株主・投資家向け情報

2012 E3 アナリスト Q&A セッション
質疑応答
Q 6

 現在の株価を見て、会社を非上場化させることを考えることもあり得るのか。もし考えているなら、どんなシナリオになるのか。

A 6

岩田:

 まず、会社を非上場化しようと考えたことは、私自身にはございません。ただ現状の(市場の)ご評価が私たちにとって、何もしないでいい状態だとは思いませんので、早く未来のシナリオを具体的にご理解いただき、またそれを実現できるという証拠をお示しし、状況を変えたいと思います。また資本政策その他の可能性もいろいろあり得ると思いますが、(この場では)具体的には申し上げられないことはご理解ください。

Q 7-1

 昨年のゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス(GDC)で、岩田社長は開発者に対して「重要なのはコンテンツの質だ」という大きな主張をされた。しかし結果として、フリー・トゥ・プレイというモデルに対するある種の売り込みになったのではないかと思う。任天堂が自社ブランドのコンテンツとして、Wii Uやニンテンドー3DSでフリー・トゥ・プレイを考えるシナリオはあるのか? それとも、既存のパッケージビジネスとカニバリを起こすのでそのようなことはやらないということなのか?

A 7-1

岩田:

 自社ブランドのソフトについては、私は現時点で「フリー・トゥ・プレイを積極的にやるべきだ」とは思っていませんが、一方で、「未来永劫どんなコンテンツもフリー・トゥ・プレイにすべきでない」とは思いません。例えばマリオをフリー・トゥ・プレイにすべきだというご意見をお持ちの方がおられたら、「それは違う」と明確に申し上げますが、将来まったく違う価値を持つ、まったく違う構造の、非常に面白い新しいソフトのアイデアを思いついたとして、「それに最も適したビジネスモデルはフリー・トゥ・プレイだ」と思ったら、そのようなことはするかもしれません。

 去年のゲーム・デベロッパーズ・カンファレンスで申し上げたのは、「デジタルの形になっているものは油断するとすぐ猛烈な勢いで価値が下がるので、価値の維持について意識して、価値を高く保つということがものすごく重要で、そうしないとビジネスとしてのゲーム作りというのは(経済的に)非常に難しくなっていくのではないか」という問題提起であり、それがゲーム開発者のコミュニティにお伝えしたかったことです。決して、すべてのフリー・トゥ・プレイ、あるいは安いゲームがいけないということを申し上げたのではないのですが、残念ながらこれは大変いろいろな誤解を生んだようです。もし、お時間がございましたら、原文がホームページに掲載されていますので、ぜひご覧いただきたいのですが、私は質と量の対立軸としてお話をしたのではなく、「ゲームの価値を維持することを重要視する考え方と、そうでない考え方がある」ということをお伝えしたかったのですが、「安いゲームは質が低い」と言ったかのように報じられてしまいました。こういう誤解が生じた以上、「(講演での)メッセージの組み立て方が最適ではなかった」と反省すべきと受け止めています。

Q 7-2

 私にも子供がいるが、iPod Touchのようなもので、無料でゲームを遊ぶのに慣れている。フリー・トゥ・プレイで遊べることを考えると、おそらく子供も親もゲームを買わないかもしれない。そういった人たちが御社の主要な顧客であると思う。そうであれば、フリー・トゥ・プレイのモデルを採用しても良いのではないか?

A 7-2

岩田:

 私たちは、「私たちが作ったものの価値を高く認めていただいたうえで、私たちのゲームを遊んでいただきたい」と考えていますので、「フリー・トゥ・プレイでやることが最も適切だとは思わない構造のゲームまでフリー・トゥ・プレイにしようとは思いません」というお話をさせていただいている訳でありまして、フリー・トゥ・プレイのあらゆる可能性を否定したのではありません。


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