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2010 E3 Expo アナリスト Q&A セッション
質疑応答
Q 7  WiiウェアとDSiウェアについて、今週あまりお話を聞いていません。これらのサービスのパフォーマンスについて、どうお考えですか。ニンテンドー3DSに、同じようなサービスを予定していますか。
A 7

岩田:

 ソフトウェアのダウンロード販売についてどうするかというのは、当然、我々にとって重要なことだと思っています。とくに、現状のWiiウェアとかDSiウェアのサービスというのは、どうやってお客さまの注目をそこに集めるのかという点でいくつか課題があると思っています。当然、ひとつひとつのタイトルのマーケティングにそれほどお金をかけられないわけですから、WiiウェアやDSiウェアを売るのにテレビ宣伝をどんどんするということには、リアリティがありません。

 そしてまた、お客さまが自分から積極的に行動される人ばかりではないということは、実際に私たちがWiiやニンテンドーDSiというプラットフォームを作ってみて痛感していることです。昨日のプレゼンテーションで、ニンテンドー3DSの話の時に、コミュニケーションで新しい試みをしようとしているということをお話ししました。お客さまが能動的に何か操作をしなくても、ニンテンドー3DSがバックグラウンドで通信して、自動的に新しい情報をダウンロードしておいてくれる、という話です。今日、具体的にどういうサービスになるかということまではお話しできませんが、当然、ニンテンドー3DSでもダウンロード販売のことは考えています。ただし、WiiやニンテンドーDSiでやったことを更に前進させないと、能動的に行動しない人には使ってもらえないと思っています。言い換えると、今までのダウンロード販売が、どちらかというとお客さまから見て(お客さまが能動的に行動することで初めて何かが起こる)「プル型のダウンロード販売」だったとすると、ニンテンドー3DSでは「プッシュ型のダウンロード販売」、すなわち、お客さまに何らかの提案が届くことによって、それによってお客さまのアテンションが生まれて、結果、我々の新しい提案、あるいはいろいろなソフトの開発者が作った新しい提案が、お客さまに届きやすくなるようにするというのが、私たちが考えていることです。できることなら、それをお客さまの好みに合わせてカスタマイズできるといいのですが、今日の時点ではまだ、どこまでできるかは詳しくお話しできるところまでは、決まっていないこともあります。(ダウンロード販売を前進させることについて)真剣に考えているということだけはお話ししておきます。

Q 8  とくに欧州でパイラシー(違法複製等の知的財産権侵害行為)が大きな問題になって、業績だけではなく、サードパーティがニンテンドーDS用ソフト開発を敬遠しているようです。ニンテンドー3DSでは、法的その他で、この重大な問題にどのように取り組みますか。
A 8

岩田:

 パイラシーが深刻な問題だというご指摘にはまったく同意します。残念ながら、海賊品の広がりが一定水準を超えてしまったので、簡単に我々がそれを止められないところまで来てしまいました。当然、法的な面からと技術的な面からと、両側からアプローチして、少しでもパイラシーを減らしたいと努力しています。実際、それによっていろいろなことが前進するのですが、その結果は「モグラたたき」のようです。ひとつを潰してもまた別の問題がポンと出てくるのでなかなか簡単にいきません。

 ニンテンドー3DSでは、プラットフォームが新しくなる時に、いろいろなことが対策としてできますので、そのことをしっかりやりたいと考えていますし、ニンテンドーDSに関しても、やってもやってもすぐに対策は破られるのですが、粘り強く対策を続けたいという、2つで考えたいです。

 また、一部の国では、法的にアプローチをしてもパイラシー対策がなかなか十分に行えません。そういう国に関しては、知的財産を守るという観点から、法律的な手だてをもう少し強化してもらうための働きかけも必要だと考えていますが、これは任天堂1社ではなくて業界全体が考えていかなければならないことだと思います。

Q 9  今年3Dが大変注目されていますが、Wiiコンソールで立体メガネを使っての3Dアウトプット計画を教えてください。3DSの写真と動画を見られるテレビに、3DSから3Dアウトプットを送って、テレビで見られるようにする計画はありますか。
A 9

岩田:

 我々が3Dというものに注目し始めて、もう15年以上経ちます。皆さん、バーチャルボーイのことをご存じだと思います。それからゲームキューブの時代にすでに3D対応の回路を入れて、実際に3D対応の液晶パネルを接続して、実際にどう映るかという実験をしたこともあります。

 ただ残念ながら、現在の3Dテレビの普及率では、我々はそこに向かって3Dの据置型ゲーム機を作ることは、ビジネス的にリアリティがありません。もちろん将来、「家庭にあるテレビが3Dであることはまったく珍しくない」という状態になったら、その頃には任天堂が出す据置型ゲーム機はきっと3D対応になるでしょう。それに対して携帯型ゲーム機の場合は、スクリーンとゲーム機が一体ですから、それを買っていただいたお客さまは全員、100パーセントの割合で、3D体験が味わえます。これが、任天堂が3Dのゲーム機として最初に携帯型ゲーム機を提案している理由です。3Dの据置型ゲーム機を作ることはいつでもできることなので、3Dテレビが普及する頃に考えたいと思います。

 今はニンテンドー3DSで撮った3D写真を、ニンテンドー3DS同士で共有することについては積極的に考えたいと思いますが、今のところそれ以外のスタンダードが私の目には見えていないので、スタンダードが見えたらどうやってそこに向かって3Dの写真をシェアするかを考えたいと思います。


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