株主・投資家向け情報

任天堂カンファレンス Q&A セッション
質疑応答
| 1 2 3 4 5次のページへ
Q 1  ニンテンドー3DSについて。発売が来年の2月26日ということで、一番需要が見込まれるクリスマス商戦に向けて投入しなかった理由を伺いたい。年末に間に合わなかったのか。それに付随して、価格面でも2万5000円ということで、据置型のWiiよりも高く、ちょっと高めかなという印象を受けるが、その点についてどのようにお考えか。
A 1

取締役社長 岩田 聡:

 まず、発売の時期についてですが、期初に予想いたしました時は、年内に発売できることが望ましいという考えで、その前提で期初の業績予想も作りましたし、計画もしておりました。実際に開発が進行し、現在量産を立ち上げる手続きをしているのですが、年内に市場投入すると十分な数を用意するのは難しいであろうと判断したこと、それから、製品の完成度においても発売を今日発表させていただいた期日にさせていただければ、私たちが十分と思えるところに届くだろうと考えました。
 プラットフォームのビジネスとしては、今年度の業績だけを考えていつ発売するかを決めるよりも、このプラットフォームが今後しばらくの間、任天堂の主力のビジネスとなるべく健全に立ち上がることが一番大事だと思いましたので、十分に完成度を高めると同時に、市場に混乱のないような十分な数量をそろえた上で発売することが望ましいという判断があって、この発売日にさせていただきました。しかしながら、そのことによって、今期の通期業績予想に関してマイナスの影響が及んだことは事実です。

 それから二つ目の「価格」ですね。「Wiiよりも高いではないか」とのご指摘ですが、携帯型ゲーム機というのは表示画面と一体になった商品で、単体で、それだけで何にもつながず遊ぶことができるものですから、「これまで携帯型ゲーム機と据置型ゲーム機の値段の関係がこうだったから、そうあるべきだ」とは、必ずしも考えておりません。もちろん価格はお求めやすいほど良いわけですが、一方で原価の面から見て、ハードウェア、ソフトウェアを一体として、プラットフォームとして健全なビジネスを持続可能にすること、それから、実際にニンテンドー3DSというものの機能をご理解いただき、どれだけの価値を感じていただけるかということのE3以降の手ごたえ、その他を総合的に考慮して、この値段でご理解いただけるのではないかということで、今回この価格を提案させていただきました。

Q 2  映像ビジネスについて。今回日本テレビさん、フジテレビさんと提携するということだが、将来的に他のテレビ局や映画会社などに広めていく考えはあるか。
A 2

岩田:

 まず、今回の二つのテレビ局さんとこのような形で提携の発表させていただくことになった経緯についてですが、ニンテンドー3DSをE3で発表した後、この二つのテレビ局さんにE3で発表したニンテンドー3DSのデモをお見せする機会がありました。その時に大変ポジティブな興味をお持ちいただけましたので、映像配信事業ということに何か可能性があるか、ある種の勉強会のようなことをこの数カ月間続けてきました。その中で、私どもが今回のカンファレンスでお話ししました、「いつの間に通信」という提案を通じて、毎日短い尺の3Dのコンテンツがお客様の手元に届くというのは、新しい可能性があるのではないか、相性が良いのではないかということについて、この二つのテレビ局さんと合意ができましたので、今回の発表に至りました。将来どうなるかについてですが、現時点でお話しできることはございません。
 また、映画については、E3でニンテンドー3DSの発表をした時に、ハリウッドのスタジオのいくつかの会社さんにムービーの予告編をご提供いただいて、お見せしました。実際に、映画会社の方たちにも興味を持っていただけているようですので、何らかの形で3Dの映画とニンテンドー3DSというのは関係が持てるかもしれません。ただ、これについても、今日の時点で具体的にお話しできることはございません。
 ただし、ニンテンドー3DSは恐らくマスマーケットに初めてまとまった台数が普及する3D映像機器としての側面も持つことになると思いますので、そのことについていろいろなビジネスチャンスをお考えになる方は今後も増えてくるのではないかと思いますし、そういうお話について私どもも可能性を求めていきたく思います。

Q 3  今回の目玉の一つが「いつの間に通信」ということで、そのための接続拠点の拡充についてもカンファレンスの中で触れられていたが、全体の規模感を知りたい。御社としてどれくらいの資金を投入するのか、あるいは全体として何拠点くらいの設置を目指すのか。
A 3

岩田:

 これはWiiやニンテンドーDSiの経験で痛感したことなのですが、私たちがどれほど「インターネットにつなぐと面白いですよ」ということをご提案し、様々なお客様に向けてほとんど費用負担のないような無料ソフト等も含めたご提案をしても、(インターネットに)つないでいただけるお客様は決して大多数にはなりません。これは、何らかの(インターネット接続)設定がいるという時点で、「もう自分には関係ない」とお考えになるお客様がいかに多いかということでもあるわけです。「Wiiで新しい無料チャンネルができました。これをインターネットでダウンロードしていただくとWiiの楽しみがこう広がります」というご提案をいくつかさせていただきましたが、やはり、それをダウンロードして楽しんでいただくためには、そのことを認識し、Wiiをインターネットに接続し、Wiiショッピングチャンネルを立ち上げ、そのソフトのダウンロード画面を探し出し、そしてダウンロードする必要があるわけです。自宅にインターネットが来ていれば、確かにお金はかからないのですが、それだけの手順を行って接続していただけるお客様は決して多数派になりませんでした。そこで、ニンテンドー3DSを作る時には、お客様が特段何か設定をしなくても何らかの形でお客様に新しいご提案がお届けできないだろうかと考えました。
 もちろん、ニンテンドー3DSをお買い求めいただいたお客様が、毎月月額の費用を払っていただけるのであれば、携帯電話の機能等を搭載して、全部が常にインターネットにつながった状態にするということも選択肢になるのですが、娯楽のために毎月お金を払っていただけるお客様というのは、これもまた多数派にはならないでしょう。そのような考えもございまして、お客様に特別なご負担をしていただかなくても、お客様がニンテンドー3DSを普通に自分が持ち歩いていればどこかでインターネットとつながって任天堂からの新しいお知らせやご提案が届き、場合によっては新しいソフトをお客様のニンテンドー3DSにお届けできるということを何としても実現したいと考えて、この「いつの間に通信」という機能を作りました。
 しかし、この「いつの間に通信」は結局、特別な設定をすることなくつながる接続拠点を拡充しなければ使っていただけるようにはならないと思います。もちろんご自宅に無線のアクセスポイントをお持ちの方はちょっとした設定をしていただくとつながるようになるのですが、そうして(手動で設定して)つないでいただける方は全体の一部でしかないということを、私たちは思い知らされました。WiiやニンテンドーDSiでは、私たちの描いていたシナリオよりは、お客様にお使いいただけませんでしたから。

 その接続拠点にどれだけ資金を投下するのかということについて、具体的にお話できる数字は持ち合わせてはおりません。ただ、今日お話ししたように、店頭のDSステーションをニンテンドーゾーン化します。それから、マクドナルドさんと展開してきたニンテンドーゾーンも、ニンテンドー3DSをサポートするようになります。それから、NTT東西さんとの提携の中で、NTT BPさんが展開されているWi-Fineも「いつの間に通信」の拠点になります。今日はこの三つのお話をさせていただきましたが、ある程度人がたくさん集まる場所で、かつ無線のアクセス、インターネットのアクセスが提供できている場所で、私たちにとってリーズナブルな費用負担でニンテンドー3DSを使えるようにできる場所があれば積極的に展開していこうと考えております。
 そうすることで、結果としてニンテンドー3DSは非常に面白い存在のデバイスとして、お客様が特別な操作をしなくてもお客様の手元にいろいろな情報が届き、いつでもつながり、毎日どんどん変わっていくような、今日のコンセプトでご説明したような「毎日が新しい」を実現できるデバイスになっていくのではないかと考えております。

| 1 2 3 4 5次のページへ

このページの一番上へ