イースター・エッグを仕込む

すごい熱気の中で開発

「試射場」にはバスケットゴールが置かれている 「試射場」にはバスケットゴールが置かれている

プログラマーとして入社した私は、任天堂の人気タイトルに関わりたいとずっと考えてきました。ところがある日、上司から「次はWii Uの『Splatoon(スプラトゥーン)』のチームだよ」と言われた私は、思わず「何ですか、それは?」と聞き返しました。『スーパーマリオ』や『どうぶつの森』などのシリーズとは違ってまったく新しいタイトルでしたし、すごく不安な気持ちでチームに合流したのです。ところがそんな不安は一瞬で消え去りました。すでに開発をはじめていた先輩たちからすごい熱気を感じましたし、「いままでに体験したことのない、新しい遊びが作れそうだ」と思ったのです。


このゲームを世に出すために、個性豊かな開発スタッフたちがそれぞれ、自分がいいと思うものをひたすら詰め込むような感じで開発は進んでいきました。それはある意味で“悪ノリ”に近い感じだったのですが、その雰囲気にのまれて、私がある“遊び”を入れたのは、開発の終盤のことでした。


『Splatoon』には「試射場」と呼ばれる場所があって、ブキの性能を確認するために試射することができます。ひとりのデザイナーがその「試射場」を作ったのですが、ビルに囲まれている空き地に、ストリートバスケットをするためのゴールが置かれていて、そのゴールを見た私たちはある“遊び”を思いついたのでした。

こっそり入れた“遊び”

こっそり入れた“遊び”

「ゴールにボムを投げ込めば、ネットが揺れて、しかも声が出るようなものを入れてみよう」と後輩のデザイナーと盛り上がったのです。そこで2年下のエフェクトのデザイナーに頼んでボールがネットに擦れるSE(サウンドエフェクト)が出るようにしてもらい、さらに別の後輩に頼んでエフェクト(映像効果)まで付けてもらいました。それは、上の人には相談するどころか、伝えることもせずに、こっそり入れた“遊び”だったのです。


ところができあがってみると、すごく恐くなったのです。というのも、その翌日はすべての仕様をフィックスさせる日だったのです。私たちが入れた“遊び”でバグが発生すれば大問題です。そこで恐る恐るディレクターやプランナーに報告すると「おもしろいやん」と言ってもらえてホッとしました。


そのように開発スタッフがこっそり入れた“遊び”を「イースター・エッグ」と言うのですが、制作中はプロデューサーの耳までは届いていなかったと思います。でもゲーム完成後の打ち上げのときに、「ネットが揺れるのを見たときに、細かな部分にも魂が吹き込まれて、この世界の納得感がグッと高まったのを感じた」と言ってくれたのです。その言葉を聞いた私は心の中でガッツポーズをしました。


今後も「イースター・エッグ」のようなことを続けていきたいと考えています。次回はもちろんこっそりではなく(笑)。その結果、お客様に喜んでいただけるような仕掛けをひとつでも増やせれば、と思っています。

社員略歴

筒井啓太

筒井啓太企画制作部/2012年 入社
2012年「理工系(ソフトウェア)」入社。Wii Uの本体メニューの開発にプログラマーとして関わる。Wii U『Splatoon(スプラトゥーン)』(2015年)では、ゲームプログラマーを務める。
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