日本国内で、ブログのサービスとか
写真のアルバムサービス、ブックマークサービスなどを
7年ほどかけて提供してきました。
今回は、任天堂さんのゲームと連携した、
これまでにないサービスを提供するという
とてもおもしろい試みに
参加させていただくことになりました。

※1

株式会社はてな=「人力検索はてな」「はてなダイアリー」をはじめとする、「はてな」の各サービスを開発し、インターネット上で運営。設立は2001年。本社は京都市。

岩田

実は、わたしは毎日のように
今どんなことが世の中で話題になっているのか
「はてなブックマーク(※2)」でチェックしていて、
まさかこれほどすぐにお仕事するようになるとは
思ってなかったんですが、
ひょんなことからご一緒できることになりました。
まぁ、その話は追々することにして・・・
 
近藤さん、近藤さんから見ると、任天堂ってどんな会社ですか?

近藤

おっと(笑)いきなり直球の質問ですね。

岩田

(笑)

※2

「はてなブックマーク」= 気に入ったウェブページをインターネット上で管理できるサービス。他の人が気に入ったページも知ることができ、ウェブで情報を探す、新世代のサービスとして使われている。

近藤

僕は海外での事業展開をめざしていたことがありまして、
2年間ほどシリコンバレーにいたことがあります。
でも、グローバルな展開をするとは言っても
参入するのがなかなか困難で、
その難しさをちょうど実感していた頃に
DSとWiiが発売されたんです。
その時の、とくにWiiの現地での
歓迎されっぷりがものすごかったんです。

岩田

熱があったんですね、
近藤さんがアメリカにいらしたときは。

近藤

いや、熱はいまでも続いてると思うんですけど、
そのとき、日本の企業がつくっているものが
世界の人たちを熱狂させている様子を目の当たりにして、
けっこう感動したんです。
で、その頃から、あこがれと言うか
目標のように感じるようになりまして、
世界中の人たちに熱中してもらえるようなことを
いつか自分たちもやりたいなあと思ったんですね。
そこで、任天堂さんのような世界展開を
日本からでも発信できるんじゃないかと考えて、
2008年の春に、京都に戻ってきたんです。

岩田

もともと任天堂は
「世界」を意識していたわけではなくて、
京都で自分たちがおもしろいと思うものをつくったら
それが日本で受け入れられて、
だんだん世界にも届いていったという歴史なんですね。
ただ、クリエイティブの多くは、京都で育ったわけで、
その意味では「京都発のクリエイティブを世界に届ける」
といったところもありますね。

近藤

だから、今回はご一緒に仕事をさせていただくことになり、
すごいチャンスだなあと思っています。

岩田

ありがとうございます。では二宮さん。
二宮さんは「はてな」のなかで
この仕事に関わるまではどんなことをされていたのですか?

二宮

はてなという会社はエンジニアが多い会社なのですが、
僕はもともとデザイナー出身で
1年半くらい前にディレクターとして入社しました。
入社後は、たとえばミニブログの「はてなハイク」や
写真を共有できる「はてなフォトライフ」、
それに「はてなキーワード」という辞書のようなサービスを
立ち上げたり、リニューアルするときに、
インターフェイスの面から
ディレクションをしていくような仕事をやってきました。

岩田

今回の仕事はどのように舞い込んできたんですか?

二宮

最初に近藤さんと任天堂さんにお伺いして
お話を一緒に聞いていたので、僕がやるのは自然な感じでした。

近藤

彼、「おもしろいもの担当」みたいなもんなんです。
すぐに会社の近くのマンションの一室で
はてな恒例の合宿を、デザイナーとプログラマーの4人で篭って
みんなで考えはじめました。

岩田

じゃあ、今度は、はてなさんを巻き込むことになった
ちょっと変わったモノの種をつくった人たちから
話を訊くことにします。
自己紹介と今回のプロジェクトについて、
話してもらえますか?

小泉

はい。今回はプロデューサーなんですけど、
いろいろやりました、東京制作部の小泉です。
で、隣に座ってるのが・・・。

清水

東京制作部の清水です。

小泉

清水さんは、
東京制作部ができたときから一緒にガッチリやってきた
プレイヤーメイキングのプログラマーで・・・。

岩田

『スーパーマリオギャラクシー』で
マリオの挙動を担当した人ですね。

小泉

『ドンキーコング ジャングルビート』の
ドンキーの挙動もそうです。
とにかくプレイヤーに関して
すごいこだわりを持ってつくってくれました。
2007年の後半に
『マリオギャラクシー』の開発が終わったあと、
「次は、ユニークなチーム編成でやろう」という話になって
いくつかのプロジェクトに加えて
僕と清水さんでチームをつくることにしたんです。
 
 
それが今回のDSi専用ソフト『うごくメモ帳』です。
『うごくメモ帳』はDSiウェアの無料ダウンロードソフトで
誰でも簡単にパラパラマンガを作成できる、あそべるメモ帳です。
 
実は『うごくメモ帳』はDSiで楽しむだけでなく
お客さんが制作した作品を
インターネット上に広く紹介ができるような、
これまでにない掲示板サービスを立ち上げる予定があります。
 
今回、そのサイト、「うごメモはてな」の運営を
はてなさんにお願いしているんです。
 
このプロジェクトは清水さんと僕の2人だけの
放課後プロジェクトとしてはじめました。