花といきもの立体図鑑

2012年 10月号

実りの季節です。豊穣(ほうじょう)を祝って、各地で秋祭りが行われる時期ですね。にぎやかな夜店を見下ろしている大きな樹木はスギ?それともマツ?イチョウあるいはクスノキでしょうか?今年は、境内のご神木にも目を向けてみませんか?

今月のおいしい話題

ギンナン(イチョウ)

※ニンテンドー3DSでご覧の方は、上記写真をタッチペンで長押すると、立体写真をご覧いただけます。

秋の味覚ギンナンは、イチョウの種子の核の部分です。公園や並木道にたくさん実が落ちているのは、そのにおいですぐにわかりますね。でも実のできる木とできない木があることにお気づきでしょうか。イチョウの木には雄と雌があり、ギンナンができるのは雌の木だけなのです。

ビミョーなにおいのする実を、土に埋めたり水につけたりして、やわらかな果肉を落とし、よく水洗いをして乾燥させます。この種子からかたい殻を取りのぞいた核がギンナンです。デンプン質に富み、タンパク質や脂肪、ビタミンなど栄養豊富なギンナンは、薬効成分も含まれているため、生のまま腫れ物や皮膚病の患部に塗ったり、たんを切る薬としても利用されます。ただし中毒物質も含まれているので、食べすぎには気をつけましょう。小さい子どもにはあまり食べさせないほうがよいようです。

ところで、イチョウは「生きた化石」といわれますが、これは、恐竜がいた太古の昔から栄えていた植物という意味です。また、イチョウは「野生絶滅種」でもあります。つまり、自然の森林にはイチョウの木はもはや見られないのです。街にはたくさんのイチョウの木があるのに、「絶滅」なんて不思議ですね。

秋の実りのあと、イチョウの葉はあざやかな黄色に変わります。木の葉が色づくしくみについては、コラム「紅葉の美しい樹木」をご覧ください。

さがしてみよう(花編)

ダリア

夏から秋の花壇をいろどり豊かにかざるダリアは、明治時代に日本にもたらされて以来、魅力的な園芸植物として親しまれてきました。ダリアの「くるくるビュー」を見てみましょう。小さな花が集まって豪華な一つの花に見えていることがわかりますか?ダリアは、花びら1枚が一つの花なのです。これはキク科の花の大きな特徴です。ほかにはどんなキク科植物があるでしょうか。「バラエティ検索」で「植物」を選び、条件の「科名」で「キク科」を選んで見てみましょう。秋にはキク科の植物が目立ちます。家のまわりでも、コスモスやキクイモなど、知っている植物が見つかると思います。

さがしてみよう(いきもの編)

ヒメネズミ

今回は秋の雑木林へ。「バラエティ検索」の「環境から検索」で「雑木林」、「秋」をセレクト、3DSをあちこちに向けて動かしてみましょう。ドングリを運んでいるヒメネズミが見つかるかもしれません。

秋、ヒメネズミやアカネズミたちは、ドングリやハシバミ、ツリバナなどの木の実を集めて地中などに貯えておき、冬にそなえます。ネズミたちのこの仕事は森にとても大切な役割を果たしているのです。どんな役割かって?答えは、コラム「ドングリを運ぶ動物」を読んでみてください。

季節のことば

女心と秋の空

秋の日本列島は、太平洋高気圧が勢力を弱め、大陸から移動性高気圧と低気圧が交互にやってきます。このため雨がしとしと降ったかと思えば、青く澄みわたった秋晴れになったりと、短期間に大きな変化が起こりやすいのです。

「女心と秋の空」とは、変わりやすいもののたとえによく使われる言いまわしですが、江戸時代は女心ではなく「男心と秋の空」だったとか。心変わりしやすいのは、ほんとうはどっち?いずれにしても、秋の天気が不安定なことだけはたしかです。

今月の情報はいかがでしたか?来月は、その花が美と清らかさのシンボルとされた野菜が登場します。どうぞお楽しみに!

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