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2012年10月25日(木)第2四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡

一方で、足下に勢いのない、とくにアメリカやヨーロッパの市場で、Wiiやニンテンドー3DSが本当にこの年末商戦で計画どおり売れるのか? ということについても、お話しする必要があります。

まず、Wiiについては、通期で500万台の見込みであるのに、上期には132万台しか売れていないわけで、しかも下期にはWii Uが発売されるわけですから、日本にお住まいのみなさんの感覚からすると、そんなに売れるはずがないと感じられるかもしれません。しかし、アメリカやヨーロッパでは、価格が下がってお求めやすいゲーム機には、新たな市場が存在する、というのは、これまでも繰り返し証明されていることですし、先ほどお話しした、アメリカでのニンテンドーDSi、ヨーロッパでのPSPの販売状況が示すとおり、裾野が広いマーケットですので、価格帯ごとに全く新しい潜在需要があります。アメリカでは先週、希望小売価格を129.99ドルと、これまでより20ドル安く設定し、『Wii Sports』と『Wii Sports Resort』をひとつのディスクにまとめたソフトを同梱した新しいWii本体のセットを発表し、出荷を開始しております。年末には、家族が集まって楽しく過ごすという機会がありますので、今年、WiiとWii Uは、異なるお客様にお買い求めいただくことになり、自社内での競合が起こることはないと考えています。

ニンテンドー3DSについては、満足はしていないものの、足下の勢いは、昨年の値下げ後の同じ時期を上回っていますし、

 


10月にアメリカやヨーロッパで発売された、『ポケットモンスターブラック2・ホワイト2』の発売に伴って、ニンテンドー3DSハードの販売水準も上昇し、年末に向かって勢いは加速しつつあります。このソフトはニンテンドーDS向けのソフトではありますが、ニンテンドー3DSの『ポケモンARサーチャー』・『ポケモン全国図鑑Pro』などの3DSダウンロードソフトと連携していることもあり、ニンテンドーDSiが比較的好調に推移しているアメリカでも、販売が伸びているのはニンテンドー3DSになっています。これは、勢いの維持に苦労した昨年10月との大きな違いであり、そこに、『マリオカート7』や『スーパーマリオ 3Dランド』などの、定番タイトルに加えて、

 


この夏に発売され、まだ、需要の多くが残っている『New スーパーマリオブラザーズ 2』、そして、年末発売予定の『ペーパーマリオ スーパーシール』、そして、

 


ご覧のようなソフトメーカーさんからのタイトルも充実してきます。ニンテンドー3DSについては、認知は高まり、購入を検討されているお客様が増えていることもわかっていますので、この年末に大きく勢いを獲得するように進めていきます。

 


また、これから重要性がますます高まるデジタルビジネスについても、少しご説明しておきたいことがあります。

まず、デジタルビジネスを展開するには、ゲーム機をネットワークに接続していただくことが大前提となりますが、

 


ニンテンドー3DSのネットワーク接続経験率は、この9月末でのデータで、1年前と比較して約10%上昇し、世界全体で72%になりました。とくに、ネットワーク接続率の高い日本とアメリカでは、ネットワーク接続率が80%を超えて、今もさらに上昇傾向にあります。相対的に、ヨーロッパやオーストラリアの伸びはマイルドになっています。
このひとつの背景は、ニンテンドーゾーンのように、ハードウェアにネットワークの接続設定をしなくても「いつの間に通信」を可能にする拠点の充実度の差があると思いますし、日本やアメリカでは、お客様同士が、お互いにネットワークに接続することのメリットを教え合っていただける段階になってきています。

 


ちなみに、1年前からNintendo Directという、任天堂のゲームに関する新しい情報をゲームファンのみなさんに直接お届けする新しい試みを続けており、今月で1年が経過しましたが、ニンテンドー3DSのインターネット接続率の高まりによって、私たちにとっても想定外のことが起きています。

ニンテンドーeショップではライブ放映では見られませんし、ニンテンドー3DSのブラウザーでは動画の再生ができませんので、Nintendo Directをライブ放映で視聴されるみなさんは、パソコンやスマートフォンをお使いになっています。それだけでも、相当な視聴数になっていることは、「ニコニコ生放送」や「Ustream」の視聴数カウントでおわかりだと思いますが、放映後1週間くらいすると、最も多くの方がご覧になる経路は、

 


ニンテンドーeショップなのです。これは、Nintendo Directをはじめたときには想像もしていませんでしたが、ネットワーク接続率の高まりは、こういうところにも効果を発揮しています。
ニンテンドーeショップは、ダウンロードソフトの購入だけでなく、ソフトに関するプロモーション映像を見たり、試遊版のダウンロードができるようになっていますが、Nintendo Directのようなライブ映像の視聴はできません。しかし、ライブ放映後にはNintendo Directの映像が見られるようになり、定期的にニンテンドーeショップを訪問される多くのお客様に、Nintendo Directの映像をご覧いただけています。
ニンテンドーeショップでNintendo Directをご覧いただくと、すぐに、3D映像や体験版をお試しいただくことができますので、ゲームに関する情報を得る新しい経路が生まれたということでもあり、非常に興味深いことだと感じています。

 


これは、これまでのダウンロード売上高の推移です。3年前まで右肩上がりで売上を伸ばしていましたが、一昨年、昨年と、ダウンロード売上は大きく伸ばせていませんでした。
しかし、ご覧のように、今上半期は、前年対比で50%のアップとなっており、過去最高であった3年前の上半期に近い水準になりました。このときには、累計でWiiが5614万台、ニンテンドーDSiが1017万台出荷されており、両プラットフォームの稼働率が高いタイミングでしたから、現時点でニンテンドー3DSが普及途上で累計出荷台数が2219万台であることを考えると、当時と比べても、デジタルビジネスに勢いが出てきたことがおわかりただけると思います。
この伸びの要因には、追加コンテンツや、7月から開始した、

 


パッケージソフトのダウンロード販売が含まれています。

まだ、マス宣伝を行っているわけではありませんが、9月末時点では全世界ベースでソフトにより違いはあるものの、パッケージ版とダウンロード版を併売したソフトの販売数の3%強から10%強のレンジでダウンロード版をご購入いただいております。直近では国内市場において、併売ソフトのうち、累計販売本数に占めるダウンロード版の販売数が15%に達しているソフトもありますので、新たな試みとして順調なスタートが切れたと受け止めています。
また、すべての地域でダウンロード版が販売されている『New スーパーマリオブラザーズ 2』について地域別に比較すると、とくにアメリカのお客様がダウンロード購入に積極的で、日本がそれに続き、ヨーロッパやオーストラリアでは、相対的にダウンロード版の比率が低くなっています。
また、『鬼トレ』のように毎日少しずつ楽しんでいただくソフト、『新 絵心教室』のように、いつでも持ち歩いておきたいソフトの場合は、その特性をご理解いただいたお客様が積極的にダウンロード購入されていますので、ダウンロード版の比率が高くなっています。

 



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