株主・投資家向け情報

2011年1月28日(金)第3四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

これは、日本市場におけるソフトの販売本数の推移を3年間同時期で比較したものです。
2010年には、『ポケットモンスターブラック・ホワイト』が史上最も早く500万本に到達する記録をつくり、また先ほどお話しした『モンスターハンター』のヒットもありました。それに加えて、日本では、PSP向けに多くの新作タイトルがリリースされ、PSPのソフト販売数の伸びに支えられる形で、携帯型ソフトの販売本数は前年に対して若干増えました。
これに対して、DS向けソフトでは、『ポケットモンスターブラック・ホワイト』以外に大ヒットソフトがなかったこともあり、全体としては、前年実績を割り込んでいます。


そのような背景もあって、携帯型の中でDSのソフトシェアは、大きく下がってしまいました。後で、アメリカやヨーロッパの数字をお目にかけますので、日本と状況が異なっていることもご確認ください。


これは、日本の据置型・携帯型を合わせたソフト全体の販売本数の推移です。
据置型の減少分を携帯型の増加分では補うことができきらずに、若干のマイナスとなってしまいました。
このようにしてみますと、日本では、ソフト市場に占める携帯型ソフトの割合が非常に高いことがおわかりいただけると思います。これが日本の市場の大きな特徴でもあります。


ソフト全体のハードメーカー別シェアの推移では、特に携帯型ソフトシェアが変化したことの影響を受けて、任天堂プラットフォームのシェアは下がってしまいました。


次に、アメリカの市場についてお話しします。


これは、 昨年のアメリカのソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
任天堂プラットフォームのタイトルが11タイトル含まれていますが、『New スーパーマリオ Wii』、『Wii Fit Plus』、『マリオカートWii』、『JUST DANCE』、『Wii Sports Resort』、そして、DSの『Newスーパーマリオ』と、6タイトルが前年以前に発売されたタイトルです。一方で、他社さんのプラットフォームで、前年以前に発売されたのは『Call of Duty Modern Warfare 2』のみです。初動中心のタイトルが多い任天堂以外のプラットフォームと、定番のロングセラー型タイトルが多い任天堂のプラットフォームは対照的と言えます。また、アメリカは、マルチプラットフォーム展開されているソフトでは、Xbox360バージョンが、PS3バージョンよりも上位になることがほとんどであるということも特徴です。
昨年の5月に、決算説明会でUbisoftさんの『JUST DANCE』をご紹介させていただきましたが、このゲームが据置型における「ダンスゲーム」の新たなジャンルを完全に確立し、続編の『JUST DANCE 2』と共に、チャート入りしているのも大きな特徴です。このほかにも、年間トップ20には入っていませんが、同じくUbisoftさんの『マイケルジャクソン・エクスペリエンス』や、ディズニーさんの『Epic Mickey』、THQさんの『uDraw』などがヒットし、昨年のWiiソフトの売れ方は、必ずしも、任天堂一極集中ではありませんでした。


これは、据置型ハードがアメリカ市場で毎月どのように売れているか、1週間あたりの数値にして比較したグラフです。アメリカでは、第三者集計機関のNPDは月に一度しかデータを出しませんし、4週間で1カ月と扱う月と、5週間で1カ月と扱う月がありますので、1週間ごとの平均にすることで推移を見ているものです。濃い色が2010年、薄い色が2009年です。
昨年10月末の経営方針説明会では、「年末に販売が集中すると予想しているので、年末には盛り返すことができると思います」と申し上げましたが、10月の時点では前年の半分程度のペースでしか売れていませんでしたから、実際に年末の結果が出るまでは、株主・投資家のみなさんにご心配をおかけしたのではないかと思います。

実際に週間販売数の推移を見ると、局面が変わったのは、11月2週目のスーパーマリオ25周年記念の赤いWiiハードの発売以降で、その後、感謝祭商戦から販売が大きく伸びました。
2009年12月は、Wiiが月間販売台数380万台を超えるという記録を打ち立てた年で、その実績に追いつくことはできませんでしたが、2010年12月の販売数は、Wiiが好調だった2008年12月の実績を超え、235万台以上販売でき、据置型ハードで3年連続年間700万台以上販売という、アメリカのビデオゲームの歴史において初めての記録をWiiで新たに樹立することができました。


これは、アメリカ市場における2008年から2010年までの据置型ハードの年間販売台数をNPDのデータを用いて比較したものです。Wiiの販売数が減り、Xbox360が大きく増え、Xbox360の年間販売台数は、Wiiの年間販売台数に肉薄しています。販売シェアにおいては、マイクロソフトさんだけがシェアを伸ばし、任天堂もソニーさんもシェアを減らしています。
マイクロソフトさんがこのように大きくシェアを伸ばしたのは、他の市場には見られないアメリカ市場独特の現象です。


こちらは、アメリカにおける据置型ソフトの販売本数の推移です。
据置型ソフトは、前年に対して若干数量が増えました。事前には、『Call of Duty』の最新作『Black Ops』は、前年の『Call of Duty Modern Warfare 2』の実績を上回れないのではないかと業界の多くの方が予想していたようでしたが、結果は、前年以上の結果となり、市場の拡大に貢献しました。また、11月まではWiiの年間ソフト販売本数はXbox360よりも少なかったのですが、Wiiのソフトは12月に、過去に発売した定番を含むいろいろなソフトが多く売れたことで、結果的に年間販売ソフト販売数で逆転ができました。


販売シェアで見ると、ソニーさんは、PS2の減少分をPS3の増加分で補う形となっているために前年とほとんど変わらず、Wiiの市場シェアが若干減少して、少しマイクロソフトさんに移るという結果になりました。



このページの一番上へ