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スペシャル対談 田尻智さん(ゲームフリーク)VS石原恒和さん(クリーチャーズ)対談
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前編言葉の壁を越えたゲーム

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Q『ポケットモンスター』も海外で高く評価されましたね。
石原さん● 石原>> それは正直に言って意外でした。『ヨッシーのたまご』も『マリオとワリオ』も説明する言語がいらないタイプのゲームじゃないですか。取扱説明書を読まないでゲームをはじめたとしても、3回くらいゲームオーバーになれば何をすればいいゲームなのかがわかるという。つまりテキストを必要としないゲーム作りがなされていたわけで、世界中の遊ばれ方に対して共感できる要素がちゃんとあったんです。だから、そのあとに『ポケットモンスター』を完成させたときには、これは絶対アメリカに持っていくことはできないだろう。こんなにテキストの多いゲームは、『ヨッシーのたまご』と違って直感的でないために、最初のメッセージ・ウィンドウをいくつか読んだ段階で「なんだこりゃ?」ってことになるだろうと思ったんです。とくに当時アメリカでは「子供がボタンを押してテキストを読むようなゲームは売れるわけがない」っていう常識がありましたから。
● 田尻>> 奇跡ですね。それまでゲームフリークではアクションゲームばかり作っていたけど、『ポケットモンスター』は生まれてはじめて取り組むアクション以外のゲームだから、ということは自分がいままで確信を持ってやってきた仕事と違うものに挑戦することになるわけで、それが世界で通用するかどうかっていうのは、まったくリアリティがなかったんです。
● 石原>> 他にも海外版を作る過程では問題がたくさんあって、日本語だとカタカナ4文字や5文字くらいであらわせる名前なんかも、アルファベット4文字だとJOHN(ジョン)くらいしかなかったりしてね。
田尻さんそのためにどうしても10文字欲しいとかってなると、もうプログラムの構造から変わってくるじゃないですか。しかもポケモンの名前を変えたり、テキストをすべて英語に翻訳したり、そしてそのプログラムが全部動くための労力をこなしてまで「アメリカ市場は本当にあり得るのか?」と。さらに、かつて日本で大ヒットしたRPGがアメリカでは思うように売れてくれなかったという歴史もあるので、『ポケットモンスター』が海外で売れる成功率なんか1割だろうと思ってたんですよ。
● 田尻>> 結局、日本国内で超絶的に売れてくれたから、それではじめて「海外に持っていったらどうだろう?」って話になったくらいでね。

Qキャラクターの問題はどうですか? 可愛いキャラクターはアメリカでは受けないという通説がゲーム業界にはありますが。
● 石原>> やっぱりね、ポケモンを最初に向こうで見せたときには「Too Cute(可愛らしすぎる)」って言われたんですよ。そのときにアメリカ側のスタッフが出してきたキャラクター案というのがあって、それはもう生涯誰にも見せるわけにはいかないイラストなんだけど、劇団四季の「キャッツ」のような感じの、たとえばピカチュウだったらトラ猫のような形で、胸が大きいキャラクターに変わってるわけよ。「えっ? これのどこがピカチュウなの!?」って言うと「いや、この尻尾があがってるところが」みたいなね。

Qコミケでピカチュウのコスプレしてる女の子みたいな感じですか(笑)。
● 石原>> そうそう、マジでそういうのが提案されていて、僕としては文化の違いを楽しもうっていう意味では面白いかもしれないけど、それで勝負しようという気にはなれない。結局「どうせテキストのゲームはダメだと言うのであれば、むしろ何も変えないで勝負しましょう」ということで、あらゆるグラフィックは変更しないことに決めたんです。あそこでピカチュウを変えていたら、いまのような状況はなかったでしょう。


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