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2010年10月29日(金)経営方針説明会 / 第2四半期(中間)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

これは、2008年から2010年までの1〜9月の据置型ハードの販売台数を、イギリス、フランス、ドイツ、スペインの4カ国の各国の調査会社さんが発行しているデータを任天堂で集計して比較したものです。ヨーロッパ全体の市場のうち、この4カ国の市場規模は、約75%から80%程度になりますので、これら4カ国の集計結果でヨーロッパ市場の傾向をお話ししていきます。
昨年まで、アメリカとヨーロッパの市場規模を比較していただくために、スケールをそろえて表示していましたが、この2年でアメリカの市場規模との差が逆に大きくなってしまいまして、グラフが見にくくなりましたので、今回から独立したスケールにしました。
ヨーロッパでは、アメリカのようにXbox360が顕著に伸びているということは起こっていません。販売数での対前年比では、Wiiがマイナス、Xbox360、PS3は共にプラスですが、一方でWiiが最も売れているトップシェアの据置型ハードであるということは変わっておりません。


こちらは、据置型ソフトのこの3年間の1〜9月の販売数の推移です。
ハードと同じように、Wiiは前年対比でマイナスとなり、据置型ソフト市場全体の規模においては、この3年間、ほぼ同水準で足踏みが続いています。
ヨーロッパにおける据置型ソフトの市場規模は、アメリカに比べてまだ半分強というところです。ハードの普及台数を考えると、もう少しソフトも一緒に売れてもいいはずなんですが、ビデオゲームの社会受容性の違いなども含めて、まだ、市場拡大の余地があるということではないかと思います。


PS2のソフトシェアがPS3のソフトシェアに置き換わったこともあって、ヨーロッパでのWiiのソフトシェアは、今年、これまでのところは、PS3を若干下回っています。


これは、ヨーロッパの携帯型の推移です。
今年のニンテンドーDSは、市場をリードしてはいるものの、昨年春にニンテンドーDSiが発売されたときの勢いに追いつくことができずに、直近も、前年並というところです。


これは、ヨーロッパ主要4カ国の携帯型ハードの販売台数の推移です。
DSハードの販売台数は、2年連続して縮小しています。
減少率には国によって違いがあり、特に減少幅が大きいのは、イギリスやスペインです。フランスやドイツは相対的に減少幅は小さくなっています。


一方、これは、ヨーロッパ市場におけるソフトの販売本数の推移を比較したものですが、ヨーロッパは、携帯型ソフト市場が一度急拡大し、アメリカに匹敵する規模に近づきましたが、据置型ソフトがこの2年、市場規模を維持しているのに対して、携帯型ソフト市場は、市場規模を維持できていません。
このようなヨーロッパの携帯型ソフト市場の変化について、マジコンに代表される海賊行為を助長するデバイスの影響が大きいという説明がなされているようです。最近になってマジコン等の違法性を認める判決がヨーロッパ各国で相次いで出されるようになりましたが、確かにヨーロッパでは、このようなデバイスの普及により、海賊行為が先進国の中では最も広がってしまったということは、市場規模に影響はしていると思います。その一方で、今でも、DSでヒットしているソフトはあるわけですから、ソフト市場の変化を、単純に海賊行為のみが主要因と考えるのは早計だと考えています。
DSのソフトなら何でも売れていた、そういう時期が終わり、売れるものと売れないものの差がはっきりと表れるようになって、市場の中で淘汰が進んだことと、海賊行為の広がりが同時に起きたこと、そして、任天堂自身が、爆発的な勢いで普及した『nintendogs』や『脳トレ』の次の一本となるべきソフトをお客様にお伝えしきれなかったという反省点など、複数の要因がからんで起きていることではないかと私たちは考えています。


DSのソフトシェアは高いまま維持されているのですが、これだけ急激に市場が変化している中、ソフトシェアが維持されてさえいれば健全であると考えているわけにはいきません。
もう来年にはニンテンドー3DSを発売することになりますが、ニンテンドーDSについても、マジコン等への法的、技術的対策を充実させると同時に、巨大な普及台数を活かして、ヒットタイトルを生み出すことで状況を変えていきたいと思います。
今年3月発売の『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』はロングセラーとなって、『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』の販売ペースを追い抜く勢いで推移していますし、『ドラゴンクエストIX』も日本とは異なる息の長い売れ方で少しずつ数を積み上げています。日本では『絵心教室DS』として発売された『アートアカデミー』は、想定以上の出足で、一部の地域で品切れになるほどで、まだまだ上が狙えそうですし、直近に発売した3作目の『レイトン』も、ヨーロッパ地域で170万本以上セルスルーしている前作と同レベルの初動となっていて、これからが期待できそうです。


据置型、携帯型両方を合計すると、先ほどもお話ししたように、据置型ソフトは市場規模が維持されているものの、携帯型ソフトは市場規模が縮小してしまったために、全体としてソフト市場規模は小さくなってしまいました。


任天堂プラットフォームのソフト市場シェアは、DSもWiiも共に本数が減ったことから、今年は減少して、アメリカの市場シェアを2%下回ることになってしまいました。

 


最後に、日本の市場についてお話しします。



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