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経営方針説明会・2008年3月期 中間決算説明会
質疑応答
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Q 1  今年の春に岩田社長から、WiiとDSのソフトを合わせて3億本売れる市場を作りたいという話があったかと思うが、既に今期計画で2億6000万本となっている。今期中にも3億本に達するのではないかと思うが、現状、この中期的な本数をどう考えているのか。また、その後についてはどう考えているのか。
A 1

岩田(取締役社長):

 (4月の決算説明会で)3億本という目標を申しあげた時、あくまで中期的な目標というつもりでお話をいたしましたし、任天堂プラットフォームのソフト市場がこれほど短期間に劇的に拡大するということが最初から分かっていれば、最初からそういう業績予想をいたしますので、その意味で予想以上のペースで進捗があったといえると思いますが、確かに今期、(昨日修正した業績予想で)2億6200万本までが見えたということですから、ある程度目に見える、手の届く所に我々の目標が来たということは言えると思います。一方で、まだ目標も達成していないのに、次の目標はなんですというのは、気が早すぎると私は思いますので、今日の時点では、「私たちが当初イメージしたよりも早く達成するチャンスが来そうです。一刻も早く実現できるようにがんばります」ということだけ申しあげておきます。

Q 2  今、本当に評判が高く、楽しいソフトがたくさん増えているが、このクオリティーの高さを維持するためのチェック体制や開発体制は現在どのようになっているのか。自社ソフトとサードパーティソフトについてそれぞれお聞きしたい。加えて、今後さらにソフトが増えるということが当然予想されるが、今後の施策や課題としている点があれば教えてほしい。
A 2

岩田:

 では、自社ソフトは私と宮本から、ソフトメーカーの方は、波多野が担当ですので、波多野から回答をさせていただきます。自社ソフトに関しては、この夏に私どもは一つ、非常に重大な教訓、すなわち商品が発売されてそこに重大な不具合があり、回収騒ぎになって、お客様にも流通の皆様にも大変大きなご迷惑をお掛けしたということがございました。もちろん、以前に比べてチェックを緩めているとか、いい加減に作っているということは、もちろんありませんし、何か今までやっていたことをやめたということはございませんが、しかしながらソフトの複雑さというのは年々上がっておりまして、よりいろいろな角度からチェックをいたしませんとそういう問題というのが起こってくるということだと受け止めています。ですので、このことを教訓としまして、まずそういう点が、間違いなく起こらないようにしっかりやりたいと。もう一つ、品質にはいろんな面がありまして、今のような面も品質ですけれども、ゲームが面白いのかどうか、あるいは任天堂はゲーム人口拡大、ユーザー拡大を目指しているのですから、ゲームに詳しくない方でも触っていただけるのかどうかというようなことがございまして、これについては任天堂でも内部に非常にゲームに詳しく、ゲームのテストを専門にやっている部署でテストをするということの他に、ユーザー目線の評価、例えば50代の特別ゲームには詳しくない一般的な人が、パッと触ったらどう思って、どこで躓いたかというようなことも合わせて調べるというようなことに取り組んでいまして、そういう両面から品質の向上というのは、考えるようにしています。宮本の方から何か補足があれば。


宮本(取締役専務、情報開発本部長):

 大きな課題なんですけれども、私の姿勢としては新しいものを作るということが最優先だと思うんです。品質が大事なのは当然ですけれども、まず面白いということをお客さんが一番喜んでもらえるわけなので、品質を維持しつつ、面白いということを見失わない体制を目指すということです。これには守りと攻めの二つの姿勢が必要です。それから、新しい物を作るというのは、かなり勇気が必要ですので、管理側がうるさいと現場がチャレンジできない。逆にチャレンジするべき現場が弱気になっていると管理側が励ますという体制です。だからその辺りの人的な関係というのを非常に大事にした体制を作っていっています。技術面で言えば、例えばそれぞれの開発中のソフトの技術をサポートするグループ、これがかなりメインの開発をしてきた担当者がそういう品質、サポート側に回ったり、お互いに横のチームの技術援助をしたり、こういうことがかなり活発に社内で行えるようになってきました。そういう面での、任天堂内部の人の交流というのが非常に積極的に進んでいますので、さらにこれから若い優秀な技術陣を採用して、その人たちをその中に巻き込んでいきたいと思って進めています。


波多野(取締役専務、営業本部長):

 元々ソフトメーカーさんは、独自に企画されて独自にクオリティーを高めるべく努力をされているんですが、DSもWiiも同じことが言えるんですけれども、まず一つは操作性という、このDSであればタッチパネルをうまくストレスなく使いこなせているかどうか、それからWiiでWiiリモコンを動かす、あるいはWiiリモコン操作がうまく画面上に反映されているかどうか、こういう所はソフトメーカーさんが持ち込まれたり、あるいは私たちが見せていただいて、これは直した方が、こういうふうにした方がいいんではないかというようなことで、これは開発の担当部署とも一緒に協力、あるいはアドバイスをさせていただいております。中身の思想だとかそういうことには我々も踏み込めませんので、一番分かりやすいユーザーのストレスを感じないゲームソフト、これは一番重要だと思っておりますので、そこはやらせていただいております。それから、実際の内容について一緒に私たちと、任天堂と共同で作ればもっと新しい要素も入れられるんではないかというようなことも一方では今やっております。これは、実際に社内の開発担当者をそこにどんどん割くわけにはいきませんので、できるだけそういうことについて一緒にやれるチームを出していただいて、メンバーを出していただいて実行している例もございます。それは、DSであればバンダイナムコさんと一緒に開発をいたしました『眼力トレーニング』が直近では代表的なソフトです。それから、これから11月、来月発売になるセガさんと一緒にやらせていただいているのは、これは『マリオ&ソニック AT北京オリンピック』という、オリンピックをテーマにしたスポーツゲームで、 これはWiiのソフトですが、これはマリオというキャラクターが入っておりますので、当然我々も一緒にやらせていただいておりますし、そういう広い範囲で我々は協力をさせていただき、クオリティー維持に一緒にやらせていただいているという事例でございます。これからももちろんそういうことを一緒にソフトメーカーさんとやらせていただこうという考えでおります。

Q 3  最近車を買わずにDSを買う若者が増えているというニュースを聞いたことがある。車の購入価格がゲーム機に向かうと、ハードだったら50台、ソフトだったら300本位売れるという膨大なマーケットが発生する。車に乗らなければ地球温暖化も止まる。こういう面から見て、私は来年任天堂とトヨタの時価総額が逆転するという想定をするのだが、これについてはどう思うか。
A 3

岩田:

 一人でゲーム機はなかなか何十台も買っていただけないと思いますし、時価総額は私たちが決めることではなくて、マーケットのご評価で決まることなので、何とも申しあげられませんが、 ただ私自身、日本市場でのDSやWiiの販売が非常に順調にきたという状況から、「今は一時ほどの勢いがないね」っていうことを今日本の市場の中で言われているなかで、「いや、ここで止まっておしまいじゃないようにできるはずだ」というふうに思ってやっておりますので、市場の皆様に少しでもご評価いただけるようにがんばりたいと思います。

Q 4  最近、ハードディスクを使ってないシリコンディスクのパソコンを使って非常に体感速度が速いと感じた。ランダムアクセスの性能がシーケンシャルなハードディスクよりずっと速いとベンチマークでもわかる。任天堂のゲームキューブでは設計思想がランダムアクセス重視になっている。最近ランダムアクセスの重要性がようやくパソコンなんかで認知されたのに対して、任天堂はずっと前から気付いていた。通常ハード屋がゲームハードを作ると、どっかのハードみたいにピーク性能ばっかり追求してちっとも速くないようなハードでき上がるのに、Wiiとかゲームキューブを見てるとそうじゃない。非常にハードソフトのバランスがとれているなあという印象をいつも持つが、どうすればこういうハード作りができるのかと、竹田さんと宮本さんに是非聞きたい。
A 4

竹田(取締役専務、総合開発本部長):

 横におる宮本という人間はなんと言いますか、「嘘をつかない技術屋さん」っていうのを結構評価してくれるんですね、我々、技術の人間は、新しい物を作ったとき「こういう性能があるよ」と、「こういうことが良いんだよ」っていうことを、まあ良いことしか言わないということが起こりがちなんですが、任天堂の場合は「それを実際使ってみてどうなのか」ということが問われるので、「本当に嘘をつかない技術屋さん」が評価される文化があるんです。そういう意味ではやはりハード・ソフトが同じ会社の中に存在していて、お客さんという目線をちゃんと捕らえながらやっているという伝統的な任天堂のDNAじゃないかなと思います。


宮本:

 もう何年もそこに注目して物を作っていますが、中には評価していただくこともあるんですけども、気が付いていただけないということを繰り返してきました。例えば、『マリオギャラクシー』を最近、いろいろな方に遊んでもらっているのですが、この間遊ばれた方がネットに書き込みをされていて、「ディスクで動いてるとは思わなかった」という評価いただきまして、「ROMで動いてるようだった」って言われて。我々、ゲームキューブのころから、そのことにものすごく注目して、ROMで動いてるかのように動くディスクゲームっていうのを目指してやってきたんですが、初めて公に評価をしていただいたと喜んだのですが、この方の経歴を見たら任天堂のゲームを遊ぶのは初めてなんですね。だから今までずっと任天堂以外のゲームを遊んでこられて、それで任天堂のゲーム、ディスクのゲームを初めて遊んでそう思われたと。ということは昔からやっていたんですけど、こんなに気が付いてもらえないものなのかと。ハードを設計している人たちも全員ゲームを好きな人たちなので、実際自分で使ってみて自分で納得できる性能に磨き上げていくっていうことに非常に敏感ですので、社内全体がそれを今やれてきていると思います。


岩田:

 実際今までのやり方における性能向上による刺激が飽和してきたので、他の部分に目を向けていただけるようになったのかなというふうに感じています。私はゲームキューブの世代の機械ができたころに、当然自分はそれ以前の世代とゲームキューブやプレイステーション2の世代の機械の違い、性能差っていうのをものすごくはっきり自覚をしたので、その差を非常に強く感じたのですが、そういうことにあまり興味のない人は、プレイステーションや64の世代の表現と、ゲームキューブやプレイステーション2の世代の表現の差でさえ自覚されない方がいるという、自分にとって衝撃の事実がありまして。(そのとき感じたことは、)「今後はもっとそうなるんだろうな」ということです。もっとそうなるなら「違うことに重点を置きませんか。もうこの方法では驚く人の数がどんどん減っていきますから」ということを、(Wiiの設計の議論をしていたときに竹田や宮本と)禅問答のようにずっと話していました。元々、やはり、「どうやってストレスを取り去るか」っていうことをうちのソフト屋さんはものすごく考えているわけで、その人たちからするとお客さんに「さあここで待ってください」っていうのはものすごく嫌なわけで、全く待たせないような作りに、実は裏で先に読み込んでいるということも含めてできないだろうかということを、いつも考えているわけなんです。この快適さっていう点では、実はまだまだやれることはありますし、これからハード開発をしていく上で、そういうことに着目してもらったらいいのに、っていうようなことをよく社内でも話しています。


宮本:

 ちょっと調子に乗ってしゃべってしまいましたけれども、現状をつかまれているんで分かると思いますけれども、まだまだ改善すべき点はあるんですね。気持ち良くチャンネルを使っていただくためにとか、今もまだまだ改良、努力してますので、5年後ぐらいにはもっと快適なマシーンになるというふうに期待してください。

Q 5  8月のWiiのファームアップデートの時に不具合があったが、こういう事例は今後、起こらないと考えて良いのか。
A 5

岩田:

 ファームアップデート、本体の機能のアップデートというのは当然、正しく動作しませんと重大な問題になり得るわけです。お客様の接続環境というのは非常に様々でして、ネットワーク上の難しさっていうのは、環境がお客様の数だけあるという難しさで、私どもも当然いろんなテストをしてるんですが、それが前回穴があったということだと思うんです。もちろん、穴が見つかったところは塞いでますし、あんなことを繰り返したんでは毎日変化するゲーム機っていうことは実現できませんので、もちろん、今後そういうことがないように徹底したいと思います。

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