『ゼルダの伝説 神々のトライフォース２』が
ついに完成しました。
直接聞いたわけではないんですが、
開発はけっこう大変だったそうですね。

（苦笑）

開発の途中で、スタッフのみなさんが
ほかのプロジェクトにさらわれて
プロジェクト進行がしばらく止まったりと、
必ずしもスッと完成したのではなかったようですが、
ただ、「とても良いものができた」という話を、
社内のいろんな人から聞いています。
宮本（茂）さんも「今度の『ゼルダ』は、いいですよ」と
ぼそっと言っていましたし。

ええーっ、どうして僕らに
直接言ってくれないんでしょうね（笑）。

（笑）

では最初に、みなさんが
担当したことをお話しください。青沼さんから。

いつものようにプロデューサーを担当しました。
もともと前作の『神々のトライフォース』^（※1）は、
僕が『ゼルダ』シリーズにかかわることになる
キッカケになったタイトルでもありますし、
今回は２２年ぶりに続編をつくるということで、
どんなものができてくるのかと、
ワクワクしながら待つような立場で
プロデュースをしていました。

今回ははじめて
ディレクターを担当しました、四方（しかた）です。
僕は１５年前の『時のオカリナ』^（※2）の時から
『ゼルダ』シリーズに参加してきたんですけど・・・。

四方さんは１５年間、
ずっと『ゼルダ』を担当してきたんですか？

１５年間すべてというわけではありませんが、
たいていの『ゼルダ』シリーズには参加してきました。

サブディレクター兼プログラムリーダーを
担当しました、毛利です。
『ゼルダ』シリーズでは、今回が４作目になりまして、
最初は『４つの剣＋』^（※3）にかかわり、
『夢幻の砂時計』^（※4）と『大地の汽笛』^（※5）の時は
メインプログラマーを担当しました。

毛利さんは、この数年に出た
携帯機用『ゼルダ』の
メインのプログラマーだったんですね。

はい。いろんなスタッフのみなさんに
協力してもらいながらかかわってきました。

サブディレクター兼プランナーリーダーとして、
プランナーのとりまとめなどをしていました、冨永です。
『ゼルダ』シリーズについては、入社１年目の時に
『風のタクト』^（※6）にかかわりまして、
そのあとの『トワイライトプリンセス』^（※7）、
そして『スカイウォードソード』^（※8）の２本については
プランナーとしてかかわりました。
あと『４つの剣＋』については、
デバッグのお手伝いをしていまして、
そのように、入社してからずっと
据置機の『ゼルダ』にかかわってきたのですが、
携帯機では今回がはじめての参加となります。

デザインリーダーとして、
デザインのとりまとめをしていました、高橋です。

高橋さんは、
『とびだせ どうぶつの森』^（※9）の時も
デザインリーダーをしていましたが、
その開発が終わって、すぐに『ゼルダ』を？

はい。終わってすぐでした。
『ゼルダ』シリーズでは『風のタクト』と
『夢幻の砂時計』と『大地の汽笛』で、
デザイナーとしてかかわっていました。

ちなみに3DSで
『ゼルダ』の新作をつくろうという話は、
いつ頃から持ち上がったんですか？

はい。えーっとその話は
ディレクターの四方さんからお願いします。

はい。
そもそものはじまりは
『大地の汽笛』が終わった直後のことで・・・。

ああ、『大地の汽笛』が終わって
すぐにはじまったんですね。　
でもなんだか、すごく時間が経った気がします。

『大地の汽笛』が出たのが
２００９年の年末ですから・・・。

もう４年も経っているんです。

『大地の汽笛』が終わったあとは、
スタッフがごっそりと抜けて
Wii版の『ゼルダ』の開発に行きましたよね。

すぐに『スカイウォードソード』を
つくらないといけなかったですからね。

で、残ったのは僕と毛利さんと
もうひとりのプログラマーの、
合わせて３人だけだったんです。
当時はまだ3DSは出ていなかったんですけど、
DSの次の携帯機の『ゼルダ』をつくろう、
ということで、最初は１年くらい、細々と
「何をしようか？」と考え続けていました。

たった３人で１年も考え続けると、
しんどくなりませんでしたか？

そうですね。
やっぱり「どうしようか？」と
毎日を悶々（もんもん）と過ごしていました。

フォローをしますと、その１年間は、
何にも結果が出なかったわけではなくって、
いろんな実験をやりながら、
今作のいちばんの特徴にもなっている、
リンクが“壁画になる”というシステムに
アプローチできた期間でもあったんですよね。

そうですね。

ところが、そこまでたどり着くのが
なかなか・・・。

なかなか、難しかったんですね。

はい。最初は細々と３人だけで、
いろんな方向を模索していまして、
半年くらい経った頃に、
とりあえず企画を通すために、
宮本さんにプレゼンをして
「いいね」「アカンね」という判断を
してもらうことにしました。

その時、『神々のトライフォース』の流れをくむ
続編をつくろうという考えはあったんですか？

いえ、『神々のトライフォース』のことは
まったく念頭にありませんでした。
その時はまだ“壁に入る”というアイデアも
生まれていなかったんですけど、
通信をテーマにした『ゼルダ』を考えていまして、
それをプレゼンすると、宮本さんが
「これは２０年前の企画やな」と（笑）。

２０年前の企画？（笑）
そんなことを言われると、
場が凍りませんでしたか？

いえ、最初から凍っていました（笑）。

（笑）

というのも、プレゼンをはじめたとたん、
宮本さんの表情がどんどん曇っていくのが
はっきりわかったんです。
それで「これはマズい」と思ったんですけど、
最後に、「２０年前の企画やな」と
決定的にトドメを刺された感じでした。

宮本さんから
最後のトドメを刺されて、
そのあとどうしたんですか？

さんざんに言われてしまったので、
すごくうちひしがれまして・・・。

それは、そうでしょうね（笑）。

そこで、いちから考え直すことにしまして、
ある日、３人でミーティングをしているときに、
「リンクが“壁に入る”というのはどうだろうか」と、
僕がポロッと言ったんです。
すると毛利さんともうひとりのプログラマーが
「それ、いい！」とパッと飛びついてくれたんですけど、
言い出しっぺである僕は、
そのアイデアにピンときていなくて・・・。

自分ではおもしろさの確信が持てないまま、
思いつきでアイデアを出したんですか？

そうなんです。
ですからほかのふたりに「それのどこがいいの？」
と聞いたりしまして・・・。

言い出しっぺなのに（笑）。

普通は逆ですよね（笑）。

いいアイデアを出しても、
周りの人たちにわかってもらえない、
ということはよくあるんですけど、
その時は逆だったんですね（笑）。

はい。まったく逆でした（笑）。