株主・投資家向け情報

2012 E3 アナリスト Q&A セッション
質疑応答
Q 11-1

 Wii Uのハードウェアについて、処理速度やGPU(画像処理専用のプロセッサ)等の詳細をもっと教えてほしい。現世代のコンソールや今後発売されるものと比べてWii Uのパワーはどうなのかということに関して、たくさんの憶測がある。コメントいただけるかどうかわからないが、HD以外の能力について知りたい。Xbox360やPS3他と比べたパワーや、他と比較してこのプラットフォームの潜在能力はどうかといったことについて、くわしく教えてほしい。

A 11-1

岩田:

 もちろん新しく機械を設計しましたので、新しいテクノロジーの恩恵というのは受けており、その分、世代の新しいGPUが使われています。一方で私たちは、Wii U GamePadにもコストを相当量割かねばなりませんから、他社さんと同じだけプロセッシングパワーの実現にコストをかけてしまうと、Wii Uというのはとてつもなく高価になり、お買い求めいただきやすい値段になりません。別の言い方をしますと、私たちの予算配分のあり方が他のコンソールメーカーと異なると考えています。最終的には、私たちはWii Uを(提供する価値に対して)リーズナブルな価格にすることを目指しています。

 その前提でもう一つ背景事情が存在するのですが、他社さんのプラットフォームに対しては、発売後6〜7年間、オプティマイズ(最適化)をして性能をチューニングし続けたエンジンが作られている一方で、Wii Uは、それらとは多少異なるアーキテクチャーで、今年ソフトを作りはじめたばかりのプラットフォームなので、まだ性能のポテンシャルを使いこなす途中段階であるということです。しかしながら、その段階にあるにもかかわらず、先日発表された『Assassin’s Creed III』等を見ていただくと、他社さんのプラットフォームに見劣りはしてないと感じていただけるのではないかと思います。そのことでだいたいのイメージを持っていただけるのではないでしょうか。

Q 11-2

 Wii Uでもソフトのダウンロードが可能なようだが、(Wii Uの)ハードディスクがどのくらいの大きさなのか教えてほしい。

A 11-2

岩田:

 私たちはWii U本体にハードドライブを搭載するとは申し上げておりません。ハードドライブはUSB端子を通じて自由に拡張できます。今、いろいろなハードドライブがかなり安い値段でお買い求めいただけますので、お客様にそれを自由に使っていただこうと考えています。

Q 12

 ラテンアメリカや中国、ロシア等の新興国市場での当社ビジネスの計画や見通しはどうか。こうした市場に大きなチャンスがあると考えているのか。

A 12

岩田:

 まずそのような新興国市場にたくさんの人がおられて、その人たちが「今まではあまり娯楽にお金を使わなかったけれども、これから娯楽にお金を使えるように変わっていく」という意味ではとても有望だと思っています。ただ一方で、新興国市場ではソフトの価値を認めていただきにくかったり、海賊行為が比較的広く浸透しているなど、いくつかの要因でソフトウェアを中心にビジネスを組み立てるということのハードルが少し高いと考えています。今までの物理的なメディアを使ってソフトウェアを供給するという方法では、あまり良い成果が出ていないというのがこれまでの歴史だと思います。

 一方で、デジタルディストリビューションができるようになったということは、(ソフトウェアをハードウェアに組み込めるようになったということを意味しますから、)言い換えると、そのマーケットに合わせて、いろいろなソフトウェアを容易に(ハードウェアに)プリインストールしてご提案することもできるようになったということです。すなわち、ハードウェアに価値を認めていただきやすいけれども、ソフトウェアには認めていただきにくいというようなマーケット特性に合わせて、違う売り方のチャレンジがしやすくなったということだと思っています。近いうちに、いくつかそのような試みをして、「こういうことで成果が出せそうだ」という状況に徐々になっていくと思いますので、そのような段階になりましたら、より具体的にお話ししたいと思います。今はそのようなトライアルの準備をしているところです。それがうまくいきますと、任天堂は世界中でユーザー人口をまた大きく増やせるチャンスが来ると思います。それができれば任天堂の未来にとってとても良いことだと思いますので、私はぜひ近いうちにみなさんに良いニュースをお届けしたいと思います。


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