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2008年4月25日(金)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

事実、データを調べても、ご覧のように、Wiiでは、任天堂やポケモンのソフトが市場全体に占める割合が極めて高くなっているのは事実です。しかし、これは、時間とともに変わっていく可能性が高いということも言えます。


これはDSのものですが、このグラフでハードの発売から約2年、2006年の下半期から大きく流れが変わってきているのがおわかりいただけるかと思います。
Wiiは、このグラフでは、まだ序盤の3つの半期しか経っていませんから、任天堂の存在感が、やや過剰に大きく感じられるという段階にあるのではないかと考えられます。私達は、自社ソフトいわゆるファーストパーティソフトの使命は、「ハードを購入してでも遊びたい」と感じていただけるだけの魅力あるソフトをプラットフォーム普及の序盤に次々と投入し、ハードが順調に普及していく流れを作ることにあると考えてきました。したがって、ハード発売から2年間くらいの間は、特に重点的にソフトを展開するような流れを準備し作っています。
今、ソフト開発には時間がかかりますし、今回のDSやWiiは、従来型のゲームの進化とは大きく異なる方向に舵を切ったコンセプトでしたから、ソフトメーカーさんがDSやWiiが実際に普及しそうだ、と感じ将来に明るい展望をお持ちいただき、そして、DSやWiiの特性に合わせたソフトを作っていただくには、ハードの発売から少し時間がかかるということではないかと感じています。


ちなみに、世界に目を向けますと、少し様子が違って見えてきます。全世界の出荷ベースで100万本を超えたDSタイトルは、68期で任天堂・ポケモンのタイトルが15タイトルですが、ソフトメーカーさんのタイトルが11タイトルあります。
累計では、任天堂・ポケモンのタイトルが29タイトル、ソフトメーカーさんのタイトルが28タイトルと、ミリオンセラーのタイトル数ではほとんど拮抗するまでになっています。


DSと比べて、発売から日が浅いWiiについても、全世界の出荷ベースで100万本を超えたタイトルは、68期単独で任天堂・ポケモンのタイトルが12タイトル、ソフトメーカーさんのタイトルが8タイトルありますが、累計では、任天堂・ポケモンのタイトルが14タイトル、ソフトメーカーさんのタイトルが12タイトルと、やはりこちらも、ワールドワイドのミリオンセラーのタイトル数ではほとんど拮抗しています。


アメリカでは、海外のソフトメーカーさんが、積極的にWiiのソフトも展開されていますので、既に任天堂の市場シェアは半分を切っています。


DSでも、ソフトメーカーさん主導のソフトマーケットが形成されつつあります。


ヨーロッパ主要4カ国についても、傾向は同じです。


DSは、アメリカに比べると、脳トレブームを始め、Touch! Generations型のタイトルがより強い勢いで売れているヨーロッパで、任天堂のソフトシェアが高くでていますが、それでも、多くのソフトメーカーさんが積極的にソフトを展開され、結果を出されています。
これらのデータを見ると、「任天堂ハードでは、ソフトメーカーさんのソフトが売れていない」というのは、必ずしも実態を表しているわけではない。特に世界全体で見ると。ですからそのようなご批判が必ずしも当たっていないということになることがおわかりいただけるのではないでしょうか。


ソフトの作り手に新たな可能性を開きたいと思って始めたのが、WiiウェアというWiiの新作ソフトをダウンロードするサービスです。
元々、私は開発者として、家庭用テレビゲームの黎明期からゲーム開発に関わってきました。ファミコン初期のゲーム開発は、開発者2〜3人で数ヶ月でゲームが開発できましたが、今は、このような小規模な開発はほとんど成立しなくなってしまいました。
良く例に挙げるのですが、今の時代に新しく『テトリス』のような面白いけれども、シンプルで画像の豪華さで勝負するタイプではないタイトルが出てきたときに、それが市場に受け入れてもらえるチャンスがほとんどなくなってしまっている、ということに、ゲーム開発者出身の私は大きな危機感を感じています。このままの流れでは、資金力に乏しい小規模なチームから新しいものが花開くチャンスが限りなくゼロに近づいてしまうと感じています。
コンパクトなゲームを電子的に配信することによって、在庫リスクから解き放たれることで、ゲームビジネスに、会社規模や資金力ではなく、アイディアで勝負できる新しい舞台を用意する、というコンセプトの元に用意したのが、Wiiウェアです。
日本では、既に配信が始まっていますが、アメリカでは5月12日から、ヨーロッパでは5月20日から、配信を開始することになっています。


アメリカやヨーロッパでも、Wiiウェアの開発が始まっているのですが、海外の参入企業の特徴は、非常に小規模な会社さんが、ビジネスの可能性を感じとられて、積極的に参加されているということです。
20人以下の会社が全体の56%、50人以下の会社というくくりにすれば、全体の3/4の会社がこのような規模になっています。
そういう会社さんが、積極的に参入できるビジネスチャンスがあると感じてくださっているのだと思います。



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