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2014年10月30日(木)経営方針説明会 / 第2四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡
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本日は、お忙しい中、当社の経営方針説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の岩田でございます。


以前にお知らせしましたように、6月に病気のため手術を受け、しばらくお休みをいただいておりましたが、お盆明け以降は出社しての業務を再開しており、現在では、通常の業務に復帰しております。ご心配をおかけいたしました。


決算の概要については、先ほど常務の君島からご説明させていただきましたが、第2四半期に収支のバランスは改善いたしました。非需要期で有力タイトルの発売が少なかった上半期全体で営業利益はほぼプラスマイナスゼロ、第2四半期の3か月間では営業黒字に復帰いたしました。
全体的な傾向としては、ニンテンドー3DSは、上半期に前期に比べて市場にインパクトを与える有力タイトルが少なく、ハード・ソフトとも販売数量が減少いたしました。一方で、Wii Uに関しては、5月の『マリオカート8』の発売や、6月のE3での発表を受けてWii Uプラットフォームに対する期待を高めていただけたことなどもあって、ハード・ソフトとも前年を上回る推移です。
しかし、収支が改善したとはいえ、売上は前期と比較して減少しています。


前期に対する当上半期の売上減少の主要因は、国内の3DSハード販売が踊り場を迎え、前期に対して減速していることによるものです。2012年、2013年と国内の3DS市場は1年を通じて絶好調と言える状況が続きましたが、この3年間4〜9月の3DSハード・ソフトの販売数はご覧のようになっており、有力タイトルの発売時期の違いはあれ、ソフト市場規模は一定レベルで維持できているものの、当期はハード販売の伸びが鈍っている状態にありました。
このグラフの集計期間に含まれていませんが、10月11日にNewニンテンドー3DS、Newニンテンドー3DS LLを発売しました。後ほど少しくわしくお話しいたしますが、お陰様で好調なスタートを切ることができましたので、これから国内3DS市場はこの踊り場を抜け出し、さらにハードの普及を前進させることで、今期後半に販売を挽回していくことを見込んでおります。


今回は、今年1月に開催した前回の経営方針説明会と異なり、年末商戦というビデオゲームビジネスにとっての最大の商戦期を控えた時期での開催になりますので、足下の状況と年末商戦の展望について、少し時間を取ってお話ししたいと思います。


まず、ニンテンドー3DSについてです。


日本では9月に、海外では10月に発売しました『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』が、お客様のご支持のおかげで、世界各地で好調なスタートを切ることができたことからお話ししたいと思います。9月末時点での全世界での出荷本数は322万本ですが、これから、さらに伸ばすことができる手ごたえです。


3DS版の『スマブラ』が、全世界で好調なスタートを切ることができたことには、いくつかの意義があると考えています。
まず、これまでコンソール機向けソフトとして実績を重ねてきた『スマブラ』シリーズが「携帯機ソフトとしても大きな存在感を示すことができる」ということを証明できたということがあります。発売前に、業界内には「携帯機で『スマブラ』が売れるのか?」という見方をされていた方もおられましたが、その心配は杞憂に終わったと申しあげて良いと思います。
また、当社ならびに業界のみなさまの想定を上回る初動によって、日本でもアメリカでも発売直後には品切れでお客様にご迷惑をおかけしてしまいましたが、発売時に一気に多くのお客様に広がり、「誘い誘われ構造」が生まれた結果、ニンテンドー3DSの稼働率が高まり、ニンテンドー3DS市場全体へのアテンションと熱量が上昇した手ごたえがあります。これから、年末商戦に向かい、かつ有力タイトルの発売が続く時期であることを考えると、今後のニンテンドー3DS市場の勢いの改善にとって非常に大きな手ごたえがありました。
さらに、『スマブラ』は、当社のさまざまなゲームに登場するキャラクターが一堂に会するゲームですので、『スマブラ』を楽しんでいただくことは、任天堂IP全体を理解していただくことにつながり、今後、他のシリーズソフトに興味を持っていただくきっかけとなります。言いかえれば、『スマブラ』が遊ばれれば遊ばれるほど、任天堂IP全体の価値を底上げできるということになります。


また、11月に全世界で発売される『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』の予約が非常に好調に推移しています。スライドでは、昨年の『ポケットモンスター X・Y』との比較をご覧いただいていますが、日米欧問わず世界的に共通の傾向として、予約は好調です。
おそらく、多くの業界関係のみなさまは、『オメガルビー・アルファサファイア』は、昨年発売された『ポケットモンスター X・Y』のように完全新作ではないため、「ニンテンドー3DS向けに全面的にリメイクされているといっても、昨年ほどの販売規模にはならないはず」とお考えだと思いますが、これまでの予約動向はその予想を良い意味で裏切る推移を見せています。特にヨーロッパなどは、『ポケットモンスター X・Y』を大幅に上回る水準で推移しています。
そのひとつの要因として、当社では、興味深い仮説を持っておりますので、ご紹介したいと思います。それは、『スマブラ』シリーズを楽しんでこられたお客様と、『ポケットモンスター ルビー・サファイア』を初めてのポケモンソフトとして強く心に刻まれているお客様は、その世代が共通で、重なりが非常に大きいと思われるという仮説です。私たちは、「スマブラ・ルビサファ同世代仮説」と呼んでいます。


『スマブラ』シリーズが、本格的に初動で大きく動くような有力ソフトとして認知されたのは、シリーズ2作目のニンテンドーゲームキューブ向けの『大乱闘スマッシュブラザーズDX』からでした。このソフトは、日本で2001年11月に、アメリカで2001年12月に、ヨーロッパでは2002年5月に発売されています。
そして、ゲームボーイアドバンス向けの『ポケットモンスター ルビー・サファイア』は、その翌年の2002年11月に日本で、2003年3月にアメリカで、2003年7月にヨーロッパで発売されています。参考までに申し添えますと、当時は、ソフトのローカライズには長い時間がかかっていて、全世界同時期に発売することは実現できていませんでした。
このように、この2つのソフトは、ほぼ1年の間隔で発売され、両方のソフトを楽しまれたお客様が同じ世代に非常に多くいらっしゃったということがあります。



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