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2007年3月期 決算説明会
質疑応答
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Q 21  業績の予想を出す場合に色々なシナリオを書くということだが、前期(2007年3月期)の結果は、前期の当初書いたシナリオの想定の範囲内で収まっているのか。
A 21

岩田:

 前期は、最初に丁度一年前に決算発表をした時には、(本日ご説明している)実績の結果よりもはるかに小さな目標を予想として掲げておりました。その当時は、日本ではゲーム人口拡大への確かな手ごたえがございました。しかし、まだDSライトは海外では発売前でした。そして、DSライトが出ることで、どれほど、DSプラットフォームの普及の加速が掛かるのかまだ分らない状態で、特に世界一巨大なアメリカ市場で本当にDSは売れていくのかということに関しては確信が持てない時期でした。ですからアメリカにおける予想幅というのが、非常にブレ幅が大きい状況だったんです。で、結果的に4回も修正をしたわけですから、予測能力が足らないんじゃないかというご批判は免れ得ないと思うのですが、毎回、その時点で確信があることと、その時点では、まだ確信の持てないこととがございましたので、その都度都度でベストな予測をしてきたつもりです。ただ、結果的には私達の想定を超える形で、世界でそれが広がったということです。そして、Wiiについても、想定以上に特にソフト面で受け入れていただけたという手ごたえがございました。

Q 22  連結売上高1兆円にあと僅かだが、大企業病の懸念はないのか。
A 22

岩田:

 任天堂は国内で1500人、連結ベースの世界でも3000人強の従業員で、ビジネスをしています。ですから、このビジネスの規模でありますとか、或いは、伸び率ということよりも、これだけの人数で、これだけのビジネスをやれているということに実は任天堂の価値というものがあるのではないかと思っています。そういう意味でいうと、この規模で大企業病などとは言えないのではないかと思います。というのは、例えば、10万人の従業員がいらっしゃる会社を如何に大企業病にならずにというような考え方と、1500人の会社が如何に大企業病にならないかというのは、全然別の次元の話だと思っているからです。

 因みに私はこの間、自分が代表をやるようになってから、特にハード部門とソフト部門は如何に連携するのか、あるいは、開発部門と製造部門と営業部門は如何に連携するのかということについて、非常に注力をいたしました。そもそも、大企業病に陥っている会社は、売上を(1年で)9割伸ばすとかはきっとできないでしょうから、その意味で、そういう部分が、今は良い循環である程度動いていると思います。ただ、なによりも私が同時に怖く思いますのは、この9割も伸びるということは色々な要因が重なって起きていまして、決して我々の力だけではないんですね。我々の努力や力ももちろん要因の一つですけど、それ以外のたくさんの要因が全部かぶさったから、こんなことが起こったわけですから、大企業病の心配はしておりませんが、慢心とかおごりとか油断の芽が出ないようにということだけは強く意識したいと思っています。

Q 23  家電量販店では毎週末にDSが1000台位入って、そして、すぐに売切れている。一方で町のおもちゃ屋さんではモノが入らないと不満を言う方もいる。このあたりはどのように考えているのか。
A 23

岩田:

 任天堂は問屋さんを通じてビジネスをしています。ですから、私達はまず、問屋さんに我々の商品をお渡しします。問屋さんは、問屋さんのご判断で分配をされます。問屋さんと私たちの話の中では基本的にこれまでの実績の台数に応じた分配をしましょうと、ですから、当然、今のような状況が続きますと、DSのハードやWiiのハードというのは、非常に短いサイクルで売れていくということが、半ば保証されたような異常な状態ですから、当然、皆様一台でも多く欲しいということになるわけで、そういう様々な交渉が行われていると思いますけれども、任天堂と問屋さんの話では、基本的にはこれまでの実績に応じた配分をしましょうということにしています。それから、長年お世話になって任天堂の商品を長く扱っていただいている、我々、個店さんというような呼び方をするのですが、チェーンでない小規模なお店ですね、そういうところに配分していただく分も含めて、毎週出しておりますので、それでもし特定のお店に入らないとすれば、それは残念ながら個店さんと問屋さんの関係の問題ということになってしまって、私どもでは制御ができないんです。ただ私としては過去実績にもとづいて、その方達のビジネスの意欲にもとづいてフェアに配分ができるようでありたいというのが基本方針です。

Q 24  先ほどからDSの北米に関して、遅れているとか少しネガティブな話もでているが、現状の認識としてどう考えているのか。
A 24

岩田:

 一年前の時点では、「明らかに遅れている」でした。現時点では「変化が起きつつある」に変わりました。例えば、3月単月でDSは、アメリカの市場で調査会社さんの、先ほどご紹介したNPDというところのデータによりますと、単月で50万台以上売れています。単月に50万台3月に売れるというのは、かなりいい状況で、決して悲観するような状況ではございません。しかし、一方で、伝統的にはアメリカのマーケットの半分のサイズしかなかった日本はゲーム人口拡大が上手くいくと年末商戦ではないのにも拘わらず月に60万台70万台売れることが起こるわけです。すると、(アメリカは)日本のような明らかな変化が起こる前の従来のゲームビジネスの中での好調だということに過ぎないわけです。それでも、1年前よりもずっと良いわけですから、良くなってきているんです。

 それと、「アーリーサイン」なんて現地の人が言いますけども、つまり兆しが見えるみたいなことですかね、色々なところで、今までではあり得なかったことが起きてきていて、非常に意外な人がDSやWiiのことを話題にしたり、触ってくださったりしています。それは、マーケットが大きく変わる予兆なんですね、ですから予兆はあります。でも、(市場は)本当には変っていません。もし本当に変ったら日本では市場が倍の規模になりました。じゃあ、アメリカでもそれは市場が変われば(大きな市場拡大が)できうるのではないかと思います。そこまでは、まだ行っていませんが、今言えば、地鳴りがしているところまで来ているわけです。ですから何とか今年、「それをしっかりと実績に変えたい」、「実績に変えれば、任天堂がアメリカ市場で大きく飛躍できるチャンスがある」、「そのチャンスを活かしたいので注力したい」と申しあげた次第です。

Q 25  そうするとDSで頑張りたいという一方でWiiも頑張らなければいけないが、その辺のバランスはどう考えているのか。
A 25

岩田:

 日本のようにDSの勢いがついた後、Wiiのことにある程度集中して、新しいアピールを考えられるマーケットと、アメリカのように同時に進行しなければならないマーケットとでは、ちょっと状況が違うと思っています。ですから、この2つのことを同時に進めるために少しばかり、やはり、工夫がいると思っていまして、それぞれ、重点としてアピールするやり方が変わってくるでしょうね。ただある意味、ユーザーを拡大するという意味では、DSの方がテレビの前でなければできないという制約がない分だけ有利な点が一つございますし、また、人から人へ伝わりやすいんですね。Wiiの場合、なんらかの形でテレビがあって、Wiiが設置されているところに別の人を連れて来ないと見せられないわけです。でも、DSであれば、どこででも、出先でも、人と会ったときに、「こんなことやって遊んでいるんだよ」「これ、おもしろいんだよ」と言ってもらえますから、伝播の機会が違うんですね。その意味で、ゲーム人口拡大はDSからになると思います。まあWiiはもちろん、新しい遊びを提案するビデオゲーム機として、据置型ビデオゲーム機の勢いのある、元気の良いアメリカ市場で、充分マーケットは大きくありますから、そこをしっかり取りつつ、ホームパーティーなんか開かれるときに、だんだん新しい人がそれと共に巻き込まれていくというシナリオかなというふうに思っています。

Q 26  アメリカの据置型のマーケットで、Wiiが一番売れているゲーム機になれそうか。
A 26

岩田:

 そうなるように努力したいと思います、ということが私が今言えることですね。なれるかどうかを予想されるのは、アナリストの方の仕事ですよね。(笑)

Q 27  狙っているということですね。
A 27

岩田:

 もちろんです。世界でも、1人でも多くの方に任天堂の商品を受け入れていただいて、たくさんの人に笑顔になって欲しいと思います。

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