株主・投資家向け情報

2008年10月31日(金)経営方針説明会/第2四半期(中間)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

事実、今年の1月から9月まで、国内のDSの販売数、これはDSハードの販売数ですね、は、前年と比較しますと、前年実績の約43%の約236万台に過ぎません。
この数字だけを見ると、非常にショッキングなのですが、


一方で、これまでのいろいろなゲーム機の販売が、市場の飽和に達する前の販売ペースといろいろ比べてみますと、1月から9月という商戦期を含まない時期に、約236万台の販売という数字は、決して少ない数字ではありません。
実際に、過去のいろいろなプラットフォームについて、1〜9月に200万台以上販売しているところだけを残すと、

※当日会場では左の表にて説明いたしましたが、ホームページへの転載に際しまして、制作途上の誤った表を掲載してしまいました。関係者の皆様に深くお詫びいたしますと共に、本表のご利用に関しまして、ご留意いただきますようお願い申しあげます。

実はこれだけしか残りません。
DSが2年目、3年目に記録した異常とも呼べる数字が、私たちの感覚をいささか狂わせているという面もあるのではないかと思います。

※当日会場では左の表にて説明いたしましたが、ホームページへの転載に際しまして、制作途上の誤った表を掲載してしまいました。関係者の皆様に深くお詫びいたしますと共に、本表のご利用に関しまして、ご留意いただきますようお願い申しあげます。

しかし、それでも、過去のプラットフォームサイクルの考え方や、昨年から今年にかけてのDSハード販売の現象を先行指標にして、日本での減速を根拠に、「任天堂のWiiやDSのビジネスは、今年度でピークアウトするんじゃないか」という予想をされる方もいらっしゃるようです。
しかしながら、私たちは、単純に日本で起きたことが、すぐに遅れて海外で起きるという分析はしておりませんし、また、そういう分析は単純に過ぎるのではないかと思っています。またやり方次第で、今年度でピークアウトというシナリオは変えていけるはずだと思っています。


DSやWiiが登場する前、ゲームキューブやゲームボーイアドバンスの時代の普及台数をちょっと振り返ってみたいと思います。日本、アメリカ、ヨーロッパの3地域は、ご覧のように、アメリカでダントツの結果となっていました。任天堂は、この時代ヨーロッパでの展開力が弱くて、全体の半分以上をアメリカで売り、残りの半分弱を日本とヨーロッパで分け合うという構造でビジネスをしていました。しかし、私たちのビジネスは、同じように普及を進めていけたとしたら、最後は人口の比率でビジネス規模が決まるはずのビジネスです。日本の人口は1億2,700万人あまり、アメリカは約3億人、ヨーロッパでは任天堂が直営の子会社や支店を持っている国々、つまり直接ビジネスをしている国々だけでも3億人を超えており、EU全体では4億5,000万人を超えています。その意味で、アメリカは日本の2.5倍の市場が実現できるポテンシャルがあり、ヨーロッパにはさらに大きな市場の潜在的なポテンシャルがあるということが言えます。もちろん、ヨーロッパでは、ビデオゲームを親しまれる方の割合が、アメリカや日本よりも小さいと考えられますから、現時点では、人口全体に占める、アクティブなゲーム人口の比率は低く、現時点でヨーロッパのゲーム市場のポテンシャルは、まだアメリカ市場ほどの大きさにはなっていないと考えています。しかし、先ほどお見せしたように、ヨーロッパの市場が急激に拡大したというのは、アクティブなゲーム人口の比率が大きく変わりつつある、良い方向に変わりつつあることの証明ではないかと、私たちは感じています。


ちなみにソニーさんのPS2の累計販売台数を見ますと、やはり本来の市場のポテンシャルは、アメリカは日本の倍以上、ヨーロッパも日本の1.5倍以上はありそうだなということがわかります。
これは、任天堂がDSやWiiで取り組んだ「ゲーム人口拡大」が始まる前のビジネスの結果ですから、ヨーロッパの全人口に対するゲーム参加率、特に任天堂が直接マーケティングに取り組んでいる国々における人口に対するゲーム参加率は大きく向上しつつあるという手応えの中では、ヨーロッパの市場ポテンシャルは、このとき以上に大きくなるのではないかと考えられます。


これが9月末時点でのWiiやDSの累計普及台数です。これを見ると、Wiiは、日米欧のポテンシャルの比率に応じたペースで普及が進んでいるように見えます。こちらは、まだまだこれからが普及の本番です。幸い、来年は今年以上にソフトが充実する流れにありますから、先日のニンテンドーカンファレンスでお話ししたようないくつかの課題を解決していくことで、来年、再来年とさらに市場を拡大させていくことが可能ではないかと思います。一方DSは、本来の市場ポテンシャルに対して、非常に特殊なパターンで普及が進んでいることがわかります。これは、DSによるゲーム人口拡大が、日本、ヨーロッパ、アメリカの順で広がったこと、それがかなりの時間差があったこと、そして、日本では携帯型ゲームの市場が急拡大したということが影響していると思います。本来アメリカの約半分の大きさだった日本のゲーム市場ですが、DS向けには500万本級のヒットソフトが4タイトル立て続けに生まれて、これはゲームの歴史として前例のないことです。これは、アメリカやヨーロッパの市場ポテンシャルを考慮して考えれば、1,000万本級のヒット商品が4本連発するということですから、明らかに異常なことです。そういう中で起きた普及の結果これがこういう形なんですね。これが日本において2,000万台の到達にPS2が6年9ヶ月かかったのに、DSは3年弱で到達できた要因だと私たちは思っています。日本では累計普及台数が2,000万台に到達したあたりから、少し販売ペースが鈍化しています。しかしPS2の日米欧比率を見ても、アメリカもヨーロッパもまだまだ普及の余地が大きいということが言えますし、市場の飽和によって販売ペースが鈍化する臨界点に到達するには、まだかなりの余地がアメリカやヨーロッパの市場にはあるのではないかと感じています。特に、ヨーロッパは、ゲーム市場規模の拡大で先ほどお示しした通り、ゲーム人口が大きく拡大しつつある手応えがありますから、PS2の比率以上に、ヨーロッパの市場には拡大の余地があるのではないかと考えています。しかし、日本の市場は、従来の市場拡大のアプローチだけでは、そろそろ伸びの余地が小さくなってきました。そこで、私たちが明日、日本のお客様に提案するのが、


「ニンテンドーDSi」です。先日もお話ししたように、「ニンテンドーDSi」は、ニンテンドーDSプラットフォームのさらなる普及を目指して開発した、初代のニンテンドーDS、ニンテンドーDS Liteに次ぐ、


ニンテンドーDSプラットフォームの第3のモデルです。


ニンテンドーDSiの発表後、DSiは、カメラ機能や音楽プレーヤー機能で、携帯電話やiPodやPSPに対抗しようとしている、という論調の報道もありましたが、これは、必ずしもDSiの本質を正しくお伝えいただいたものではありません。
確かに、カメラ機能や音楽プレーヤー機能は、DSiの魅力のひとつですし、携帯電話のカメラやデジカメが画素数とズーム倍率の競争をしてきたことに対して、あるいは音楽プレーヤーが、筐体の小型化とメモリ容量で競争を続けてきたことに対して、DSiではカメラと音をさわって遊ぶという、全く新しい進化の軸を提案したという意識はあるんですけれども、それは、他社さんの製品に対抗しようという意図ではなく、全て、



このページの一番上へ