ニュースリリース

2015年3月17日(火)
任天堂株式会社
株式会社ディー・エヌ・エー
業務・資本提携共同記者発表
質疑応答
Q 3

岩田さんと守安さん両名に伺いたい。スマホ向けゲームを牽引していくには1社ではできないという相当な危機感があったという理解でいいのか。守安さんの方の会社としては、任天堂のIPを使ったゲームのほか、自社のゲームもこれからもつくっていくと思うが、その棲み分けについての考えがあれば教えてほしい。

A 3

岩田:

 いろいろなメディアに「任天堂は追い込まれている」などと書かれることが多いのですが、私は追い込まれているとは全く思っておりません。世の中がどんどん変化していくので、それに対応しなければどんな企業も必ず衰退していくという当然の危機感は持っておりますが、「こうしないと(世の中の変化に対応)できなくて、追い込まれたから消去法で選択した結果、このような提携をした」ということは全くの誤解であると申し上げたいと思います。
むしろ、守安さんとお話を重ねる中で、一番最初にお話をしたときに「一緒に何かできる可能性はあるんだろうか」という段階から、お話をすればするほど、自分たちが知らないことをたくさんご存知だと気づきました。そして、そのことについてある部分では「黒衣になってでも私たちと一緒に事業をすることを考えたい」と言ってもらえたことや、逆に私たち自身が単独でするよりも、スピードにおいても、お客様に提案できる体験においても、ずっと魅力的なものが提案できるのであれば、むしろポジティブなチャンスとして活かすべきだと考えました。
だからネガティブな消去法で選んだチャンスというよりは、任天堂はこの間、いろいろな会社さんからいろいろなお誘いを山ほどいただいておりますから、私たちはその中で積極的にDeNAさんを選択し、今回の発表に至ったとお考えいただくと良いと思います。では守安さんお願いします。

守安:

 DeNAサイドから見た場合なのですが、このスマートデバイス、スマートフォンでのアプリゲーム市場というのは、完全に注力ど真ん中の事業になります。そういう意味で、最近ヒットタイトルも出せましたし、「ちゃんとやっていける」という手ごたえは掴んでおります。その上で、この主力事業を大きく成長させようとした場合に、どういう選択肢や、とり得る手段があるのかと考えたときに、「(任天堂との協業は)最も事業と会社を成長させる上で有力だろう」と。「任天堂さんの強いIPを活用して、一緒に共同でゲームをつくるということが、事業を成長させるという意味において非常に有力だ」と考えましたので、この提携は非常に筋がいい、私たちのサイドとしては本当に嬉しい内容の提携です。
 もう一つのご質問は、「協業でつくっていくIPタイトルと、私たち自身がつくるオリジナルのタイトルをどう棲み分けるのか」ということでしたが、DeNAとしてはこれまでもさまざまな会社さんとIPを活用したゲームをつくってきております。先ほどお話ししたように、「IPというのは、利用者のアテンションを引きやすい」という点で非常に有力な手段ですので、この(協業でつくる)IPタイトルというのは当然力を入れてやっていきます。
一方で、オリジナルの自社IPをつくりたいという思いも当然持っておりますので、そこについては並行で進めていくと(考えています)。要は年間に1本とか2本とかしかゲームをつくらないわけではございませんので、「何本もつくっていくゲームの中で、共同でやるものもあれば、自社オリジナルで単独でやるものもある」と理解していただければと思います。

Q 4

任天堂のIPを出していく上で、「スマートデバイス向けとしては完全に1社に対して独占的に提供する」という理解でいいのか。それから、ビジネスモデルとして考えたときに、「スマートデバイス向けの任天堂としてのビジネスモデルは、これまでのコンソール向けとは大きく変わってくる」という理解でいいのか。その際にどういう方向性で考えているのか。

A 4

岩田:

 こうやって提携の発表をしたわけですから、最初に出すタイトルをほかの会社さんとやろうということはもちろん考えておりません。一方で、私はこの提携がうまくいくと確信して(事業を)始めるんですけれども、こういうご縁があって両社で始める事業が100パーセント必ずお互いの思う通り、お互いがWin-Winになるかどうかは、誰も保証できませんから、未来永劫独占的というようなことは当然ございません。ただ、私たちはまずDeNAさんと共同開発し、共同運営するものに注力するということです。
それからビジネスモデルについては、ゲーム専用機は基本的にパッケージ型の売り切りスタイルである一方、スマートデバイスでは「フリー・トゥ・スタート」に代表されるような、無料で始めて「ここから先遊ぶには課金をしていただく」というようなスタイルが多いという違いで言うと、スマートデバイスのお客様に受け入れていただけて、たくさんの利用者の方に遊んでいただいて初めて、私たちがスマートデバイスの展開をする意味があるわけです。
ですから、「どうすればたくさんのお客様に受け入れていただけるか」と考えたいのですが、一方で任天堂はちょっとあまのじゃくな会社ですので、「世の中でこういうものがうまくいくとされている、だからその通りやります」だけでは、私たちが取り組む上ではちょっとつまらないので、それをどう「もっと改良できないか」とか「こんな新しいビジネスの構造はないのか」とかいうようなことを守安さんと一緒にいろいろトライすると思います。今日、抱負のところでまだ言うのは早いかと思って言わなかったのですが、もし新しいビジネスモデルの発明が一緒にできたら、それは最高ですよね。

Q 5

「グローバル市場」というのは日本を含むのか。また、第一弾のゲームを出すに当たってどの市場を最初のターゲットにするつもりか。

A 5

岩田:

 グローバル市場で日本を含まないというのはあり得ないと思います。グローバルというのは本当に世界の市場です。「スマートデバイスがお客様に一定以上普及している所であれば、どこでもその市場になり得る」ということが「スマートデバイスの電子配信によってソフトが届けられる」ということの一つの大きな意味だと思っていますので、是非そうしていきたいと思っています。
しかし一方で、同時にできることというのはどんな組織も人的、あるいは時間的に有限ですから、一度に世界中全てで展開するということが本当にできるかどうかはこれからの段階になりますので、私たちとしては、「それぞれどこの地域でどんなふうに展開していくのかということが確定次第、順次ご案内していく」という形を取りたいと思います。
今日はまず、「両社がこのようにしっかり提携をして、最初の一歩を踏み出す」という発表になりますので、そこの具体的な内容について、例えば、「どのIPを使うのか」「どこで最初に出すのか」「グローバル展開はどういう順序で広げていくのか」「そのときに誰がどう前面に出るのか」というようなことは、順次確定次第お知らせしていきます。
ただ、今年いっぱい、全く何のお知らせもできないというのではなくて、順次お知らせできるようになると思いますので、ご理解ください。