新世紀を迎えて間もない時代、平和が強制される世界で続く果てなき人口の増加……。 人類は新たな食用源を求め、異常環境下ですら繁殖を可能とする「新種」生命体の創造に着手した。 しかし「新種」の巨大牧場と化した北海道から人類狩猟を本能とする攻撃体が突如として発生、以後「ルフィアン」と呼称される攻撃体は群をなして日本列島を南下し、東北部一体を制圧するに至る。 「ルフィアン」の侵攻が目前に迫った首都では、混乱に陥った市民による大規模な暴動が頻発する。 事態は国際治安組織「武装ボランティア」の派遣に及び、武力による暴徒鎮圧へと発展していく。 一方、首都からは人間の生きる場、そして存在が失われていく。 そんななか、人々の間ではこのようなグループの噂が流布されていた。 「救済グループ」と名乗る市民組織の出現と台頭……。 聖女「アチ」の奇跡によって病や傷から復活し、「ルフィアン」を狩ることで自活する、「武装ボランティア」を偽善の衆として対立する市民による自衛組織……。 そして疲弊した人々はその噂を頼りに、聖女「アチ」の元に集い救済を請う……。 しかし「彼女」の救済は無償ではなかった。 聖女に「闘争」という名の代償を求められた多くの非力な者たちは必要なき幾多の争いに巻き込まれ、苦難の道を辿ることになる……。