アイドル曲を作詞・作曲

イカ世界に合わせた曲に

アイドルユニット「シオカラーズ」の設定資料の一部 アイドルユニット「シオカラーズ」の設定資料の一部

私は『マリオ』シリーズや『ゼルダ』シリーズなどの曲作りに関わってきましたが、Wii Uの『Splatoon(スプラトゥーン)』の話が来たときは驚いてしまいました。イカ世界のアイドルの曲を作ってほしいと言うのですから。


チームに加入してすぐ、デザインスタッフと打ち合わせをしたのですが、そのときにはすでに設定資料ができあがっていました。ちびっこ民謡歌手出身の2人組アイドルユニット……のちに「シオカラーズ」というユニット名になりましたが、私はその資料を元に、まずは「フェス」と呼ばれるイベントで、彼女たちが広場で歌う曲を作りはじめました。


民謡歌手という設定を意識して、最初は民謡色を前面に出した曲を作ってみたのですが、和の色が強すぎて、イカ世界の、独自の雰囲気を感じにくい曲になってしまいました。そこで、あからさまに民謡っぽさが出るフレーズや伴奏を、なんとなく民謡風に聴こえるようなニュアンスに調整し、それに加えて、うねうねとした音色を取り入れることで、架空のイカ世界が連想されるような音楽にしていきました。


次は作詞ですが、イカの歌ですので、どこの言語でもない架空の歌詞にしなければなりません。そこで、白い紙に「あ」から順番に五十音を書き出し、イカっぽく聴こえる発音を探すようにしました。「な行」や、母音が「いー」とか「えー」といった響きだと、軟体動物っぽいかな……など、感覚的ではありますが、周りにも相談しつつ、自分でも実際に歌って響きや歌いやすさを確認しながら、歌詞を作っていきました。

音楽プロデューサーになった気分

ハイカラシンカ

実際に「シオカラーズ」の歌を聴かれた方の中には、コンピュータで作られた声だと思っている方もいるかもしれませんが、実は本物の歌手の方が歌っています。「シオカラーズ」の2人は、それぞれに個性がありますので、その個性に合った歌いかたや声色の方にお願いしたのです。やはりプロの方の声には張りや伸びがあり、表現力も豊かですので、民謡らしい抑揚をつけた歌いかたなど、こちらの色々な注文に対応をしていただけました。ただ、録音した歌をそのまま使うと人間らしさが出すぎてしまうので、イカらしさを表現するために、最後にコンピュータで加工・調整をしました。


そうしてできあがった曲が、ゲームの中に入って、はじめて「シオカラーズ」が歌っているのを見たときは……月並みな言いかたになりますが、すごく感動しました。バーチャルなアイドルではあるのですが、生き生きと歌って踊る姿に見入ってしまい、まるで自分が音楽プロデューサーになったような気分になりました。実は私、アイドルの曲を作ることが長年の夢だったのです。

社員略歴

藤井志帆

藤井志帆企画制作部/2007年 入社
2007年「サウンド系」入社。Wii『New スーパーマリオブラザーズ Wii』(2009年)/Wii『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』(2011年)/Wii U『New スーパーマリオブラザーズ U』(2012年)/Wii U『マリオカート8』(2014年)など、Wii U『Splatoon(スプラトゥーン)』(2015年)の他にも、多くのタイトルでゲーム音楽の作曲を務める。