インタビュー2 イラストレーター インタビュー ・
「64とは違うキャラクターの世界を楽しんでください」
中野祐輔 任天堂株式会社
情報開発本部
情報開発管理部 情報開発管理課 デザイン担当
中野祐輔さん

・プロフィール
最近では『マリオテニス64』『マリオパーティー3』等のCGイラスト、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』『ゼルダの伝説 ムジュラの伝説』のイラストを担当。
葉っぱ・葉っぱ
■中野さんの作業分担を教えてください。
中野 カプコンさんから上がってきたキャラクター原案を元にイラストに起こしていく作業をしました。
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■最初はドット絵しかなかったんですか。
中野 そうですね。設定が決まっているものもありましたが、ほとんどが「知的で美人な女の子」というようなざっくりとしたものだったんです。そこを、「どんな服装ですか」と聞いたりして、イラストにしていきました。
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■中野さんは『時のオカリナ』『ムジュラの仮面』でも、パッケージのイラストなどを手がけているんですよね。
中野 はい。ただ、今回はゲームボーイということで、64版のイラストとは差をつけるようにしました。今回のキャラクターたちは、64版よりもかなりデフォルメされていると思います。
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■そうですね。リンクの顔も、今回のほうがかわいらしい感じですね。64版の作業と一番違うところはどこでしたか。
中野 64版のときは、画面上で動いているポリゴンのキャラクターがいて、それを見ながらイラストに起こしていく作業だったんです。もとになるキャラクターを考えたデザイナーが別にいますから、そのデザイナーのイメージに合わせて描いていくわけです。今回はもとになるものがドット絵でしたので、かなり自由に自分のイメージでやらせていただきました。僕のほうでもどんどんアイデアを出していきましたね。
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■64と違うキャラクターが見られるのも、ファンには楽しみですね。
中野 ええ。でも、64版と差をつけつつ、任天堂らしさを出すということも大事だったんです。また、キャラクターも、『大地の章』では『時のオカリナ』のキャラクターが、『時空の章』では『ムジュラの仮面』のキャラクターが登場するようになっているんですよ。
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■イラスト化する作業はゲームが完成してから始まったんですか。
中野さん中野 いえ、開発の初期から関わりました。いままでのゼルダでおなじみのキャラクターはこちらの得意分野ですけど、今回の『ふしぎの木の実』で初めて出てきたキャラクターに関してはドット絵や言葉の指示しかなかったんですね。そこから、イメージをふくらませて描いていきました。逆にこちらが先にイラストを描いて、それをドット絵に起こしてもらったキャラクターもあります。闇将軍ゴルゴンや、闇の司祭ベランはそのパターンです。
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■イラストに起こすまでの、作業の手順を教えてください。。
中野 まずは、鉛筆でたくさんラフを描きます。顔の角度や表情を変えて、かなりの枚数を描くんですよ。その中で、よかったものをスキャニングして、パソコンに取りこみます。それにフォトショップ(ペイントソフト)で色を着けていきます。
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■1枚を描くのにどれくらいの時間がかかるんですか。
中野 スキャニングして色を着ける作業は集中すれば1日仕事でできるのですが、その前のラフの段階にかなり時間がかかります。キャラクターによるのですが、『時空の章』のネールはキャラクターを固めるまでに足掛け半年かかりました。もちろん、中断していた時期もありますけど。
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■半年も! スゴいですね。
中野 最初は「知的で美人なお姉さんタイプ」という注文だったんです。それで、つい無難なキャラクターを描いてしまったんですよ。すると、「もう少し個性を出してください」とディレクターから指示があったんですね。その個性を出すのにいろいろ工夫をして。目つきを鋭くしてみたら、今度は顔が怖くなってしまったり。個性を強くしつつ、美人に仕上げるのが難しかったですね。何度も何度も描き直して、最後は向こうが根負けしてOKを出してくれたんじゃないでしょうか(笑)。
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■キャラクターが周囲の人の顔に似てきたりすることはあるんですか。たとえばモデルがいたりしますか。
中野 赤ちゃんが生まれたばかりのペックとラミンという夫婦がいるのですが、ちょうど僕も3月に子どもが生まれるんです。彼らを描いているときは、自分の子どものことを想像しながら描きました。
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■N.O.Mにもゲーム会社で絵を描く仕事をしたいというユーザーさんからよくメールが来ます。中野さんのような仕事をするためには、なにが必要ですか。
中野さん中野 やはり、絵が好きでいつも絵を描いている人が上手くなりますよね。いろいろな絵を見て勉強することも大事ですね。「うまいなあ」と思う人がいたら、じっくり見て研究するとよいと思います。環境も大切です。僕は美大の油絵科を卒業したんですが、大学に行ってよかったと思うのは、周囲に絵の上手い人がたくさんいて刺激になったことです。会社に入ってからは、自分の作品を周囲に見せたりして、アピールすることですね。それと、もしゲーム会社などに入って絵を描く仕事をしたいと思ったら、いろいろなタイプの絵を描けるようにしておいたほうがいいと思います。個性を出すことも大切ですが、企業に入って絵の仕事をするということであれば、ゲームのイメージに合わせていろいろなタッチの絵柄を描きわけられるようにしておいたほうがトクですね。
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■ひとりですべてのキャラクターを描くのは大変ですか。
中野 僕は絵を描くのがとても好きなんです。ボツになったりすることもあるけど、それでも絵を描く仕事が楽しいんです。もともと入社当時は別の部署にいたのですが、絵やデザインの仕事をしたくて開発部に回してもらったんです。絵を描く仕事は、これからどんどん増やしていきたいですね。
葉っぱ・葉っぱ
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