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2013年10月31日(木) 第2四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡

これは、アメリカ市場における、ニンテンドー3DS自社ソフトの販売推移を、昨年と今年で比較したものです。まだ、年末商戦が本格化する前ですが、今年は既に昨年1年間の販売本数を超えています。
今年の3月以降、有力タイトルが連続的に発売されたこともあって、今年は昨年とは大きく異なる販売ペースになっているのがおわかりいただけると思います。特に直近の『ポケットモンスター X・Y』の販売による伸びは、とくに大きいことがおわかりいただけると思います。


こちらは、ヨーロッパ市場における、ニンテンドー3DS自社ソフトの販売推移を、昨年と今年で比較したものです。
アメリカと比較して、ヨーロッパはソフト発売直後の初動は小さめですが、その後、安定したペースで売れるのが特徴です。
こちらも、次週にも、昨年1年間の販売本数を上回る状況です。


このような足下の状況を踏まえて、年末商戦について、どのような見通しを持っているのかについてですが、


幸い、日本市場のニンテンドー3DSについては、良い流れで年末商戦を迎えることができそうですので、ここについては、皆様も不安をお持ちではないと思います。
2012年のニンテンドー3DSは約550万台の販売を達成しましたが、今の足下の勢いから考えて、2013年もニンテンドー3DSは、年間500万台以上の販売が十分に期待できる状況です。
ちなみに、過去にゲームボーイアドバンスやWiiが「大ヒットした」と言っていただいたときでさえ、日本で暦年ベースの1年間に年間500万台以上の販売になったことはありませんし、他社さんのゲーム機においても、1年間に国内で500万台以上の販売は過去に一度もありません。これまで日本のゲームの歴史においては、ニンテンドー3DSとニンテンドーDSの2種類のプラットフォームが達成したことがあるだけです。このように、日本の市場における年間500万台以上の販売というのは本当に勢いがなければ達成できない水準です。


ニンテンドー3DSについての問題は、海外市場がこの年末にどのような結果を出せるかということに尽きると思います。
昨年は、夏にニンテンドー3DS LLと『Newスーパーマリオブラザーズ2』を同時発売しましたが、年末商戦が本格化するまで勢いを維持して、海外市場の軸とすることは実現できませんでした。
今年は、先ほどお話ししたように、10月12日の『ポケットモンスター X・Y』の発売をきっかけに、非常に強い勢いを得た状態で、これから年末商戦が本格化する11月を迎えることができますし、『ルイージマンション2』『ドンキーコング リターンズ 3D』『とびだせ どうぶつの森』『マリオ&ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー』などの既発売タイトルにも十分に勢いがある状態で、『ゼルダの伝説』の最新作も3DS向けに11月に発売されるなど、軸となるソフトのラインナップも手厚い状態で年末商戦を迎えますので、この年末には、是非とも大きな成果を出したいと思います。


そこで重要な役割が期待されるのは、『ポケットモンスター』と同じ、10月12日にアメリカやヨーロッパで発売したばかりの、ニンテンドー2DSです。
初代のニンテンドー3DSやニンテンドー3DS LLを発売した時点では、為替レートが超円高水準であったことに加え、そもそもニンテンドー3DSはいろいろな機能を盛り込んだこともあり製造原価が高く、ゲーム入門機としてお求めやすい価格でのご提案ができていませんでした。これまで任天堂の携帯ゲーム機のエントリーモデルは、海外市場では100ドル台前半、100ユーロ台前半の価格で販売してきた歴史もありますので、海外市場では、ニンテンドー3DSはやや割高に感じられていたという面も否定できませんでした。この年末での幅広いお客様への普及のためには、このような100ドル台前半の価格帯で販売できるモデルが必要になると考え、ポケットモンスターと同時にご提案したものです。
まだまだ、対象となるお客様への認知も十分ではありませんし、また、ホームページの画像をご覧になった方の中には、「製品のサイズが大き過ぎて重く持ちにくいのではないか?」と誤解されている方もいらっしゃるようですので、多くの方に誤解なく認知いただくように努力していきます。幸い、購入されたお客様からの評判は良く、また、2DS購入者のクラブニンテンドーアンケートによると、「ニンテンドー2DSがなかったら、3DSシリーズのハードを買わなかっただろう」ということをおっしゃる方も多くおられることが分かっており、ニンテンドー2DSが、海外市場におけるニンテンドー3DSの普及を加速させる力となる手応えも感じています。


一方、Wii Uについては、4月の決算説明会で、「じっくりと普及に取り組む」と申し上げましたが、夏以降の有力タイトルの発売後も、まだ販売が大きく上向いてはいません。自社の有力ソフトの発売間隔が大きく空いてしまったことで、季節的な後押しのないタイミングでは、「ひとつのタイトルの発売だけで、簡単には状況が変えられない」という状況です。
幸い、年末商戦の時期は、家庭内の複数の方が、任天堂のコンソールゲーム機に興味を持っていただきやすいタイミングですので、この年末商戦の取り組みで、大きく状況を変えたいと考えています。


今年の年末商戦の主軸タイトルは、11月発売予定の『スーパーマリオ』シリーズの最新作、『スーパーマリオ 3Dワールド』です。
すでに公開している映像でもその片鱗を感じていただけるのではないかと思いますが、このソフトは、一人でもみんなでも、そして、マリオアクション初心者から、マリオアクションを遊び込んだ上級者の方まで、幅広いお客様に楽しんでいただける大変手応えのある品質で仕上がりました。
このタイトルを軸として、


Wii U Game Padの特徴を活かし、年末年始に多人数で集まって遊んでいただく上で最適な『Wii Party U』、来年初頭にロシアのソチで開催されるオリンピックをテーマにした『マリオ&ソニック AT ソチオリンピック™』などもこの年末に発売予定です。
一方で、これまで、Wii Uは、Wiiの後継機でありながら、お手持ちのWiiソフトや周辺機器がそのままご利用いただけること以外には、Wiiの後継機としてのご提案が十分にはできていませんでした。発売から当初の予定以上に時間がかかってしまいましたが、ちょうど本日より、『Wii Sports』と『Wii Fit』というWii を代表するふたつの遊びを、Wii U向けにご提案させていただける準備が整いました。


まず、最初に『Wii Sports Club』についてです。このソフトは、Wiiを代表するゲームとして、世界中で多くの方々にお楽しみいただいた『Wii Sports』を、Wii U向けに新たに作り直したものです。『Wii Sports』を発売した当時は、ジャイロセンサーを使ったWiiリモコンプラスは存在しませんでしたが、今回は、Wiiリモコンプラス専用で作られており、これまで以上に、身体感覚との一体感を感じていただけると思います。また、離れた場所にいるプレイヤーとのオンライン対戦をはじめ、日本国内であれば都道府県対抗、アメリカであれば州対抗というように、地域対抗戦をオンラインで楽しめるという要素も新たに加え、多くの人が集まったときだけでなく、一人で楽しめる要素も充実させました。
今回は、パッケージソフトとしてではなく、ダウンロードソフトとしてご提供することになりました。『Wii Sports』は、国内市場では単品販売いたしましたが、海外では非常に長い間、Wii本体に同梱されて販売されていたこともあり、いわゆるFree to Play型のご提案をすることにしました。このソフトは、無料でダウンロードでき、初回起動時から24時間は無料でお試しいただいた上で、1日200円で全種目が遊べる「24時間ビジターチケット」、または、1種目1000円の「種目別会員パス」と、支払い方法を選んでいただけるようにしました。気に入った種目が見つかって頻繁に遊ばれる予定のある方には「種目別会員パス」を、みんなが集まったときだけ遊べれば良いという方には、「24時間ビジターチケット」をお選びいただくことを想定しています。
最初は、テニスとボウリングの2種目からリリースしますが、順次他の種目もリリースしていきます。このほかの種目のリリースは、いつの間に通信を通じて、お客様に操作いただくことなく、自動的にダウンロードされる仕組みになっています。
新たに種目が増えるたびに、その時の全種目を24時間無料でお楽しみいただけるようにする予定ですので、是非、多くのみなさんにお試しいただきたいと思います。



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