社長が訊く
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社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

第10回:『モンスターハンター3(トライ)G』

目次

4. 大人の『モンスターハンター』一期一会

岩田

『モンスターハンター』は、
本当に長く遊びこまれますし、
プロモーションも普通のゲームとは少し違った
やりがいと難しさがあるんじゃないですか?

辻本

それはありますね。
プレイヤー同士がつながって
広がるタイプのゲームですから。
そういう意味では今回、
通信機能を活用した新しい試みがあるんです。

岩田

それはどんなことですか?

藤岡

“ハンターサーチ”という機能なんですけど、
たとえば、僕が新幹線で
『モンスターハンター』をプレイしている、
そこに、同じように遊んでいるけど、
まったく知らない、ほかの人がいるとします。

岩田

そんな場面は
本作でもこれから頻繁に起こるでしょう(笑)。

藤岡

そうなるとやっぱり、
できれば一緒にクエスト(※11)に行きたいじゃないですか。
2時間くらいは車内でずっと一緒ですから。

※11
クエスト=モンスターの狩猟(討伐・捕獲)のほか、アイテムを納品するといった、ハンターへのさまざまな依頼のこと。クエストを達成すると報酬がもらえる。

岩田

そうですね。
『モンスターハンター』って、
複数人で遊ぶことが大きな魅力のひとつですから。

藤岡

でも現実的には、我々大人だし、
声とかかけにくいじゃないですか。
だからいつもだと、お互い意識しつつも、
シングルで遊ぶわけです・・・(笑)。

一同

(笑)

藤岡

ハンターサーチは、
「そんな事態を解決できないか?」って
辻本が発案したアイデアなんです。
簡単に言うと、ローカル通信(※12)
周りのプレイヤーを検索して、
そこに「一緒に遊びましょう」って
目印を発信できる機能です。

※12
ローカル通信=ニンテンドー3DS同士の無線通信機能。『モンスターハンター3(トライ)G』では最大4人の同時プレイが可能。

岩田

それで、声をかけずとも、画面上で、
お互い遊びたい、ってわかるということですか?

藤岡

はい。これがいままでの場合だと、
相手に声をかけるところから始まって、
どこどこに入って・・・、
みたいなやりとりをする必要があったんですが、
今回のハンターサーチを使えば、
その手間をとばすことができるんです。

岩田

なるほど。
「一緒に遊びましょう」と発信しておけば、
周囲の人がそれを見つけてくれたときに、
声をかけてやりとりしなくても
ローカル通信による複数人の狩りが成立するわけですね。

辻本

それでセミオートでつながって
一緒に狩りを楽しんだら、
終わって別れるとき、
ちょっと会釈をかわす、っていう(笑)。

岩田

あははは(笑)。
大人の『モンスターハンター』
一期一会ですねぇ。

藤岡

はい、そういったことをちょっと
手助けできたらなぁ、という仕組みです。

岩田

いままではほとんどが知り合い同士で遊んできた
『モンスターハンター』のローカル通信でしたが、
そうじゃない人と遊ぶ機会が、
ぐっと増える可能性があるわけですね。

辻本

そうですね。これはけっこう、
意外とファーストフード店なんかでも
同じシチュエーションが起こりうると思うんです。

岩田

せっかく同じゲームを遊んでますし、
一緒に遊びたいのはみんな同じはずなんですよね。

辻本

まぁ実際、どう活用されるかは
未知数ではありますが、
この仕組みがマルチプレイを遊んでもらう
きっかけになればと思っています。

岩田

『モンスターハンター』において
マルチプレイはやはり醍醐味のひとつですし、
ぜひ、多くの方に楽しんでいただきたいですものね。

藤岡

毎朝電車で出会う人と
やってくれたりすると嬉しいですね。
通勤が楽しくなる、みたいな。

岩田

それで、「狩りの後の軽い会釈が大人のマナー」
になるといいですね(笑)。

藤岡

Wiiの『3(トライ)』のオンラインプレイでは、
顔見知りではないけど、
仲間を募集しているグループにふらりと入って
2、3狩りしてまた次の場所へ、って、
転々としながら遊ぶプレイヤーがけっこういらっしゃったんです。
我々は「野良で遊ぶ」って言っているんですけど。
そういう感覚でこの『3(トライ)G』も
遊んでもらいたい、という願いもあります。

岩田

オンラインで見知らぬ人と遊ぶのと、
友だちと集まって遊ぶ、ちょうどその中間にある感じですね。
場所と時間を共有するというのが、新しい気がします。

藤岡

ちょっと新しい、
一期一会になるといいですね。

岩田

“すれちがい通信”は
どんな仕掛けを考えているんですか?

藤岡

すれちがい通信は、
お互いのギルドカード(※13)を交換しあって、
それが遊びにつながる仕組みを用意しました。
もともとのシリーズにもあったんですけど、
ギルドカードのハンターが、
ふらっと自分の集会場に来てくれる
“ふらっとハンター”っていうシステムを
発展させたものなんです。

※13
ギルドカード= プレイヤー情報、クエストの履歴などが記載されているハンターの証。 通信機能を介してほかのハンターと交換・互いに閲覧することができる。

岩田

どんなシステムなんですか?

藤岡

もともとは、
ギルドカードを交換した相手がオフライン中に現れて、
アイテムをくれたりなどする受け身のものだったのですが、
今回の“ふらっとハンター”は、
クエストに行かせる依頼ができて、
その成果を自分におすそわけしてもらう仕組みもあるんです。

岩田

『3(トライ)G』が発売されて、
ニンテンドー3DSの普及台数も増えると、
かなりのすれちがいチャンスができると思うんですよね。

藤岡

すれちがいすることで
自分の遊びがより豊かになりますので、
どんどんギルドカードを交換しあってほしいですね。

岩田

ニンテンドー3DSのすれちがい通信は
ソフトを起動させなくても対応していますし。

辻本

そういった環境はすごくありがたいですね。
すれちがう確率がかなり高いと
その機能を活用してもらう機会も増えるわけですから。

岩田

そうですね。今日のお話を訊いていると、
『モンスターハンター』が出たら、
ますます「ニンテンドー3DSは毎日持って歩かないと」って
気持ちになる方が増えるでしょうね、きっと(笑)。