自分だからこそできるものを

きっかけはお手製の差し入れ

手製の少し大きめの「あみぐるみヨッシー第1号」 手製の少し大きめの「あみぐるみヨッシー第1号」

私は事務系の採用枠で入社したのですが、入社後に配属されたのは、ゲームの開発部署でした。1本のソフトを企画提案から完成までしっかり育て上げるのが私の仕事ですが、プログラムはできませんし、絵が描けるわけでもありません。それでも、モットーにしていることがあります。それは、自分だからこそできることを探して実行する、ということです。


そんな私が関わっていたのが、Wii Uの『ヨッシー ウールワールド』です。毛糸の素材を使ったら、遊びがどう変わるか、どう楽しくなるか、ということをコンセプトに開発されたアクションゲームです。制作は社外の開発会社さんと協力しながら行うのですが、私はできるだけお客様の立場に立ち、「これはやめて、こうしましょう」といった、時には現場の空気を悪くしてしまうようなことも言わざるを得なかったのです。


でも一方で、チームの人たちに気持ちよく開発してもらいたいと思っていました。そこで差し入れをしたのが、ヨッシーのクッキー。
自分の手作りだったのですが、すごく喜んでもらえたので、それに味をしめた私は、あみぐるみのヨッシーを作ることにしました。もともと編み物の経験はなかったのですが、なんとか独学で勉強して、作ったのが少し大きめのヨッシーです。これがのちにamiiboの「あみぐるみヨッシー」シリーズにつながるわけですが、この時点では私はまったく想定していなかったので、できあがったものは大きさが30センチほどもありました。

お店の売り場に行って感動

ひたすら編み続けた“手製の”あみぐるみヨッシーたち ひたすら編み続けた“手製の”あみぐるみヨッシーたち

その後のことです。突然、ハード開発の人から呼び出されたのは。偶然にも「このソフトのamiiboは、フィギュアじゃなくて、ぬいぐるみがいいんちゃうかな?」と言うのです。手製のあみぐるみヨッシーで皆が喜んでくれた姿を思い出し、「それ、すごくいいですね!」とすぐに意気投合しました。


それからは、かわいいあみぐるみヨッシーをどうしても商品化したいという一心で、ひたすら編み続けました。試作品を作っては直し、作っては直しを繰り返して、改良をどんどん加えていきました。そうしてなんとか納得のいくサンプルを完成させ、それをもとにぬいぐるみ専門の会社さんに制作を依頼したところ、プロの技で一気に、任天堂の商品としてお客様へ提供できるクオリティに仕上げていただけました。


あみぐるみヨッシーの発売日は、もちろんお店に行きました。「自分の“子どもたち”が立派になって舞台に立ってる」と、感動で泣きそうになったことをよく覚えています。最初にお話ししましたように、私は開発する人たちに対して、どこか負い目や憧れを感じていたところもありました。でも、このときの経験から、自分だからこそできることが必ずあるんだという自信を持つことができたと感じています。

社員略歴

渡辺恵未

渡辺恵未企画制作部/2006年 入社
2006年「事務系」入社。Wii『マリオ&ソニック AT 北京オリンピック』(2007年)や『毛糸のカービィ』(2010年)など、コーディネーターとして多くのタイトルに関わる。Wii U『ヨッシー ウールワールド』(2015年)ではゲームのアイディア出しからamiiboのデザインまで幅広く担当。
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