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2010年10月29日(金)経営方針説明会 / 第2四半期(中間)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

昨年に比べて勢いがないWiiやニンテンドーDSが年末に期待通り売れるのか? という懸念です。
もちろん、未来のことはわかりませんが、私たちは、通期の業績予想を見直す上で、昨年の年末商戦から学んだことも含め、自分たちなりにベストを尽くして計画をつくりました。確かに、足下の状況は楽観を許さない状況ですが、その一方で、


今年は、昨年以上に季節性の強い年末商戦期になることが予想されますので、現状の販売ペースをもとに過去実績に基づいて考えることには、あまり意味はないのではないかと思っています。このことは、私たちだけが考えているわけではなくて、世界各国の大手小売店さんとの商談においても、小売店さん側も同じように考えておられるとお聞きしています。
例えば、「Wiiが失速した」と言われていた昨年夏から秋にかけて、いくらハードの値下げをしたといっても、その年の12月にアメリカで月間381万台の販売というハードの月間販売台数の新記録が生まれることになろうとは、足下の状況をいくら見ても予測できなかったわけで、季節性の強い年にはこういうことも起こりうるわけです。
ニンテンドーDSやWiiは、これまでの販売数量から考えて、欲しいと感じていただけた時にすぐに購入いただけるタイプのお客様には既にある程度行き渡っていると考えられますから、これからは、欲しいと感じていただけていても、何かのきっかけがないと購入には動かれないお客様に、いかに実際に購入いただくかが重要になってまいります。その上で、年間を通じた最大のチャンスが年末商戦期ということになります。また、ここ数年の傾向として、商戦期に小売店さんがお得なオファーを出されることを、お客様は年々学習されて、我慢強くオファーを待たれる傾向もありますから、その意味でも、経済環境が厳しく節約ムードがある中で、よりこの傾向は強くなると思います。
しかし、いくら年末商戦期の需要が盛り上がるとしても、今年は昨年のような強力なタイトルが存在しないのではないか、とお考えの方もおられるかもしれません。


そこで重要になるのが、任天堂プラットフォームの特徴である、長期間売れ続けるソフトの存在です。
もし、今年の年末商戦期に売れるのが今年発売のタイトルだけということになれば、特にWiiでは確かに昨年のタイトルに比べて弱いということになるかもしれませんが、私たちは、昨年以前に発売されたタイトルの中に、今も大きなポテンシャルを残しているソフトがあると考えています。ちょっとこのグラフをご覧ください。


これは、現行ハード向けソフトの累計販売本数上位20タイトルを示すグラフです。
このグラフの水色が任天堂プラットフォームのタイトル、緑色がマイクロソフトさんのプラットフォームのタイトル、グレーがソニーさんのプラットフォームのタイトルです。他社さんのプラットフォームでは、『CALL OF DUTY』4タイトル、『Grand Theft Auto』、『HALO』が並んでいます。これ以外は任天堂のタイトルです。
ここで重要なのは、先ほどもソフトのヒットチャートのところでご説明したように、任天堂プラットフォームでは、発売後数年経っても売れ続けるソフトの存在感が際立っているということにあります。


これは、先ほどのグラフを、発売3カ月、発売12カ月、そして累計販売数で色分けしてみたものです。3カ月の初動というのは、発売が商戦期であるかどうかの影響も受けますので、発売3カ月で売れた割合だけで、単純に初動型かそうでないかということを判断するわけにはいきませんが、発売12カ月経過してからの伸び方を見ていただくと、先ほどのソフトのヒットチャートのところでご説明したように、任天堂プラットフォームでは、発売後数年経っても売れ続けるソフトの存在感が際立っていることがおわかりいただけると思います。昨年発売した、『Wii Sports Resort』や『Wii Fit Plus』、『New スーパーマリオブラザーズ Wii』などは、発売されてからまだ日が浅く、まだ発売12カ月以降のところが目立ちませんが、過去の任天堂タイトルと同じように、これからも売れ続けることが期待できますし、今年発売の『スーパーマリオギャラクシー 2』や『Wii Party』なども、こういう売れ方になることを期待しています。
なぜ、任天堂のプラットフォームだけ、長期間同じソフトが売れ続けるのかということを疑問に思われるかもしれませんが、それは、私たちの推進してきたゲーム人口拡大戦略によって、任天堂のプラットフォームには、新しくゲームを始められるお客様が多いことがその理由になっているのではないかと考えています。ゲームに詳しいお客様にとっては、「一昔前に発売された旧作のソフト」としてみなされる任天堂の定番ソフトですが、新しく入ってこられたお客様にとっては、「新作ソフトと同じ価値を持ち、安心感を持って遊んでいただける」という構造になっているわけで、年齢・性別・ゲーム経験の有無を問わず遊べるという任天堂ソフトの特徴が、ここでお客様に選んでいただける理由になっているのではないかと思います。


このようなソフトのひとつの代表が、『スーパーマリオ』シリーズですが、この年末、任天堂は、スーパーマリオ25周年を記念したキャンペーンを展開中です。


先週、日本で発売した『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』ですが、初週で約31万本を販売し、好調なスタートを切りました。年内に、海外市場でも順次展開していきます。


また昨日、スーパーマリオ25周年記念バージョンのニンテンドーDSi LLハードを発売しました。
ヨーロッパでは10月22日より発売しており、アメリカでは11月7日に発売予定になっています。


そして、Wiiハードでも、スーパーマリオ25周年のバージョンの赤いWiiハードを発売します。
この赤いハードには、Wiiモーションプラスの機能を統合したWiiリモコンプラスが同梱されます。
日本では11月11日に、アメリカでは11月7日に、ヨーロッパでは本日10月29日にそれぞれ発売予定となっています。


さて、ちょうど、今日発表させていただいたところなのですが、任天堂では、据置型ゲーム機「Wii」をインターネットに接続することで無料で利用できる動画配信サービス「Wiiの間」を11月1日よりリニューアルして、ショッピングサービス「Wiiの間ショッピング」を新たに機能追加いたします。
「Wiiの間ショッピング」はWiiの間のオリジナル商品に加えて、モール形式で参加する出店企業の商品で構成され、運営は任天堂の子会社であるWiiの間株式会社が、株式会社千趣会様と共同で行います。
スタート時の参加企業様は、株式会社千趣会様、株式会社千趣会イイハナ様、シャチハタ株式会社様の3社ですが、株式会社三越伊勢丹ホールディングス様をはじめ、複数企業の出店を今後予定しております。
日本を代表する百貨店様と総合通販の知見を活かし、新しいお茶の間ショッピングのスタイルをお客様と一緒に創っていくということを目指しています。



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