4. 子どもも大人も、女性も男性も

岩田

シアトルの田島さん、不安を残して旅立ったと思うんですけど、
実際に試作品をプレイして、どんな感想を持ちましたか?

田島

(大きな声で)感動しました!

一同

(笑)

田島

わたしはこっちに来てから、
ぜんぜん開発途中のゲームを見る機会がなかったんです。

岩田

そっちはそっちで忙しかったですからね。

田島

それで久しぶりに仕事が落ち着いたので、
服部さんにお願いして試作品を送ってもらったら、
仕様書に書いたことが、ちゃんとゲームに入ってたんですよ。
しかも、わたしが思っていた以上におもしろかったんです。

岩田

仕上がりがよかったんですね。

田島

はい。だから、わたしがこちらに来てしまってからは、
開発スタッフのメンバーというよりは、
いちユーザーとしてこのゲームをプレイしてます。
楽しいんです、毎日が(笑)。

一同

(笑)

田島

わたしのほかに、こちらの日本人スタッフもプレイしてるんですけど、
「いまわたしは○○というブランドでコーディネートしてるんだ」とか、
「わたしはこの洋服が大好き」って、
まるで現実世界と同じような感じで会話してるんです。
もう、楽しくてしょうがないです。

服部

それを聞いて安心しました。

岩田

すっかりお客さん視点のコメントになってしまいましたけど(笑)、
もちろん日本でもモニターテストをやったんですよね。

服部

はい。マリオクラブの人たちにプレイしてもらいました。
若い女性が多い中、男性の方もいたんですが、
開発の終盤にある男性が、つかつかとわたしのそばに近寄ってきて、
「これ、おもしろかったっす」って言ってくださったんです。

岩田

それはひょっとすると、女性に言われるよりも
うれしいかもしれませんね(笑)。

服部

すごくうれしかったです(笑)。

岩田

ということは、“ファッションよりゲームだ”というタイプの男性の方でも、
遊ぶと意外と深くておもしろいと感じられて、
しかも気がついたら「オレ、結構洋服に詳しくなっちゃってさあ」
ていうことも起こる可能性があるんですね。

山上

間違いなく男の人も楽しめると思います。
攻略要素もかなりあるので、純粋なゲームとしても遊べるんですね。
すごく乱暴な言い方をすると、短時間でお金を稼いで、
すべての服を網羅して、コンテストで一番になってやる!
という遊び方もできるんです。

服部

彼女に服をプレゼントするときの
参考になるかもしれませんしね。

岩田

なるほど。年頃の娘さんがいるお父さんが、
娘さんと会話をするキッカケづくりのために
やってくださるかもしれないですね。

服部

そうなんです。
山上さんにもモニターをずっとやっていただいたんですけど、
山上さんに言っていただいて、いちばんうれしかったのは・・・
「初めて服が売れたよ。ちょー楽しい!」って(笑)。

一同

(笑)

山上

だって、最初にやっていたときはぜんぜん売れなかったんですよ。
でも「ルミナ」を経験したあとは、売れるようになったんですね。
「やったー、売れたー」というのは本当の店員の気分ですね。
とても気分がいいので、「そうか、このゲームが楽しいというのは
このような部分なんだな」と初めてわかりました。

岩田

今回、ファッションにものすごく思い入れのある人から
ぜんぜん知りませんでしたっていう人まで
いろんな距離感で、自分で楽しめるにはどうしたらいいかってことの工夫が
多層に積み重なって、いろんなものがうまく補えた感じがしますね。

服部

わたしもそう思います。
いちばん最初に、田島さんというファッションに詳しい方が
深いところまで楽しめる部分までつくってくれたので、
そのあとで、わたしなりに浅い知識の人でも楽しめるよう
広げることができたのかなあって。
 
そこで、詳しくない方も、詳しい方も
どっちも楽しんでいただけるようになったと。
それを1人でやろうとしたらすごく難しいことだと思うんですけど
それが実現できたのかなあと思います。

岩田

それでは最後に、作り手として、
どんなお客さんにどんなふうに遊んでほしいかを語ってください。
まずは山上さん。

山上

この記事を読まれた方には、
子ども向けのゲームだと思わないでいただきたいと、
ぜひお伝えしたいです。

岩田

「子どもでも遊べる」のと「子ども向け」は違うんですよね。

山上

そうです。子どもでも遊べますが、もちろん大人でも遊べます。
正直に言って、40代、50代の方がやっていただいても、
絶対に楽しんでいただけるという自信があります。

岩田

ちっちゃな女の子だけでなく、若い女性にも遊んでほしいし、
子どもがいるような世代の、あるいは孫がいるような世代の人だって、
子どもや孫と楽しめるかもしれないと。

山上

そうすると、ただ遊ぶだけでなく、
日常の自分の服選びにも役立ちますし、
自分のファッション感覚を強化していくという使い方もできますので、
そんなふうな遊びプラス実用という意味でも、
ぜひ大人の方にも手にとっていただきたいなあというのが、
わたしの願いです。

岩田

じゃあ、田島さん、どうぞ。

田島

はい・・・。どうしよう・・・。

岩田

順番をあとにして、最後のまとめにしますか?

田島

そうすると、全部いいところを持って行かれるでしょう・・・。
わたし、この企画をはじめたときはスタッフでしたけど、
いまは完全にいちユーザーなんですよね。なので・・・。

岩田

純粋に発売日が楽しみって感じですか?

田島

そうなんです! 早く製品版を送ってくださいって(笑)。

山上

もうちょっと待ってください(笑)。

田島

わたし、『ガールズモード』のホームページをチェックしてるんですけど、
本当のファッションのウエブサイトみたいで、
お洋服も入れ替えたりできるじゃないですか。
それを見て、毎日ワクワクしてるんですよ。
だから、お客様視点で、とにかく発売日が楽しみだなって。
もちろん開発中のロムで遊んじゃってますけど、
やっぱり製品版は違いますしね。

岩田

ホントにお客様視点のコメントになっちゃいましたね(笑)。
でも、どうしてそんなに楽しみなんでしょう?

田島

わたしのちっちゃい頃って、
理想のモデル体型のお人形でお洋服を着せ替えるような
ファッションの楽しみ方をしてたと思うんです。
そういう体験も思い出せるし、
いまのリアルな自分のファッションの好みをも反映できるし、
ファッションに対する欲求を満たしてくれるんですよね。
本物に近いお洋服なので、お店に行ったら似たようなものが
売ってると思うんですよ。
現実との境目があいまいなところが楽しいなって思います。

岩田

つまり、現実と仮想空間のなかのファッションを
混ぜ合わせて楽しんでほしいということですね。

田島

はい。でも自分はゲームのなかの女の子みたいに
スタイルがよくないですから、とりあえず組み合わせをそこで見て、
妄想のファッションショーを楽しんでる感じです。

岩田

さっき、自宅でファッションショーを開いてるって聞いて、
思わずつっこみそうになったんですけど(笑)。

田島

それって結構普通のことじゃないですか?

服部

普通、女の子はしますよね。
とくに新しいお洋服を買ってきたら・・・。

田島

いままでに買ってきたお洋服に合うかなって、絶対にやるよね。

服部

やります。田島さんほどじゃないですけど(笑)。

岩田

ああ、そうか・・・。
わたしが女の子のことを知らないだけなんですね。失礼しました。

一同

(笑)

田島

とにかく発売日が本当に楽しみです!

岩田

「社長が訊く」では初めてのことなんですが、
田島さんはつくり手ではなくて、お客さんの立場で絶賛しているんで、
果たして読んだ方の参考になるのかどうかわかりませんが(苦笑)。
じゃあ、服部さん。

服部

やっぱり幅広い方に楽しんでいただきたいですね。
それこそ、小さい女の子でしたら、
自分がかわいいと思うお洋服を組み合わせて楽しむという、
本当に着せ替え人形的に純粋な楽しみ方もできますし、
男性だったら、お店に置くお洋服はどうするかとか、
いかに効率的にお洋服を売っていくためにはどうするかとか、
ちょっと戦略的な部分もありますので、そこで楽しむことができたりとか。

岩田

実際に、いろんな人たちに
参考になりそうなソフトなんですね。

服部

ええ。ファッションに詳しい方も、詳しくない方も、
女性も男性も楽しんでいただける内容になってると思います。

岩田

最後に伊藤さん、どうぞ。

伊藤

男性に限らず、ひとりでファッションを楽しむのもいいんですけど、
できれば大人数でやっていただきたいですね。
たとえばプレイしているお子さんの後ろで、
お母さんが「こんな格好もいいんじゃない」ってアドバイスしたり、
お父さんにファッションの専門用語を教えてあげたりだとか、
複数人でやるととても楽しいんです。
山上さんの後ろから覗きながら、「この服はないでしょう」って、
みんなでツッコミを入れるのがすごく楽しかったですし(笑)。

山上

他の人に見てほしくなるんですよね。

岩田

じゃあ、最後にわたしから。
『バンブラDX』(※4)ではスター作曲者のような人が出現しましたけど、
『ガールズモード』でも、どんなカリスマ店長が誕生するのか、
ちょっと楽しみですね。
どんなお店が出て、どんなことが起こるか、
みんなから「あのお店いいよね」って
言われるような人がきっと出てきてくれるんだろうなって。
そういうことを考えると、田島さんじゃないですけど、
わたしも発売日がとても楽しみです。
みなさん本当に長い間お疲れさまでした。

※4

『バンブラDX』=2008年6月発売のニンテンドーDS用ソフト『大合奏!バンドブラザーズDX』。JASRACの登録曲の楽譜をつくり、投稿したものをダウンロードしてその曲を楽しむことができる。