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CSRレポート

ゲームの新たな可能性の追求 「これまでにないもの」をつくることへの挑戦

CSR重点項目

ゲームの新たな可能性の追求

「これまでにないもの」を
つくることへの挑戦

  • 任天堂株式会社 企画制作本部
    Nintendo Switch 総合プロデューサー

    小泉 歓晃(左)

    Yoshiaki Koizumi

  • 任天堂株式会社 企画制作本部
    Nintendo Switch 総合ディレクター

    河本 浩一(右)

    Kouichi Kawamoto

任天堂はゲームの新たな可能性を追求するために、「過去からの取り組みと新しい技術を融合させたこれまでにないもの」をつくることに挑戦しています。Nintendo Switchの開発に関わった2人が、これまでになかったゲーム機の開発に込めた想いを語ります。

Q1:開発の経緯を教えてください。

小泉

 あるとき、故・岩田前社長から、それまでソフトウェアを開発していた我々2人が呼ばれ、プラットフォーム立ち上げの責任者として「これまでにないものをつくってほしい」と言われたところから始まりました。そのときには、ただつくるだけではなく、プラットフォームの方向性や価値観、その開発体制、制作手法なども含めて、まずは自由にイメージしてほしいと言われました。

河本

 その話を受けて、これまでのプラットフォームの良いところ、見直したほうが良いことは何かを深く議論しました。メンバーも部署を越えて若い人を集めました。また開発体制としても、とにかく実物を、なければ実物になるべく近いものを触って確かめるといった手法や、ごく少人数でスピード感を持って判断する、という手法などを取り入れました。

Q2:大切にした想いは何ですか。

小泉

 Nintendo Switchを開発するにあたって、「しっかりしたゲームが遊べる」「子どもに安心して渡せる」「みんなでわいわい遊べる」というコンセプトがありましたが、一番強い想いとして持っていたのは「みんなでわいわい遊べる」ということでした。

河本

 最近、たとえばレストランなどで集まって座っていても、「みんな別々のことをしているなあ」「一緒に遊べば面白いのにもったいないなあ」と思い始めたことがきっかけです。任天堂は昔から、集まって一緒に楽しめるトランプなどの商品や遊びを提案してきましたので、今回のNintendo Switchでは、今までで一番、一緒に遊びやすいものにしたいと思いました。

Q3:ハードで実現した新たな機能は、どのようにして生み出されたのでしょうか。

河本

 任天堂のハードウェア部門には、遊びかたの研究を行っているチームがあり、新しい遊びかたを考えてそれが実現できる技術を探したり、逆に技術から新しい遊びかたを考えたりしています。彼らが見つけた遊びかたや技術に触れ、驚きや面白さ、将来性があるか、コストは見合っているか、などを精査して、取捨選択をしました。

小泉

 新しく取り入れた「HD振動」と「モーションIRカメラ」は、Nintendo Switchよりも前から研究していたものでした。発売時のソフトはもとより、これからのソフトでも開発者たちがいろんな使いかたを考え出してくれるはずです。今後、これらの技術がどのように活かされていくのか、とても楽しみです。

Q4:想いを実現するための秘策のようなものはあったのでしょうか。

小泉

 いろんなアイデアを出している中で、2つのコントローラーを付けたり外したりする案が出たときに、「こうすれば、しっかりしたゲームが遊べるのはもちろんだけど、買ってきたままのセットで2人で遊べるようになるし、それを簡単に持ち運べるのでは?」とピンときたんです。

河本

 最初から「おすそわけ」という言葉を使って、かなり強い想いで言っていましたよね。ただ、今までにないコントローラーなので、操作感や耐久性、コストなどで大きな不安がありましたし、持ちかたによって遊びかたが変わるというところも大事にしたかったので、ハードウェア部門のスタッフに相当難解なパズルをお願いしました。スタッフは非常に粘り強く工夫を重ね、ときには私たちと一緒に考えて、すべてを満たす形にしていったんです。

小泉

 この小さくて薄いコントローラーに、「おすそわけ」を含めて、すべての要素がよく入ったなと思います。粘り強さが秘策なのかもしれません。

Q5:ハードウェア部門とソフトウェア部門はどのように想いを共有していったのでしょうか。

小泉

 ハードウェア部門とソフトウェア部門は大半が同じ社屋で仕事をしています。なので、とにかくすぐに会って話ができ、すぐに触って確かめて意見を伝え合い、改善点を考えることができます。そういった意味でいうと、想いをひとつにしやすかったのではないでしょうか。

河本

 たとえば、ハードウェア部門が設計したコントローラーを3Dプリンターなどでつくり、ゲームをつくるために常にコントローラーを触っているソフトウェア部門のスタッフが何度も確認して意見を言い、調整を重ねました。システムについても同様です。Nintendo Switchのすべてが密にやりとりできたから実現したと思っています。

大切にしたのは「みんなでわいわい遊べる」という強い想い

大切にしたのは
「みんなでわいわい遊べる」
という強い想い

Q6:「みんなでわいわい遊べる」というコンセプトを実現できたソフトウェアはありますか。

小泉

 そうですね。たとえば、『1-2-Switch(ワンツースイッチ)』というソフトがあげられますね。このソフトは、まったくゲームを遊んだことのない人も周りで見ていて一瞬でルールがわかって、しかも見ているだけでも楽しくて、笑えます。「ガンマン」などは説明がなくても、西部劇は見たことがある人が多いので、一度その場面を見たら早撃ちだとわかってもらえます。「真剣白刃取り」というゲームがありますが、海外では「サムライトレーニング」といった名前になっているんですけれども、直感的に面白いと思ってもらえるのではないでしょうか。

河本

 開発中には、あの人があんなに動いているのは初めて見たとか、こんなにダンスできるんだとか、久しぶりに相手の目をじっくり見たとか、これまでのゲームでは聞かれないような感想が出ました。お客様のもとでも、たとえばお盆やお正月に帰省したときに、家族や親せき同士で遊んでもらって、同じように感じてもらえると思います。

『1-2-Switch』とは

2017年3月3日に発売された、Nintendo Switch専用のソフトです。目と目を合わせて楽しめるバラエティー豊かなゲームが28種類収録されています。プレイしている人はもちろん、その様子を見ている周りの人も巻き込んで、誰もが一緒に楽しめるまったく新しいコンセプトのソフトです。

「ガンマン」

「真剣白刃取り」

Q7:使いかたやシーンなどで配慮されたことは何ですか。

河本

 Nintendo Switchは、お客様が安心してどこでもしっかりと遊べるゲーム機を目指しました。お客様に低温やけどなどをさせないために、ソフトウェアチームとハードウェアチームで一緒に、性能を考慮しながら排熱のための工夫を凝らしました。

小泉

 また、コントローラーを挿す箇所のレールを金属にして、抜き差ししても劣化しづらいようにしました。劣化して、携帯モードで遊んでいるときにコントローラーが外れてしまっては困りますよね。ただし、単に頑丈にすれば良いというわけではなく、「おすそわけ」して一緒に楽しく遊べる操作感でなければならないですし、持ち運びしやすい大きさやデザインにする必要もあります。コントローラーだけでなくさまざまな部分に配慮するため、試行錯誤を重ねました。

河本

 環境に対しても、欧州のエコデザイン指令や各国の法律規制に準拠して設計すること、これまでどおり使用禁止物質は使わないこと、さらに紙の取扱説明書を商品に同梱しないことや、箱の中の紙の削減や小型化などで配慮しました。

小泉

 コンセプトのひとつに「子どもに安心して渡せる」というものがあります。Nintendo Switchでもこれまで同様、「保護者による使用制限機能」を使い、ゲーム機側でゲームプレイや年齢に応じた機能制限の設定ができますが、遊んでいるゲーム機を取り上げて設定するのはお子さんにとっても親御さんにとってもお互いの負担になるだろうと考えていました。それだったら、親御さんが使い慣れているスマートデバイスから遠隔で設定できたほうが良いのではと考え、『Nintendo みまもり SwitchTM』をつくったんです。親御さんが一方的にお子さんのゲームプレイ時間を制限するのではなく、親子で話し合って決めてほしいという想いもありました。なので、基本的には「時間になりました」とお知らせが来るだけになっています。親御さんとお子さんとで一緒にどう遊ぶかを考えてもらって、コミュニケーションをしてもらうことを想像し、「みまもり」という名前をつけました。

エコデザイン指令(ErP指令)とは、省エネを促進するために環境に配慮した設計(エコデザイン)を行うことを義務づけたEUの規制。

Q8:パートナーとのやりとりで工夫されたことはありますか。

小泉

 社内外との情報共有をこれまでにないくらい実施しました。メンバーに現地に飛んでもらって本体機器のプレゼンテーションをしてもらい、一緒に驚いてもらって。早い段階で、さまざまな意見や声を聞くことができました。そういった場で想いを共有し、仲間を積極的に増やすことにより、プロジェクトチームで一体感を持って進められました。

河本

 小泉さんがソフトウェアのプロジェクトでやっていた手法なんですが、関係者用のホームページをつくって写真つきで議論の内容や決まった理由を伝えました。写真や議論の内容などを掲載することで自分の仕事はどういったことにつながっているんだろうとか、なぜこの仕事が必要なのか、何が優先なのかを理解・納得しやすくなったと思います。

人と人とをつなぐための道具にしてほしい

人と人とをつなぐための道具にしてほしい

Q9:Nintendo Switchからどんな未来が生まれてほしいですか。

河本

 コンセプトどおり、しっかりしたゲームが遊べるようにしましたので、これまでゲームを遊んでくださっていた人にまずはどっぷりと楽しんでほしいです。さらに、みんなでわいわい遊べるようにもしましたので、誘い誘われて新しいお客様にも届いて、多くの人に面白がってほしいですね。

小泉

 誰でも知っているキーワードや経験を盛り込み、言葉で説明しなくてもわかる遊びを大切にしていく姿勢は変えませんし、変わらないと思います。そのうえで、人との温度を感じながら、新しいつながりをつくって遊んでほしい。このNintendo Switchは世界一、人を誘いやすいゲームだと思っています。人と人とをつなぐための道具にしてほしいですね。

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