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2011年1月28日(金)第3四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

これは、スペインのソフト年間販売上位20位までのヒットチャートで、任天堂プラットフォームのタイトルは10タイトルあります。
スペインは、伝統的にソニーさんの強いマーケットで、Xbox360タイトルはチャートには含まれていません。
特徴的なのは、DSで最もヒットしたソフトが、日本では『絵心教室DS』という名称で発売された『Art Academy』というソフトだったことです。このソフトは大変面白い売れ方をしましたので、後で補足説明させていただきます。


これは、イギリスのソフト年間販売上位20位までのヒットチャートです。9月までの時点では、DSのタイトルがチャートに含まれず、任天堂プラットフォームのタイトルが6タイトルと、今回ご紹介している市場の中で、最も少なかったのですが、年間チャートでは、DSタイトルも入ってきましたし、任天堂プラットフォームのタイトルは10タイトルに増えました。
イギリスでは、Wiiタイトルの中で『JUST DANCE』が年間のトップです。『JUST DANCE 2』も上位に入っています。
ちなみに、イギリスは、ヨーロッパの中で唯一、Xbox360の存在感がアメリカ並みに大きな市場です。マルチプラットフォームタイトルがXbox360優位になっているという点で、ドイツ、フランス、スペインと大きく異なります。


これは、ヨーロッパの据置型ハードの販売推移です。ヨーロッパ各国の調査会社さんが発行するデータを元に、任天堂でヨーロッパ全体の販売数を推定したものです。先ほどもお話ししましたが、2009年は集計上53週間、2010年は集計上52週間となりますので、グラフでは、2009年のデータを昨年と比較すべきところにあわせて表示しています。
昨年10月末の経営方針説明会の際にお見せしたグラフは、このグラフの41週目までのデータでした。この段階では、Wiiは据置型の中で最下位となっていましたので、「年末に需要が集中するので、そこで盛り返したいと思います」という私の発言は、単なる願望のように聞こえてしまったかもしれません。Wiiは、43週目に急加速して首位に立っていますが、これは、赤いWiiハードの発売タイミングです。そして年末に向けて販売が加速して、トップシェアに返り咲きました。
秋の時点での推移をご覧の方からすれば、年末のピーク週に他のハードの2倍近く売れるということを事前に予想された方はほとんどいらっしゃらなかったように思います。

先ほどのヒットチャートのところでも触れましたが、アメリカと異なり、ヨーロッパではPS3がXbox360をリードしています。アメリカに比較的近い傾向があるのは、ヨーロッパではイギリスのみとなっています。


これは、2008年から2010年までの据置型ハードの年間販売台数を、イギリス、フランス、ドイツ、スペインの4カ国の各国の調査会社が発行しているデータを任天堂で集計して比較したものです。ヨーロッパ全体の市場のうち、この4カ国の市場規模は、75%から80%程度になりますので、これら4カ国の集計結果でヨーロッパ市場の傾向をお話ししていきます。

定量的にも明らかですが、ヨーロッパでは、アメリカのようにXbox360が顕著に伸びているということは起こっていません。販売数での対前年比では、WiiとPS3がマイナス、Xbox360は若干プラスですが伸びはわずかです。しかし、Wiiはトップシェアハードの地位を維持したとはいえ、Wiiの減少幅が比較的大きかったため、市場シェアでは、Wiiが5%減、Xboxが4%アップ、ソニーさんが1%アップという状況になっています。


こちらは、据置型ソフトのこの3年間の年間販売数の推移です。
ハードと同じように、据置ソフト市場全体の規模においては、若干マイナスとなりました。


PS2のソフトシェアがPS3のソフトシェアに置き換わってソニーさんの市場シェア全体では変化はないのですが、ヨーロッパでのWiiのソフトシェアが下がったことも合わせて、昨年はPS3を若干下回る結果となりました。


これは、ヨーロッパの携帯型ハードの販売推移です。
年の前半はニンテンドーDSiが発売直後で活況だった前年に対して減少幅が大きかったのですが、秋以降は、前年の実績には届かなかったものの、ニンテンドー3DSが発表されていたということを考慮すると、減少幅はそれほど大きくならずに、比較的堅調に推移したと言えると思います。


これは、ヨーロッパ主要4カ国の携帯型ハードの年間販売台数の推移です。
DSハードの販売台数は、2年連続して大きく減少してしまいました。特に、春から夏にかけて、前年を大きく下回ったことが、このような状況を生み出してしまった原因です。しかし、意外に思われるかもしれませんが、市場シェアでは、DSハードの市場シェアは若干上昇しています。


一方、これは、ヨーロッパ市場におけるソフトの販売本数の推移を比較したものです。
ヨーロッパでは、DSの普及とともに携帯型ソフト市場が拡大し、アメリカに匹敵する規模に近づいていたのですが、据置型ソフトがこの2年間、市場規模を維持しているのに対して、携帯型ソフト市場は、市場規模を維持できていません。
以前からヨーロッパでは海賊行為の影響が特に大きいと言われてきましたが、それ以外に昨年前半は、新たなヒットソフトを生み出すことができなかったこともあって、DSハードそのものの稼働率が低下していたことが影響していたのではないかと分析しております。


DSのソフトシェアは高いまま維持されていますが、携帯型ソフト市場規模の推移はとても満足していられる状況ではありませんので、ニンテンドー3DSを新たに市場投入することと合わせて、これから、携帯型ソフト市場の再活性化に取り組みたいと思います。



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