任天堂がフィギュアを作るとき

amiiboの量産のために中国へ

私はもともとWiiやWii Uのパッケージソフトの生産計画立案を担当していたのですが、2014年からamiiboを量産することになり、部材調達と生産計画立案も含めて、納期関連全般を担当することになりました。ただ、これまで任天堂はフィギュアを作った経験がありませんでしたので、最初はほとんど手探りの状態からスタートしました。


フィギュアを量産するというと、機械からどんどん製品が出てくるようなイメージを持たれている方がいらっしゃるかもしれませんが、任天堂のamiiboは、手作りに近い状態で作られていて、その工程は大きく分けて3つあります。まずプラスチックを成形し、バラバラのパーツに色を塗り、最後にそれらを組み立てて完成します。例えばリンクだと、頭やボディ、剣や盾など、20数種類のパーツで構成されていて、それらをひとつずつスプレーで着色し、筆で色を塗って仕上げるようにしています。


amiiboを作っているのは中国にある委託先の工場です。私が中国を訪れたのは量産開始当初のことで、とてつもなく広い工場にamiiboを作るために大勢の人たちが集まっていることに、まず驚いたのですが、やはりはじめての量産ということもあって、さまざまなトラブルが発生しました。

商品の背景と思いをしっかり伝える

amiibo ドンキーコング(大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ) amiibo ドンキーコング(大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ)

例えばドンキーコングの目は、タンポ印刷という手法で塗ることになっていたのですが、不良率がとても高かったのです。タンポ印刷とは、目の印刷部分をいったんシリコンに刷り、それをドンキーの目の位置に転写するという手法なのですが、ドンキーの頭が曲面になっているため、ほんの少しずれただけでも、変な目つきになってしまうのです。さらに、当初は白目だけを先にスプレーで塗り、その後に黒目をタンポ印刷で塗るという工程になっていて、手間がかかっていました。そこで工場の方と相談し、白目と黒目の両方をタンポ印刷で塗る方法に切り替えることで、生産効率を上げることができました。


また、あるときは製造ラインの上を、頭のないマリオがどんどん流れてくる場面に遭遇しました。頭の作業が遅れているのは一目瞭然です。そこでラインをさかのぼっていくと、マリオのもみあげの成形部分で、多くの不良品が出ていることが判明したのです。そこでまた工場と相談をして対策を講じる、というようなことを、中国での滞在中はずっと繰り返していました。


でも、そこで学んだことはたくさんあります。中国と日本とでは文化や仕事の仕方が異なりますが、誠意を持って話せば、相手に必ず伝わるということです。任天堂の品質へのこだわりや、それに対する思いをしっかり伝えれば、相手もちゃんと対応してくださるんですね。


amiiboの発売日はお店に行って、もちろんドンキーコングとマリオを買いました。中国でとても苦労した末に、やっと量産することのできた商品ですので、私にとってはすごく思い入れがあります。

社員略歴

山本和則

山本和則購買管理部/2012年 入社
2012年「事務系」入社。WiiやWii Uのソフトの生産計画の立案業務を経験。『amiibo』(2014年)のプロジェクトでは、生産計画の立案から対外的な価格交渉等、購買担当者として幅広く関わる。
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