株主・投資家向け情報

2013年10月31日(木) 第2四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡

また、『Wii Fit U』については、Wiiで『Wii Fit』『Wii FitTM Plus』などを多くのみなさんにお楽しみいただいたこともあり、「バランスWiiボード」がすでに世界中で約3700万台普及していますので、この「バランスWiiボード」をお持ちの皆様を対象に、「Wii Fit U 1か月無料先行体験キャンペーン」を実施することにいたしました。これは、Wii U本体と「バランスWiiボード」をお持ちのお客様には、『Wii Fit U』のソフトを無料でダウンロードしていただき、1か月間このソフトの全機能をお楽しみいただけるようにするというものです。
このキャンペーンの発案者は私自身なのですが、投資家やアナリストの皆様の中には、「売れるソフトを無料で配るというのはどういうつもりなのか?」という疑問をお持ちになる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、Wii Uに発売当初のような勢いがない現時点では、普通にソフトを宣伝して発売するだけでは、社会の話題にしていただけることは期待できず、ゲーム関与が高くない一般のお客様にも、Wii Uに注目していただくことは困難だと考えました。
幸い、私たちの調査によると、『Wii Fit』や『Wii FitTM Plus』を今でも継続的にお楽しみいただいているお客様の割合は決して小さくありません。例えば日本での調査では、今でも50万人以上の方が「バランスWiiボード」を日常的に活用いただいているという結果が出ていますし、他地域でも同じような傾向が出ています。まず最初の段階として、このようなお客様に、Wii Uへのアップグレードをしていただけるようにすることが、このソフトの販売を長期的に最大化する最善の方法と考えたということがその背景にあります。もともとの『Wii Sports』も『Wii Fit』もそうでしたが、このソフトは初動だけで勝負するタイプのソフトではありません。確かに、このキャンペーンにより、初動分の売上や利益は犠牲になりますが、実際に『Wii Sports』や『Wii Fit』は、気持ちの良い汗をかきながら、普段使わない筋肉を使って運動し、結果、「テレビの前で運動してスッキリしたが、筋肉痛にもなった」というようなことも含めて、多くのみなさんの話題にしていただいたことで多くの方に広がり、長期にわたった大きな数量が売れたソフトです。先行体験をきっかけに、このような話題を広げていただき、ロングセラーとすることを目指していきます。


ちなみに、これは、『Wii Fit U』と組み合わせて使う周辺機器で、私たちが「フィットメーター」と呼んでいるものです。『Wii Fit U』ソフトを発売する際には、ソフトとセットで、この「フィットメーター」をひとつ同梱します。
これは、単なる歩数計ではなく、活動量計と呼ばれるもので、加速度センサーによりその日の消費カロリーを自動的に計算します。さらに通常の活動量計にはない、気圧変化により高度変化を感知する機能も備えており、通常の歩行と、坂道の上り下りなどを検知し、歩数が同じでも条件によって異なる消費カロリーの違いを算出することもできるようになっています。
『Wii Fit U』では、1日の消費カロリーの目標を設定しておき、日常の活動による消費カロリーをこの「フィットメーター」で測定して、帰宅後、その日の消費カロリーが目標に到達していない分を『Wii Fit U』で運動する、というような、ご家庭にいない時間帯も含めて、1日トータルでの運動をサポートするという新しい提案も含まれています。
先ほどご紹介した「Wii Fit U 1か月無料先行体験キャンペーン」では、本日から単品で発売している「フィットメーター」をお買い求めいただいて、ソフト内でペアリングと呼ばれる登録操作を行うと、1か月の無料お試し期間終了後も、全機能をそのまま継続的に利用できるようにいたしますので、キャンペーンを活用いただいてお試しいただく多くのお客様に、「フィットメーター」による新しい体験も合わせてお楽しみいただくことを期待しております。


先ほど、「ひとつのタイトルの発売だけで、簡単には状況が変えられない」ということを申し上げましたが、「幅広いお客様にアピールすることのできる複数の有力タイトルによって、Wii Uを取り巻く流れを大きく変える」ことが、今年の年末商戦におけるWii Uの目標になります。


日本では、ちょうど本日から、「すぐに遊べるファミリープレミアムセット」として、従来のプレミアムセットに、有力ソフトタイトル2本をあらかじめ内蔵し、周辺機器もセットにした、お買い得なセットを発売いたします。
今月中旬の『ポケットモンスター X・Y』発売まで、マーケティング活動をニンテンドー3DSに集中させていたこともあり、Wii Uの市場での存在感をアピールできていませんでしたが、この2週間ほど、Wii Uのマーケティング活動を積極的に行ってきたことは、日本にお住まいのみなさんはお気づきのことと思います。すでに予約などから反応が出てきているので期待できる状況だと感じていますが、今週から年末にかけて、Wii Uを取り巻く状況を大きく変えることを目指してまいります。


また、海外市場では、11月よりご覧のような、『New スーパーマリオブラザーズ U』と『New スーパールイージ U』のふたつのソフトを同梱した、新たなバンドルを発売します。
海外市場では、アメリカでは9月下旬に、ヨーロッパでは10月上旬に、『ゼルダの伝説 風のタクトHD』の発売に合わせてWii Uの価格改定をいたしましたが、先ほどご説明した『Wii Sports Club』や、『Wii Fit U』『Wii Party U』『マリオ&ソニック AT ソチオリンピック™』などのタイトルと、この新たなバンドルを組み合わせることで、年末に向けて、大きく流れを変えることを目指していきます。


さて、この間、このような場でお話しするたびに、「任天堂が環境変化に対応し、今後の新たな収益機会を拡大するために、デジタルビジネスの大幅な拡大が大変重要である」ということを繰り返し申し上げてきました。


これは、前期までのダウンロード売上高の推移です。2011年3月期、2012年3月期とダウンロード売上高は停滞していましたが、前期にダウンロード売上は、前の年の2倍以上に一気に伸び、過去最高のダウンロード売上高になったことを、4月の決算説明会でお話ししていました。
今期の上半期のダウンロード売上は、昨年の下半期を超えて、前年度の上半期の2倍以上の114億円になりました。この中で、パッケージソフトのダウンロード販売がおおよそ半分くらいを占めていますが、一方で、パッケージソフトのダウンロード販売以外のデジタルビジネスも順調に拡大しています。
これは、

  • ニンテンドー3DSやWii Uのネットワーク接続率が、これまでの当社プラットフォームよりもかなり高く、多様な課金の仕組みが整い、ダウンロード専売のソフトやサービスが充実してきたこと
  • ニンテンドーダイレクト視聴の最大経路がニンテンドーeショップになっていることなどが示すように、ニンテンドーeショップが、ゲームに関する情報を得るためのチャネルとして、定期的にお客様の間で活用いただけるようになってきたこと
  • 小売店さん経由のPOSAカードなど、デジタルビジネスにおける支払い方法の拡大を進めたこと

など、過去2年ほど取り組んできたことが結果につながり、デジタルビジネスもようやく拡大期に入ったと言えるのではないかという手応えを感じています。


ちなみに、先ほどPOSAカードという表現をいたしましたが、Point Of Sales ActivationでPOSAと呼んでおり、店頭でレジを通るときに初めてアクティベーションされる仕組みで、小売店さんに在庫リスクを持たずに店頭に陳列をしていただくことができ、メーカー側は、デジタルビジネスにおいて非常に重要な、「どうやってお客様に認知いただくか」というポイントを、店頭での露出という、これまでのパッケージソフトに近い方法で進めることができ、お客様も品切れなどが起こりにくく、必要なときにいつも馴染みの支払い方法でお買い求めいただける、という方法です。
このPOSAカードは、パッケージソフトのデジタル販売だけではなく、一部のデジタル専売ソフトでもPOSAカードでの店頭販売にチャレンジしているほか、ニンテンドーeショップでの支払いに使えるプリペイドカードとしても使われています。


その中でも、ご覧の「いっしょにフォト」というシリーズは、遊べるPOSAカードとして、ニンテンドー3DSのAR撮影機能を使ったソフトを無料ダウンロードいただくことによって、マリオキャラクターと写真を撮影できるARカードのおまけ付きのカードで、すでに130万枚を超える人気商品になっています。このような、プリペイドカードそのものを遊びに変えていくような展開も、引き続き進めていきます。
以前にもお知らせしたように、Wii Uでは、搭載されているNFC機能を活用して、交通系電子マネーで日本で最も普及が進んでいるJR東日本様のSuicaを用いて、決済が実現できるように、検討を進めています。


また、今期のデジタルビジネスにおけるひとつのハイライトとしては、ニンテンドー3DSに内蔵され、多くのみなさんにお楽しみいただいている「すれちがいMii広場」で、新しい追加ゲームを追加コンテンツとして購入いただけるようになったことがあります。
このソフトでは、もともと、『ピースあつめの旅』『すれちがい伝説』というすれちがい通信を活用したゲームをお楽しみいただけるようになっていましたが、それに加えて、



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