7. プレイヤーそれぞれの楽しみ方を

岩田

それでは最後に、足助さんのオススメを。

足助

はい。それでは上級者向けのオススメプレイをいくつか。
通常のコースで最後にゴールするとき、
ゴールポールのいちばん高いところにつかまると
1UPできるようになっているんですね。

岩田

コースによっては、うまい人でも
高いところにつかまるのが難しかったりしますよね。

足助

実はすべてのコースで1UPできるようになっているのですが、
やっぱりテクニックが必要になるんです。
コースによっては、三段ジャンプをしたりとか、
隠しブロックを出してから飛び乗ってジャンプするとか、
コースごとに、1UPするための方法が異なっているんです。
で、先ほど話に出た「おてほんプレイ」では
すべてのコースでそのテクニックが見られるんです。

岩田

つまり、うまい人でも
「おてほんプレイ」を見る価値がありますよ、
ということなんですね。

足助

はい。1UPできないコースがあれば、
ぜひ「おてほんプレイ」を見てください。
それから、先ほど向尾さんの話でキラーの上の連続ジャンプの話が
ありましたけど、「おたからムービー」のなかには
他にもいろいろな遊びのヒントが入っています。
たとえば、ワールド3−5のムービーに入っているのですが、
ふつうはリフトに乗って上に進んでいくコースなんですが、
→4人で協力すると、リフトを使わずにゴールまで行けてしまったり・・・。

岩田

へえ〜。

足助

また、ヨッシーが登場するステージでは、
4人で遊ぶときに、ヨッシーがルイージをくわえると、
あたかも3人で遊んでいるように見えて、
1人は何もさせてもらえなかったり・・・。

向尾

ルイージはボールのような扱いをされるんですね。

足助

→ルイージバケツリレー」みたいな遊びができるんです。
実際にやってみると、すごく楽しいです。

岩田

やられてる側はたまらないでしょうけど(笑)。

足助

うまい人同士でプレイをすると、そんなふうに
ちょっとイジワルをしたくなっちゃうこともあるんです。

岩田

うまい人とあまりうまくない人同士の協力プレイは面白い。
だけど、うまい人同士でも、また違う面白さになっていって、
ゲームが得意じゃない人からすると、
一見、何をしているのかよくわからないような遊びにも
発展できるんですね。

足助

はい。
ですから、シャボンを割るまで復活できないことも、
イジワルをしたくなったときに生かされることもあります。
たとえば、「助けて!助けて!」と言われても、
→知らんぷりをして、ずっと割ってあげないとか。

岩田

あははは(笑)。
これもやられてる側は、たまりませんね(笑)。

足助

そうなんです(笑)。

岩田

でも、そういう遊びは
1人プレイをするだけでは味わえなかったことで、
今回のマルチプレイでは、
いままでになかったような遊びが産み出せた感じがしますね。

足助

はい、その通りだと思います。
では、今度は1人プレイでの話ですが、
もちろんマルチプレイのときだけでなく、
先ほど一角さんが言った最速プレイのように
自分独自のルールをつくると、1人プレイをするときでも
いろんな楽しみ方ができるようになります。
たとえば「→コース内の敵は1匹も倒さずにゴールまで行くぞ」とか。
そういうプレイをしようとしても、
思わぬところで、意外な敵を踏んでしまったりするんです。

岩田

つまり、自分しばりのルールをつくると面白いんですね。

足助

そうです、自分しばりのルールをつくると、
違った遊びがまた生まれてくるんです。
→1枚もコインを取らずにゴールしよう」とかもおすすめですよ。

岩田

ああ、それはかなり難しそうですね。
コインとコインの間をすり抜けて跳ばないといけませんし。

足助

もともとは、穴と穴の間をふつうに跳べば、
コインが取れちゃうんです。

一角

素直に跳んだら
キレイに取れるように置きましたので。

岩田

それが、一角さんの仕事でもあったわけですね(笑)。

一角

はい(笑)。ふつうにジャンプをして、
コインがチャリンチャリンと取れたほうが
やっぱり気持ちがいいですからね。

足助

でも、コインを取ってはいけないとなると、
壁キックをして、下からくぐろうかとか、
三段ジャンプで上を跳び越そうかとか、
敵を踏んでジャンプして、違うルートを見つけようかとか、
いろんな遊びがそこに生まれてきて、
そういったことができるようになると
「こんなプレイもできるんだぞ」と、自慢したくなるんです。
ですから、そういう遊び方もぜひ試していただければと思います。

岩田

今度の『NewマリオWii』には
マルチプレイでも、1人プレイでもいろんな遊び方があって、
それを見つけるのに「おたからムービー」を参考にするのもよし、
自分で発掘するのもよし、ということなんですね。

足助

はい。
いろいろな遊びを試してみてください。

岩田

それでは最後に、お客さんにメッセージをお願いします。
最初は内田さんから訊きましょうか。

内田

わたしけっこうゲームがヘタなほうなんですけど、
ヘタな人とうまい人とがいっしょにやると
すごく面白くなるというのは、
このソフトだけなんじゃないかなと思うくらい、
バランスがとれたソフトだと思います。

岩田

シャボンになって連れて行ってもらってもいいし、
マリオの残り数がゼロになっても、
いろんな音を鳴らして楽しんでほしいということですね。

内田

はい。
ですから、もし上手じゃないという人でも、
周りの人を巻き込んで、ぜひいっしょに遊んでほしいですね。

岩田

では、向尾さん。

向尾

僕は今年で入社9年目になりますが、
入社直後くらいに宮本さんから話を聞く機会がありまして、
そのときに印象的だったのが、『マリオカート』の話で
「対戦ゲームは面白くて当たり前なんだよ」と。
「1人でやっても面白くしないとダメなんだ」という話を
そのときにされて「なるほどなあ」と思ったんです。
 
そこで、今回の『NewマリオWii』では、
まず1人で遊んだときの面白さが追求されています。
ですから、1人プレイでも十分面白いですし、
さらに多人数でやると、もっと面白くなると思います。
1人でも多人数でもいろいろ楽しんでいただけたらと思います。

岩田

一角さんはどうですか?

一角

僕は小学4年生のときに
初めてファミコンの『スーパーマリオ』で遊んで
すごく衝撃を受けたんです。

岩田

かつてはプレイヤーとして衝撃を受けた人が、
25年の時を越えて『NewマリオWii』をつくったというのは
不思議な感じがしますね。

一角

そうですね。
当時に感じた面白さはいまでも鮮明に残っているんです。
ですから、いまの子どもたちや初めてゲームを触る方たちに、
その面白さをお伝えしたいと常に考えながら、
今回の『NewマリオWii』をつくりました。
宮本さん、手塚さん、中郷さんをはじめ、
初代の『スーパーマリオ』から関わってきたスタッフと、
僕のような子どもの頃に、『スーパーマリオ』を触って
衝撃を受けたスタッフたちがみんなで混ざり合いながら、
いろんな思いを込めてつくったソフトですので、
いろんな世代の方々に楽しんでいただきたいです。

岩田

最後に足助さん、お願いします。

足助

はい。今回はこれまでは、子どもがゲームをするのを
ただ見ているだけだったようなお父さんやお母さんも
いっしょに遊んでいただけるようにしたいと思ってつくりました。
 
実際に『NewマリオWii』が発売されて、
最初は「わたしはいいから」と、遠慮がちだった方が、
ちょっと触ってみると
「わたしでもできるんだ」と思っていただけるようになった、と
いろんなところでお聞きします。
ですから、いままではゲームに馴染みのなかった方にも
ぜひ楽しんでほしいと思います。
どうしてもクリアできなくても
「おてほんプレイ」を使えばその先に進めますし、
「難しい」と言われている『マリオ』のアクションゲームが
「自分にも楽しめるんだ」ときっと実感していただけると思います。
 
実は今回の『NewマリオWii』は、
お客さんが自分で「うまくなった」と思ったときに、
いちばん楽しい気持ちを味わえると思っているんです。
ですから、周りの人をたくさん巻き込んで、
1人でも多くの方に、笑顔で楽しんでいただけると
すごくうれしいですね。

岩田

それではわたしから。
いままで世の中に、スキルレベルが揃った人が
いっしょに遊ぶと面白いものはたくさんありましたけど、
今回の『NewマリオWii』のように、
スキルレベルが不ぞろいであっても
遊ぶ場を総じて楽しくできるという意味では、
非常に面白いものができたと思っています。
そのようなことは、これまでわたしたちが
ずっと「こうなればいいな」と望んできたことだったんですけど、
実際にこうしてお客さんに遊んでいただいた手ごたえとして、
「本当にそうなってるぞ」と実感しています。
 
ですから、もし世の中に、
「スキルレベルが揃わなければ
多人数プレイをやっても面白くないんだ」
と思い込んでいる方がいらっしゃったら、
スキルレベルが揃わなくてもいいから、
ぜひいっしょにやっていただきたいですね。
今日はみなさん、お疲れさまでした。