■木下さんはどのような仕事をしていますか?
木下:主にWiiやニンテンドーDSなどのソフトウェア開発をしている部署で、ゲーム開発者が効率よく開発できるようにサポートする仕事をしています。たとえば、ゲーム開発に使用する機材や他部署が作成したライブラリやツールを、開発者が使用する前に問題がないかチェックしたり、ゲーム開発者が技術的なことで困っているときに、調査や検証を協力して行い、解決したりします。これらの仕事で得た情報を部内で共有するために、部内用のWebページを作成するといった仕事もしています。
--どういうときに開発者をサポートすることが多いですか?
木下:開発機材が正常に作動しないなど、何らかのトラブルが起きたときが多いですね。私たちのチームでトラブル履歴をためて情報を共有しているので、たいていの機材のトラブルはそのノウハウを生かして対応できています。困っている人がいるときに、問題をすぐに解決できると嬉しいですね。一方、ゲーム開発のプログラム中にトラブルが起きて、私たちだけでは解決しきれない場合などは、その機材やプログラムを開発している担当者に問い合わせたりして、間に立つ役割をしています。
--部員向けにWebページを作るときは、どのような工夫をしているんですか?
木下:私はWeb系のアプリケーションスクリプトを作るのが得意なので、それを生かしています。たとえば、Webページ内でボタンを1つ押すと、開発に必要なプログラム類をコンピュータにインストールできるようにしたりして、ゲーム開発者が簡単にコンピュータを設定できるように工夫しています。私の仕事は、この機能を作ったからソフトが10万本多く売れる、といった結果が出るものではありません。でも、開発者のちょっと面倒な作業を簡略化して作業時間を短縮するといったことでゲーム開発に貢献できるように、自主的にいろいろ取り組むようにしています。
--印象に残っている仕事は何ですか?
木下:以前使っていたゲーム開発のプログラムを管理するシステムを、より便利なものに移行させる作業を担当したことです。そういうときのために、ふだんから開発に便利なオープンソースのソフトウェアについて情報を収集し、試しで使ったりしながら部内で活用できないか研究しています。このときは、サーバーでいろいろ実験したり、構築後の運営方法を考えるという初めて経験する仕事もあってたいへんでしたが、そういった技術面以外にも、部署のメンバーに新しいシステムを使ってもらうように働きかけることの難しさも感じました。使い慣れたものから離れて新しいものを使ってもらうことって、すごくたいへんなんですよね。部員向けのWebページでシステムについて紹介したり、プログラマーの先輩に使ってもらってメリットを宣伝したりして、スムーズに移行していけるように工夫したつもりです。
--達成感のあった仕事は何ですか?
![]() ■学生時代はどのような生活を過ごしていましたか?
木下:コンピュータに興味があったので、大学は情報系の学科を選びました。大学が自宅から遠くて、片道2時間以上かけて通学していたので、1限目の講義に出るには7時前に家を出ないといけなかったですし、2年生まではみっちり講義があったので、家と学校を往復するだけの毎日でした。でも、パソコンばかり触っていては運動不足になると思って運動系の部活に入ってからは、大学の帰りは練習に直行していました。ふだんなら週に4回ぐらい、大会前には毎日練習して、頑張っていましたね。
--学業も部活も両方頑張っていたんですね。
木下:大学では好きなことに集中して勉強しようと思っていたので、興味のある科目を積極的に履修していました。プログラミングのように、何かを作ったりすることが好きなので、実験や演習はすごくおもしろくて、授業後も残って友人たちと勉強したりしていました。実験演習はくじで決まるという珍しい仕組みだったので、いろいろなことを幅広く勉強する機会がありました。はんだごてと格闘することもあって、うまく使いこなせなかったですけど楽しかったですね。
--任天堂で働こうと思ったきっかけは何ですか?
木下:情報学科だったので、就職活動を始めた当初はIT系の会社などを研究していました。でも、ビジネスのための仕事をするよりは、生活必需品ではない娯楽の世界で、人をわくわくさせるものに関わる仕事ができたらおもしろいな、ゲームを開発する現場に関わる仕事ができたら楽しいな、と思ったんです。私はゲームプログラミングの経験はありませんでしたが、ゲームを作っているということは、コンピュータを使っていることは間違いないので、私が大学で勉強してきたことが役立つ可能性があるのではないかと思っていました。
--実際に入社して開発現場で働いてみて、想像と違ったところはありますか?
木下:入社前は、「最先端の技術を駆使して開発しているはず」といろいろ想像していたのですが、思ったよりアナログだなと思う部分がありました。でも、何もかもシステムで効率化しているのではなくて、ゲームを開発していく上での効率性を考えて、そういう方法をとってきたんだとわかりました。その方が、ポンポン出てくるアイデアに柔軟に対応できるんでしょうね。そういうところは、任天堂ならではでおもしろいなと思います。
■振り返ってみて、入社してからどのように成長できていると思いますか?
木下:幅広い技術知識を求められるので、学生のときよりもさらに勉強して知識が増えていると感じています。そして、実際に開発の現場にいて、「こうなったらもっと便利なんじゃないかな」と気づくと、それに関連することを調べて解決したりしますし、解決した後でも、「こんなことができたらもっと便利だろうな」と考えて、ツールを作ってみたりします。そうやってためてきた情報や知識をまったく別の件に応用できたとき、成長できているなと感じます。最近、いままではわからなかったことがパッとわかるようになってきたり、仕事がスムーズに運ぶようになってきた気がするんです。それは、入社してから地道に学んだ知識が身について、現場の開発者よりも一歩引いて全体を見渡しながら仕事をする中で、考える余裕が持てるようになったということなのかな、と思っています。
--今後の目標は何ですか?
木下:新しいライブラリやツールをいち早く触ることができる立場にあったり、自主的に提案したことを試させてもらえる環境にいるので、もっとプログラミングを勉強して、もっと高度な技術サポートができたらと思っています。また、ゲーム開発にも興味があるので、ゲーム寄りの仕事をプログラミングでも関われるようになりたいです。
--ありがとうございました。
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AM 8:30 出社 AM 9:00 他部署が作成した開発機材の検証、部内Webページの更新 AM 11:00 部内ツールのデバッグ AM 12:00 昼休み PM 1:00 ミーティング PM 3:00 ラジオ体操 PM 4:00 管理しているサーバーのメンテナンス PM 5:00 機材トラブルのサポートで部内を行ったり来たり PM 6:00 ウェブ上で、サポートしているチームの技術的な質問に答える PM 7:00 プログラミング PM 8:00 帰宅 |
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