株主・投資家向け情報

2010年10月29日(金)経営方針説明会 / 第2四半期(中間)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文
| 1 2 3 4 5 6 7次のページへ

本日は、お忙しい中、当社の経営方針説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の岩田でございます。
例年は最初に、前日発表した中間期決算についてその概要をご説明しているのですが、先月、任天堂カンファレンス終了後の業績予想の修正発表でお話しした数字と実績はほとんど差がございませんでしたから、本日は、数字面のご確認は省略させていただきます。しかし、一部報道で、「営業で赤字」であるかのように誤解されかねない報道がありましたので、「営業は黒字」であり、542億円という営業利益をあげているということと、保有外貨の額は変わらなくても、四半期決算ごとにそのときの為替レートで円に計算しなおすことによる計算上の「為替評価損」が多額になったことによって、結果的に「経常赤字」になっているということのみを申しあげておきたいと思います。


それではまず、世界のゲーム市場の現状について、 アメリカ、ヨーロッパ、日本の順にお話ししたいと思います。
ニンテンドーDS、Wiiで急拡大した任天堂のビジネスは、既にピークアウトしたと見ておられる方が多いと思います。その中で対前年比と市場シェアだけをご説明しても、ゲーム市場の全体像を必ずしも正しくご理解いただけないのではないかと思いましたので、今日は、新たな視点も交えてご説明したいと思います。


まず、アメリカの市場からです。


これは、任天堂がNINTENDO64を発売した1996年以来の各暦年ごとの、ハードメーカー別のハード合計セルスルー台数の推移を、NPDのデータを元にグラフにしたものです。このようなグラフにしてみると、2007年、2008年、2009年の3年間の任天堂のハードの販売台数は、業界の歴史上例のないレベルに到達していることがわかります。昨年の今頃、当社のビジネス規模は前年対比でかなりのマイナスになっていましたが、幸い、年末に販売を伸ばすことができ、このグラフの一番右にありますような結果になりました。
今年、2010年の結果は、年末商戦次第になりますが、任天堂の販売台数、すなわちWiiとDSの合計台数が1500万台を下回ることはないと予想しております。
年末商戦前に「任天堂自身の前年比」だけに注目されるのか、それともこのような流れの中で、市場全体の中での任天堂の存在感に注目いただくかによって、任天堂に対する評価は大きく異なることになるのではないかと思います。


以前からご紹介していますが、任天堂では、定期的にゲーム人口の推移を調べています。これはアメリカのゲーム人口の推移です。このグラフにおいて、青でお示ししているのは、過去1年以内に家庭用ゲーム機、これは、任天堂のゲーム機だけではなく、他社さんのゲーム機も含みますが、何かでプレイした経験のある人で、私たちは、アクティブユーザーと定義しています。黄色で示されているのは、かつて家庭用ゲーム機で遊んだ経験をお持ちでも、過去1年間は遊んでおられないお客様で、スリープユーザーと定義しています。ピンク色は、これまで家庭用ゲーム機で遊んだ経験を全くお持ちでないお客様で、ノンユーザーと定義しています。
ちょうど直近の調査の結果が入手できましたが、ご覧のように、夏の間も全人口の62%という非常に高いアクティブユーザー比率が維持できましたが、一方でゲーム人口が伸び悩んでいるように見えると思います。しかし、この中で、DSやWiiを楽しまれている方々を色分けしますと、


ご覧のようになります。
WiiやDSの販売ペースが落ちていることから受ける印象とは異なるかもしれませんが、アメリカにおけるWiiやDSで遊んでいただいているお客様の拡大は続いております。


これは、このゲーム人口調査で継続的に調べているWiiとDSを遊んでおられるお客様の数の推移です。アメリカでは、特にWiiを遊んでおられるお客様が順調に増えていて、最新の調査では、ついに1億人を突破しました。
さて、それでは、まず、据置型ハードの販売の推移をご覧いただきます。


これは、昨年と今年の1〜9月のNPDのデータを元に、アメリカ市場で毎月1週間あたり、Wii、PS3、Xbox360が何台売れているのかを示すグラフです。薄い色が昨年、濃い色が今年です。以前にもお話ししましたが、NPDの月別データは、4週間の月と5週間の月がありますので、1週間ごとの平均値としてグラフを作ってお見せしています。
昨年と比較して目立つのは、Xbox360が6月にハードをモデルチェンジしてから、4カ月連続で据置型ハード市場をリードしていることです。Wiiは、3月から8月までは、昨年とほぼ同じような推移でしたが、昨年9月には値下げがあったこともあり、昨年実績との差が少し大きくなりました。
昨年、年末に爆発的に売れたWiiも、昨年の今の時点ではその爆発の兆候はまだ数字には表れていませんでしたし、今年の年末商戦の始まりは遅かった昨年と比べてもさらに遅くなると言われており、直近でも据置型ハードの販売数が大きく伸びてはいないようです。
今年は、昨年にも増して、感謝祭とクリスマスのピークをいかに最大化するかが年間のビジネス規模を例年以上に左右することになると、私たちは予想しています。


これは、アメリカ市場における2008年から2010年までの1〜9月の据置型ハードの販売台数をNPDデータを用いて比較したものです。やはりこのグラフでも、この時期のXbox360の変化がわかります。今年に入ってからの販売量は、WiiとXbox360はほとんど同じになっています。
昨年と同様に、年末商戦でWiiの勢いを再び取り戻すことが、私たちが年末商戦で目指していることです。


こちらは、アメリカにおける据置型ソフトの販売本数の推移です。
アメリカでは2008年まで急激にゲーム市場が拡大した反動もあり、前年に引き続き、対前年比マイナスの状況が2年続くことになりました。


| 1 2 3 4 5 6 7次のページへ

このページの一番上へ