いよいよ発売! ゲームボーイアドバンス特集

3.開発者インタビュー

『ナポレオン』

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「だれでも楽しめるアクション性の高いゲーム」

俵正樹 スーパーバイザー:
任天堂株式会社
業務部 技術課
俵正樹
ユニット
大比良修一 プロデューサー:
元気株式会社
大比良修一
中野信行 企画:
元気株式会社
企画開発部
中野信行
今野一重 プログラマ:
元気株式会社
技術開発部
今野一重
樺澤俊介 キャラクターデザイナー:
元気株式会社
デザイン開発部
樺澤俊介

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ユニットのワラワラ感にこだわった

−−なぜナポレオンが題材になったんですか。
俵さん 俵:任天堂の花札で、箱にナポレオンの絵が描いてあるものがあるんですよ。それで、社内でいつかナポレオンのゲームを作れたらなあと話をしていたんです。そんなとき、ちょうど元気さんからウォーシミュレーションのお話があったので、その企画がナポレオンと結びつけたんですね。
大比良:シミュレーションというよりは、シミュレーション要素のあるアクションゲームですね。シミュレーションはどうしても難しくなるので、子どもが遊べるゲームがほしいと思っていたんです。

−−まず最初は企画を立てますよね。これは中野さんが担当したんですか。
中野:ええ。考えたことは考えたんですが、任天堂さんに助けられたところが多いですよ。最初うちで独自に作っていたテスト版は、UFOが出てくるファンタジーものだったんです。そこがナポレオンに変わって、最初はイメージがつかめなかったんですね。でも、俵さんに軍隊が「ウオー」と叫ぶシーンのアイデアをもらって、そこでナポレオンのイメージがパッとつかめたんですよ。

−−「ウオー」をやると士気があがるというヤツですね。そういったアイデアは紙の企画書で進むんですか。
今野さん 今野:作るのと、企画書と平行ですね。最初、ナポレオン自身をどう戦闘に関わらせるかで迷ったんです。直接攻撃できるようにしようかと思ったんですが、そうすると周囲のユニットを使わずナポレオンだけでガンガン戦う人が出てきますよね。ユニットをたくさん出してワラワラ感を出したいというのが最初から企画の主旨だったんで、ナポレオンは直接攻撃できないようにしたんです。

−−アドバンスならではの工夫はありますか。
中野:プレイしている姿を想像しながら作っていったので、手軽に直感的にというのは最初から思っていました。いつでも中断セーブできるようにしてあるんですよ。

−−グラフィックの樺澤さんはどこから参加したんですか。
樺澤:仮のゲームを作っていたときからですね。
中野:今回はほとんどの作業が同時並行です。助かったのは、全員がゲーム全体のことを考えて作ってくれるスタッフだったんですよ。だから、なにかあると小さいミーティングを開いて話し合いをしていきました。
今野:最初からガンと企画があったというより、みんなでアイデアをどんどん上積みしていく感じですね。

−−元気で作っているほかのゲームの制作手順とは違いましたか? たとえばRPGであればシナリオが先にありますよね。
大比良さん 大比良:そうですね。今回はナポレオンという共通のイメージが全員の中にあったので、そんなに詳しい設定資料は必要なかったんですよ。それよりは、こういったゲームは初めてのジャンルですし、それが本当におもしろいのかという検証のほうが時間がかかったんです。本当にユニットコントロールできるのかとか、ナポレオンで攻撃できなくていいのかとか、作っては壊し作っては壊しでしたね。

−−ナポレオンが攻撃できるバージョンも作ったんですか。
大比良:一番始めは攻撃できたんですよ。
今野:最初はUFOだったので、自分は安全圏にいて、敵を攻撃できる立場だったんです。ナポレオンになっても「我輩の辞書に不可能はない」の辞書が飛んでいる設定も考えたんですけど(笑)、やはりプレイヤーがナポレオン自身を操作できるようにしたんです。
大比良:ただ、出てくるユニットの中でナポレオンが一番弱いんです。そこは、やっているプレイヤーが成長してください、と。それで、ナポレオンなのだから人事が必要だということで、指揮官を育てることにしたんです。

−−指揮官はバランスよく育てないといけないんですか。
今野:そうですね。バランスよくやっていたほうが安全ですね。
中野:ただ、好みでいろいろな育てかたもできるんですよ。対戦になると、そのへんで個性がいろいろ出てくると思います。6人に絞ったというのも、ひとりひとりのキャラクターに愛着を持ってほしかったからです。それで、ストーリーにもいろいろと注文をつけましたね。

−−面や指揮官のキャラクターの個性ってありますよね。何度も失敗しながら地形やクセを覚えていくしかないんですか。
今野さん、中野さん 今野:いえ、地形を覚えるほどフィールドも広くないので。上手い人であれば、最初のトライでクリアできる面もあると思います。「手軽に、やりやすく」というのが最初のコンセプトなので。あとはユーザーさんに、自分のやりやすい方法を見つけていってもらえれば。
中野:プレイスタイルによって、いろいろな称号がつくんですよ。「ウオー」をたくさん言う人だと、「あなたは大騒ぎ将軍です」とか。

−−その称号は何パターンくらいあるんですか。
中野:組み合わせで万単位。レアなものもありますので、やってみてください。

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対戦、モバイルも大充実

樺澤さん −−キャラクターデザインはどう進めたんですか。ナポレオンは歴史画が残っていますよね。やはり史実に忠実に描いたんですか。
樺澤:いいえ。僕はこのプロジェクトにたずさわってから史実のナポレオン像を知ったんですね。それで、ちょっとがっかりしたんですよ。本当はもっと英雄だと思っていたのに、人間っぽかったので。だから、史実に近いナポレオンというよりは、ヒーローっぽい感じでキャラクターデザインをしたんです。

−−デザインをするうえで、アドバンスなりの工夫はありましたか。
樺澤:アドバンスなりというよりは、僕が2Dのグラフィックは初めてだったんですね。ゲーム業界に入ってきたときから3Dのキャラクターをやっていたので。だから、制限された中でどれだけのことを表現できるかというのを工夫しました。あとは小さなキャラクターにもアニメーションをさせるというのに苦労しましたね。
今野:小さいユニットも、戦いが続くと、かなり疲れた感じにアニメーションするんです。馬も疲れたらハアハアしてくる。小さな中で演技をしているんです。

−−手順としてはどういう感じだったんですか。
樺澤:3Dのモデルを作ってレンダリングをして、それを2Dに落として作っているんですよ。だから、普通の3Dのキャラクターをやるより手間がかかっているんです。
樺澤さん 今野:以前のゲームボーイだと3Dで叩き台を作っても、陰影がつけられなかったのであまり意味がなかったんですね。でも、アドバンスではそれが出せるんですよ。

−−キャラクターはどれくらい作ったんですか。
樺澤:種類はあまりないんですけど、絵のデータの枚数となると、ユニットだけでも何千もありました。

−−何千。スゴいですね。俵さんは任天堂的な立場で、どんなアドバイスをされたんですか。
俵:任天堂から出す以上、だれでも遊べるということが当然だと思っていますので、そこに気をつけていただきました。自分の立場をユーザーに設定して、「これはおもしろくない」とか、わりとズバズバと言わせていただきました。それをすべて受け入れてくださって、すぐに結果が出てくるというのがうれしかったですね。

−−対戦プレイは2人なんですよね。
取材風景 大比良:ええ、そうですね。さすがにナポレオンを4人は出せなかったんですよ。
俵:テレビ画面であれば上下や左右に分割して、対戦をやりますよね。だから、見ようと思えば相手の動きが見られるわけです。でも、アドバンスの場合は自分のナポレオンの周囲しか見えない。そこがスリリングだと思います。
大比良:対戦自体は簡単にできるんですけど、アドバンス同士で同期をとるのに大変でしたね。リアルタイムで動いているゲームじゃないですか? だから、1つでも動作が遅れるとゲームが止まっちゃうんですよ。それが起こらないように、1度データを送ったあとで、それがちゃんと送られているかもう一度確認する信号を送るとか、そういう小手先に技術を使って調整していきました。

−−モバイルGBではどんな遊びができるんですか。タイムアタックとかですか。
大比良:タイムアタックもありますが、フォーメーションバトルというところも使うんですよ。
中野:チャンピオンが生まれると、そのチャンピオンの配置がそこに記録されるんですよ。次の週は、その配置に対してほかの人が戦いを挑んでくる。だから、常に新しい配置がアップされているんですよね。
今野:チャンピオンになった配置が必ずしも強いとは限らないんですよね。その配置は、ある部分ではとても弱いかもしれない。どんな配置に負けるかはわからないんです。それを競ったりするので、ユーザーが参加することで、どんな形になっていくのか予想がつかないですね。

−−最後に、みなさんから『ナポレオン』をプレイするかたにアドバイスを。
取材風景 中野:さわっていけばできるようになっているので、ぜひトライしてみてください。
大比良:ナポレオンが弱いので、あまり前線に出さないということですね(笑)。
今野:かといって、全然前線に出ないと勝てないので、そのへんはバランスを見てがんばってください。
中野:スタートボタンでバードビューが見れますので、それを見ながらじっくり遊んでください。ゲーム全体では、ゲリラやスパイもいたりとか、深い遊び方ができるようになっています。ぜひたっぷり遊びこんでみてください。

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