トライアル&エラーを重ねてトライアル&エラーを重ねて

Toy-Conデザインのメイン担当に

入社後に配属されたハードウェア開発部で目に留まったのが、デスクの上に並ぶ段ボールで作られたプロトタイプでした。私は学生時代にモック(実物大の模型)を作るときに紙を使うこともあったため、任天堂ではプロトタイプを段ボールで作ることもあるんだ、と思いました。ところが、それは1年後に発売される『Nintendo Labo』の試作品だと聞かされて、すごく驚きました。

その直後に私は、『Nintendo Labo』の開発に関わることになったのですが、最初に発売されることになる『Toy-Con 01: Variety Kit(バラエティ キット)』と『Toy-Con 02: Robot Kit(ロボット キット)』の開発はかなり進んでいて、業務の進め方を学びながら、お手伝いをする感じでした。そしてしばらくしてから、4作目の『Toy-Con 04: VR Kit(ブイアール キット)』の開発が本格的にスタートすることになり、私は、「Toy-Conのデザインをメインで担当してください」と言われたのです。4作目のToy-Conは6つ作る予定で、私が担当するのはそのうちの1つだろうと思っていたのですが、「VRゴーグル以外の5つを担当して」と言われて、正直、唖然としました。入社して半年が経つか経たないかという頃でしたから、当然のことながら悪戦苦闘することになりました。

たとえば「風Toy-Con」は段ボールのペダルを足でこいで風を感じながら前に進むゲームを作ろうとしていたのですが、ペダルを踏む部分の作り込みが難しく、強度に問題がありました。風を作り出すためにはどのような形状が良いか、うちわや葉っぱ、いろいろなものをイメージし、作ってはうまく風が起こるか機能を試し、強度に問題がないか機構設計者やゲームプランナーと一緒にトライアル&エラーを重ねた結果、現在の形の「風Toy-Con」ができあがりました。

繰り返し子どもモニターを実施

開発の終盤までトライアル&エラーを重ねることになったのが「トリToy-Con」です。このゲームは、Nintendo Switch本体を入れたVRゴーグルを取り付けて遊ぶようになっていますので、重さも影響して長時間遊ぶと疲れてしまいます。そこで何度も試行錯誤を重ねた結果、注目したのが肘の角度でした。脇を締めて遊ぶと持ちやすく、しかも長時間持っても楽なことがわかったのです。

そこで、トリToy-Conを握りやすくするために、グリップの部分に多面体を採用したのですが、今度は「子どもでも組み立てられるのか?」という問題が起こったのです。そこで、小学生を集めて、組み立てられるか試してもらう「子どもモニター」を繰り返し実施して、問題点があればすぐに改良するようにしました。そのように何度もトライアル&エラーができたのは、Toy-Conが段ボール製であることがとても大きかったように思います。問題があればその日のうちに作り直すことができますが、金型を使った成形品だと、そうはいきませんからね。

そうやって5つのToy-Conを完成させ、初めて紹介映像でその「トリToy-Con」の動く姿を見たときは、とても感動しました。何度も何度も作り直しただけに、すごく思い入れがあります。そもそも私がハードウェア開発部に配属されたときは、自分の机の上が段ボールの切りくずだらけになるようなことをまったく想像していなかったわけですが、何かを思いついたときに、実際に作ってみて確かめるという習慣ができたことも、この開発に関わってよかったことのひとつだと考えています。

社員略歴

河村 哲嗣

河村 哲嗣技術開発部/2017年 入社
2017年「デザイン系」入社。
『Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit(ブイアール キット)』(2019年)や「Nintendo Switch タッチペン」(2019年)のプロダクトデザインを担当。「Nintendo Switch」や「Newニンテンドー2DS LL」の新色や特別仕様の開発にも関わる。
職種