株主・投資家向け情報

2014年5月8日(木) 決算説明会
質疑応答
本文の一部を引用される場合は、必ず、本ページのURLを明記、または本ページへのリンクをしていただくようお願いいたします。
Q 1

 今期のWii Uハード予想販売台数は360万台ということだが、この台数と、今期のWii Uハード生産予定台数との関係、および損益に対するインパクトを知りたい。また、Wii Uプラットフォームの各種ネットワークサービスやゲームと連動するフィギュアの展開など、今日いろいろなご説明があったが、従来の御社の考え方では、基本的には面白いソフトがハードを牽引していく、ということだったと思う。その従来の考え方に変わりはないのかを確認したい。

A 1

取締役社長 岩田 聡:

 360万台という予想販売台数についてですが、今期主軸となる『マリオカート8』そして『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』という、「ひとりでもみんなでも」楽しめる、「これがあればハードごと買ってもいい」と多くの方に思っていただける、Wii U発売前から開発を進めてきた大定番のソフトを2つ発売しますので、「この2本を軸に、今期これだけは売ろう」と設定した予想販売台数です。収益インパクトという観点から申し上げますと、360万台を販売するためには、今ある在庫以上に多少は生産しないといけないのですが、ハードの逆ざや、すなわち生産コストの方が販売価格よりも高くなっている分については、既に前期の決算で会計処理をしてありますので、今期360万台を販売することでハードでの損失が出ることは、ほぼないと考えていただいて結構だと思います。

 「任天堂の従来の考え方は変わっていないのか」ということについては、「ハードというのは面白いソフトがあるから仕方なく買っていただくものである」という考え方が基本であることは何ら変わっておりません。今日はWii Uソフトに関しては『マリオカート8』と『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』のお話しかしておりませんが、6月にロサンゼルスで開催予定のE3では他のソフトについてもお話しします。また今期、宮本茂(専務取締役 情報開発本部長)が指揮する当社の内作ソフト開発チームは、「Wii U GamePadの存在意義を多くの方に分かっていただこう」ということで、そこ(Wii U GamePadがあるからこそ実現できるユニークな体験)に重点を置いた複数のソフトの開発を進めています。E3でお見せするWii U GamePadを活かしたソフトの中には、かなり完成に近く見えるものから、「開発の初期段階だが面白さのコアはこれで分かった」というようなものまであり、そのようなソフトを複数お目にかける準備をしています。あくまで「ソフトがあるから」という点において、従来から考え方は変わりません。

 先ほどのフィギュアの話については、この3年ほど、Activisionさんが『Skylanders』というゲーム、去年からはDisney Interactiveさんが『Disney Infinity』というゲームを展開されており、どちらもゲームとフィギュアが連動するシリーズで、非常に大きなマーケットになっています。特に海外では、お店の売り場で巨大な場所をとり、大きな存在感を持つ商品群となっています。「私たちもフィギュア連動ゲームをつくろう」というよりは、「フィギュアを使った異なるアプローチの仕方、アピールの仕方があるのではないか」、あるいは「こういうことも、任天堂がキャラクターIPを活かす1つの形ではないか」ということで、昨年から開発を進めておりました。今年1月の経営方針説明会でキャラクターIPの積極的な活用についてお話しした時にも、「E3では(今日発表させていただいたNFPを具体的な形で)お見せできそう」というようなこともイメージしながらお話をしていたのですが、キャラクターIPの積極活用というと「どこに、どのようなライセンスをするんですか」という話ばかりに注目が集まっていましたので、今日は「自社でもこんなことをしますよ」という話をさせていただきました。ただ、「ゲームプラットフォームはソフトが主軸であり、そこにユニークで新しくて圧倒的に面白い体験をつくる」という覚悟を基本に置いていることは何も変わっていません。ぜひ、そのご期待に応えるように努力したいと思います。

Q 2-1

 先ほどの岩田社長のプレゼンテーションにおいて、今期は収支バランスの回復を最優先する年という説明があった。中期的な話になるが、来期(2016年3月期)と再来期(2017年3月期)をそれぞれどのような年にすべきと思っているかについてコメントしてほしい。また、在庫の評価減などを前期でかなり行い、今期はある程度の業績回復が見えていると思うが、来期以降については、どのようなものが業績を伸ばしていくためのドライバーとなっていくのか。もしくは、新規事業も始まるのでいったんまた投資が膨らむ年になるのか。業績のイメージもあわせて説明してほしい。

A 2-1

岩田:

 今期については、「いったん崩れてしまった収支のバランスをしっかり回復させる」ということは、市場の皆様に信任をいただくためにも必須だと思っています。一方で、来期、再来期について、今、具体的な数字で語ることは難しいですが、1月の経営方針説明会で「任天堂が中期的にこういうことをやっていきます」とお話ししたようなことが具体的に見えてきて、その一部が世の中に提案されはじめる年というのが来期だと思います。再来期になりますと、そこから収益の柱になるものが育っていくというようなイメージを持っています。その意味では、「来期にいきなりものすごく収益が回復する」というよりは、「再来期ぐらいから本格的に任天堂らしい収益が出せるようにしていきたい」というのが私自身のイメージです。

Q 2-2

 今後の方針ということで複数挙げているが、収支バランスを保ちながら時には(投資の)アクセルを踏まなければならないと思う。その観点から、優先順位について何か考えがあれば聞かせてほしい。

A 2-2

岩田:

 長期的な企業価値の向上がもちろん最も重要ですが、それだけが優先されて、1年単位の短期の収支を一切無視するということはできませんので、「収支バランスを一定レベルに保った上で投資をしていく」ということが必要だと思います。ただ、「任天堂らしい利益水準をいつ出せるのか」という意味では、この2年ほどは少しお時間をいただきたいと思っています。

 重点としては、1つはキャラクターIPに関しては実際に今期から今日お話ししたような活用が始まりますし、「具体的な姿が比較的早く見えてきやすい」、あるいは、「今後何をやるかが見えてきやすくなる」と思います。それから、1月の経営方針説明会でお話しした新規事業領域への挑戦、すなわち「QOL(Quality of Life)を楽しく向上させる」プラットフォーム事業については、「今年中に『こういうビジネスです』ということを具体的にお話しして、来期に事業を開始し、再来期には収益に貢献できる」というようなスケジュールになると思います。それから、「スマートデバイスを活用することで、私たちのゲームプラットフォームのビジネスをもっと活性化できるのではないか」と考えていますので、それについては、今期と来期の間にかなり姿が見えて、実際の結果も見えてくると思います。「プラットフォームの定義を変える」というお話も、やはり2年ぐらいは時間が必要かと思っています。このようなスケジュールで、中期的にお話ししたことについて形が見えるように、そして実際の結果につなげるようにしていきたいと思います。いくつかのことを同時に進めないと、私たちにとって良いフィールドをつくり出せないと思っていますので、それらを今お話ししたような時間軸で考えています。


このページの一番上へ