宝物にしてほしいという想いを込めて宝物にしてほしいという想いを込めて

「いいこと思いつきました」

段ボールのToy-Conを自分で組み立てて、いろんなゲームを遊ぶことのできる『Nintendo Labo』。この製品のアートワークの仕事にデザイナーとして参加した私が、まずはじめに手がけたのがロゴです。完全新作ですから独自性を出すことが絶対条件で、しかもシリーズ化するので、飽きの来ない普遍性が求められました。それに組み立てたToy-Conにも印刷されますので、クルマでいうエンブレムのような役割を持たせる必要がありました。

そこで、何度も試行錯誤を重ねた結果、遠くから見ても認識できるようなロゴを作ったのですが、自分でToy-Conを組み立てるという、この商品が持つ未完成さをどうにか表現できないものかと悩んでいました。その時、後輩デザイナーが「いいこと思いつきました」と言って、とてもいいアイデアを教えてくれたのです。それは、ロゴのまわりを囲んだ四角い枠の右下を取るというものでした。それにより未完成さが表現できるようになったのと同時に、紹介映像でのロゴを組み立てるアニメーションにもつながることになりました。

さらに取り組んだのが、この商品のユニークさが1枚で伝わるビジュアルづくりです。今回は、『Toy-Con 01: Variety Kit(バラエティ キット)』と『Toy-Con 02: Robot Kit(ロボット キット)』を世界で同時発売するということもあって、日本だけでなく世界共通のビジュアルにすることになっていました。しかも、当然のことですが、国によってビジュアルへの要求が異なったんですね。たとえば段ボールを上質なものに見せてほしいとか、知育玩具っぽいイメージを出してほしいとか……。なので、北米やヨーロッパの担当者も納得する1枚を作るという、とてもハードルの高い仕事に向き合うことになりました。

全世界に向けてデザインする醍醐味

そこで、それぞれの言い分を汲み上げながら、ビジュアル案を制作し、同時刻に日米欧の担当者が集まり、テレビ会議で方向性を説明することにしました。全世界に向けて、という醍醐味がありましたので、そこは頑張りどころだと思い、熱を込めて説明をしたところ、最終的に了解を得ることができました。この段階でのビジュアルはラフだったので、その後、社内のカメラマンやリタッチャー、社外のカメラスタジオの協力を得て、ビジュアルを完成させていきました。


そうやって制作したロゴとビジュアルを詰め込んで、最後にデザインをすることになったのがパッケージです。そこで、どのようなデザインにするべきか、スタッフが集まって話し合ったところ、出てきたのは子どもの頃の思い出話でした。プラモデルや人形を親に買ってもらって、帰りの電車の中で、まるで宝箱を手にしたかのようにワクワクしながらパッケージを眺めた記憶が、みんなのなかにあったのです。

プラモデルのパッケージには、情報がぎっしり詰まっています。そこで『Nintendo Labo』のパッケージも、箱の隅々まで情報を載せることにしました。それは外側だけでなく、箱を開けると「HELLO NINTENDO LABO」のメッセージが見えるようにしたり、ソフトパッケージも、自分の名前が書き込める手帳風のデザインにしました。そうしたのは、宝物にしてほしいという想いを込めてのことだったのですが、遊んだ人たちが将来、大きくなってパッケージを見たときに、お父さんやお母さんに組み立てを手伝ってもらったり、兄弟といっしょに遊んだ日々のことも、宝物のように思い出してほしいという願いも込めているんです。

社員略歴

井尻 雄己企画制作部/2010年 入社
2010年「デザイン系」入社。
Nintendo Switch / Nintendo Switch『Nintendo Labo Toy-Con 01・02・03』(2018年) / Nintendo Switch バッテリー持続時間が長くなった新モデルのロゴ・ビジュアル・パッケージ・ブランディング等のデザインを担当
職種