物語り


ここは、クマのバンジョーが相棒のトリのカズーイとのんきに暮らす、クルクルやまのふもとです。
平和なその場所を見おろすように、なんだか不気味な岩山がそびえています。あれはグランチルダのとりで。悪〜い魔女、グランチルダの隠れ家です。

おやおや、隠れ家の奥深くでグランチルダが何やら始めたようです…。

「お〜〜〜ナベ、ナ〜〜〜ベ!
 ナベのディングポットよ!
 世界で、いちば〜〜〜んきれいなのは
 ダ〜〜〜レぢゃ?」
グランチルダは
大きなナベに向かって言いました。
「グランチルダさま。
 もちろん、あなたさまです。
 あなたさまのお美しさで、
 わたしはイキがつまりそうです。ゲホッ」
大きなナベが答えます。
グランチルダは満足そう。
「おっと…、失礼しました。
 もっときれいなコがおりました」
「それはどういうい〜〜〜みじゃ!
 わしよりきれいなコなど、
 この世におるわけな〜〜〜い!」
「そのコは、チューティという名前です。
 彼女こそが、この世でいちばんきれいで
 ございます」

それを聞いて怒りまくったグランチルダは、ナベをガンガンたたくと、愛用のホウキにまたがり、とりでの外へと飛び出しました。この世でいちばんきれいだというチューティをさらい、生けにえにするために…。
グランチルダは生けにえから美しさをしぼり取る、恐ろし〜い発明品を持っているのです!

その頃チューティは、兄のバンジョーの家へと向かって、クルクルやまのふもとを歩いていました。モグラのボトルズが地面から顔を出し、チューティに声をかけます。
「やあチューティ。おでかけですか?」
「うん。ネボスケお兄ちゃんと冒険旅行に行くの」
「あそこにいるのが君のお兄さんですか?」
ボトルズが指さした先に見えたのは、ホウキに乗って空を飛ぶ…、グランチルダでした!
「違うわ!あれは誰?」
「おいで。お〜〜〜いで。
 かわい〜〜〜いムスメや。
 おまえを、あっっっという間に
 みにく〜〜〜くしてやるよ!」
「キャー、なにすんのよ!
 手を離して。ウエェーン」
グランチルダはすごいスピードでチューティに近づくと、むりやり彼女の腕をひっぱり連れ去ってしまいました!

そんなことは何も知らずに、バンジョーはまだ夢の中です。相棒のカズーイが、お気に入りのリュックの中から叫びます。
「バンジョー! 起きろ〜!」
「ムニャムニャーン。どうしたんだい? カズーイ」
ようやくベッドから抜け出したバンジョー。でもまだ半分眠っているようです。
「なんか、おもてが大変ヨ。すぐに行かなきゃ!」
おもてに出たバンジョーとカズーイの目の前に、モグラのボトルズがボーゼンと立ちつくしていました。
「バンジョー、君の妹のチューティが
 悪い魔女グランチルダにさらわれました!」
それを聞いたバンジョー、ようやく目が覚めたようです。

さあ、グランチルダからチューティを取り戻すため、
バンジョーとカズーイの大冒険が始まります!



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