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プロジェクト採用

Special Interview

人を楽しませることに
情熱を

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の地形がどのような考えで作られ、
そして続編の開発ではどのような人に関わってほしいのか、
3人の開発スタッフに語ってもらいました。

  • 滝澤 智

    滝澤 智

    1995年入社。NINTENDO 64ソフト『時のオカリナ』からゼルダシリーズに参加し、デザイナーとして多くのタイトルに関わる。『ブレス オブ ザ ワイルド』に続き、その続編でもアートディレクターを担当。

  • 竹原 学

    竹原 学

    東京のゲーム会社を経て、2011年に任天堂に入社。『マリオカート8』などに関わったあと、『ブレス オブ ザ ワイルド』では地形デザインの建物担当リーダー、続編では地形デザインのスーパーバイザーを担当。

  • 泉 洋平

    泉 洋平

    2008年入社。ゼルダシリーズでは『大地の汽笛』や『スカイウォードソード』の開発に関わり、『ブレス オブ ザ ワイルド』では北部エリアの地形デザインなどを担当し、続編では地形デザインのリーダーに。

生き生きとした世界を創る

─ 開発者であるみなさんは、どのようなことを考えて、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下BotW)』を作っていたのですか?

アートディレクターだった私は、生き生きとした世界を創るにはどうしたらいいか、ということをひたすら考えていました。プレイヤーの没入感を高めるために、たとえば動物の生態をリアルに表現することや、天候の変化や時間の経過も含めて、そこに本当の世界があるように感じてもらうにはどうしたらいいのか、ということをずっと考えていましたね。

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私は、街や村の建造物全般の制作と監修、そしてDLC(追加コンテンツ)では地形リーダーを担当したのですが、お客様が遊んでくださったときに、納得感のある世界、違和感のない世界を実現しようと考えていました。街や村にはいろんな人たちが暮らしていますし、自分の実体験を思い返しながら、見たことないデザインの建物だけども、そこにちゃんと人々の生活や人間味を感じてもらえるものを盛り込もうと思案しながら作っていました。ゲーム内では語ってはいませんが、裏設定として地場産業的なものがそれぞれの村や街にあったりもするんです。

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実体験という意味では、開発現場では「裏山の冒険感」という話もけっこうしていて……。近所の裏山にのぼって探険したり、野生の動物に出会ったり、キノコ狩りをしたりといった、子どものときの原体験がよみがえるようなものにしたい、ということも、みんなでよく話していました。

そうですね、原体験については制作中もよく話をしていましたね。これは私が『BotW』チーム合流時に地形リーダーから聞いた話なのですが、ハイラル全土に渡って生えている草、これも原体験というところからの提案だそうで、「風になびく草」「草をかき分けて進む冒険感」、これがあることでこの世界に臨場感が出てくることと、厄災がおこったあとも「人の営みは関係なくただ美しい自然がある」という、ひとつの世界観を確立できるのではないかと考えたようです。

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そこで「とにかくたくさん草を生やしたい!」とプログラマーにお願いしたところ、地形リーダーの想像を超えたボリュームと動きの草ができてきたらしく、嬉しい悲鳴を上げたそうです。それと同時にプランナーもこれに応えてくれて、草を切ったらアイテムが出てくるというようにと、過去作のゼルダらしさを残しつつ、うまく『BotW』にマッチしたゲームの仕様へと当てはめてくれたそうで、最終的には『BotW』の地形になくてはならないものの1つになったんです。
原体験というキーワードから草が連想され、大量の草の配置が可能になり、そこから遊びが生まれ、最後にはチーム一丸となって商品として仕上げていく。私はこの話を聞いていて、何ともゼルダチームらしいエピソードのように感じました。

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私は、祠やシーカータワーのデザイン、それに北部エリアの地形を担当したのですが、開発のはじめにこのプロジェクトの構想を聞いたとき、「こんなに広い世界をどうやって作るの?」と思ったんです。ところが実際に地形デザインの仕事がはじまると、プログラマーが今までにない作業環境を用意してくれていました。通常はPCでモデリングしたものをゲームの実機に出力する、というフローが一般的なのですが、『BotW』の作業環境ではゲーム内でそのまま地面を自由に触ることができたんです。リンクを動かしては「あと1m、丘を高くしよう」とすぐ調整できるなど、非常に試行錯誤もスピーディーで、作業時間の短縮により生まれた余裕をその分遊びやクリエイティブに注ぎこむことができました。ハイラルの大地を作り上げる作業はまるで子どものときに遊んだ油粘土に似たような感覚で、少しずつ力を加えては確かめる、というふうにいろんな地形をかたち作っていったのですが、そういった細かな作業を何度も何度も繰り返した結果、最終的に大きな世界ができあがった、という感じだったんです。

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─ あれほど広大な世界を作るというのは、やっぱり大変だったんでしょうね。

はい。最初に「壁をよじ登ることができる」と聞かされましたが、地形デザイナーの感覚としては「行けない」から「壁」なのであって、登れるということは「壁」ではなく「道」なんですよね。二次元のゲームを三次元にするというくらいの作業量の変化なので、これは大変なことになるぞと思いました。でも、たとえば高いところを登る際に、崖の中腹に岩をどこにどう配置すればいいのかというようなことを考えるのはすごく楽しかったんです。もちろん長い開発期間でしたので、大変なことはちょくちょくあったりはしたんですけど、その大変さを上回る、遊びを考える楽しさを体験できたんですね。なので、大変さのあとにおもしろさが、どんどん上書きされるような感じで作っていました。

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全員でプレイをすることで意識を共有

─ 長い開発期間のなかで、ほかにはどんなことを言いながら作っていたんですか?

「おもてなしをしすぎない」ということは、よく言っていましたね。地形での遊びは、プランナーと地形デザイナーが一緒に考えたりしていたのですが、見え見えの仕掛けにならないよう、自然な感じになることを意識していました。

そうですね。『BotW』のゲーム性にも繋がる話ですが、あからさまにユーザーさんを導くような見た目を作ると、やらされている感を与えてしまうので、そうはならないように気をつけていましたね。ものにもよりますが、自然と「あっちに何かありそう」と感じてもらえる程度にとどめる、といった感じで調整はしていました。

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─ 竹原さんはキャリア採用で入社されたということですけど、『BotW』の開発で、前の会社の作りかたとは違う、と感じたことはありますか?

任天堂では「ここまでやるんだ」ということをすごく感じましたね。たとえば地図の真ん中にハイラル平原という広く平坦な地形を配置してしまうと見晴らしが良すぎるんですね。広大な地形を作るときには処理負荷のためにも遠方のモノはできるだけ視界を遮って見えなくするというのが定石なのですが、『BotW』の場合、ハイラル平原が中央にあって、どこにいても全世界が結構な丸見え状態でしたし、そもそもそんな定石は度外視というか。

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さらにハイラル城への行き来はローディング画面なしのシームレス死守ということで、あれだけの物量をシームレスでつなぐとなると、それはそれでかなりハードルが高かったりはするんですが、ゲーム的に必要であれば、そこは妥協しないと。
ただ、まわりのスタッフは、そうするのがむしろ当然だという感じでやっていたことに驚きましたし、最後にはそんなスタッフたちの手厚い協力もあって見事に商品レベルにまでもっていくことができました。
これやったら面白くなる!と分かったときの妥協しない姿勢は任天堂ならではというか、やっぱり並々ならないものがあると、そのときあらためて感じました。

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やっぱりお城の中にいるゼルダ姫を助けることが、このゲームの最終目標ですからね。なので、どこからでも見えるように、いつでも助けに行けるように、お城をハイラルの中央に置くことは最初から決まっていました。そうすることで、お城がこのゲームの象徴的な存在になりますし、その四方に神獣を配置し、それらを解放するたびに、それぞれの英傑がお城に向かって照準を合わせるという演出が生まれたのですが、それはゲーム進行を表すUIのひとつにもなったんです。

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─ その照準を見ることで、あといくつの神獣を解放すればいいのかがわかりますしね。そのようにいろんな場所から見えるということでは、高い塔のシーカータワーもこのゲームの象徴的な存在でしたよね。

シーカータワーは15基あるのですが、それぞれをどこに置けばいいのかということで、かなりの調整を行いました。そこで実際に塔の上にのぼって、360度を見渡しながら何が見えるのか、ということを検証しましたし、地上のあちこちの場所に立って、塔がどう見えるのかを検証するようなことも繰り返しました。

─ ある場所に立って、塔が見えにくいから、その位置をずらすようなこともしたんですか?

はい。しょっちゅうです。でも例えば位置を修正すると、今度はそこに合わせて配置していた敵、樹木、イベントといった多岐に渡る関係者の作業もズレてしまうんです。そこで開発環境を整備して、ちょっといじっても、すぐにゲームの中で修正した箇所をお互いゲーム内で確認できるようにしてもらいました。「ココの塔の位置をズラしました」みたいな吹き出しが目に見える形になっていて、しかもそれがそのまま各担当者へのタスクにリンクしている、といった感じでした。

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開発初期の段階から、開発が効率的になる仕組みをプログラマーチームが継続して作り続けてくれたんです。もしその仕組みがなければ、そこまで細かな調整ができなかったでしょうね。

プログラマーが作ってくれた新しいツールということでいえば、2017年のCEDECの講演でもお伝えしたことでもあるんですけど、誰がどこの地形をいじっているのかということを、ゲーム画面でリアルタイムに確認できるようにもなっていました。それまでは表計算ソフトを使って、誰がどこを制作しているということを管理していたのですが、『BotW』はゲーム規模が大きくて、関わっているスタッフも大人数なので、ミスが起こりやすくなるんですね。そこで、制作管理表を組み込んだようなゲーム画面にすることで、同じ場所を同時に別々の人が調整するようなミスは起こりづらくなったんです。

あとは、丸1日、長いときは1週間くらい開発の手を休めて、スタッフ全員で『BotW』を遊ぶ日を設けるようなこともしました。モニタープレイと呼んでいたんですけど、それをすることで、「このようなゲームは遊んだことがないぞ」とか「こんなこともできるんだ」というモチベーションをみんなで共有できるようになったんです。

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それに、その時点で何が作れていて、何ができていないのかということも全員で共有することができましたし、さらにそういった情報を共有することで「ここの地形にはこんな遊びを入れたほうがいいんじゃない」といったアイデアも、いろんな人から出てくるようになったんですね。

フラットで、三位一体の開発環境

─ そうやって作られた『BotW』ですが、その続編を開発中なんですね。

はい。鋭意制作中です。続編について現段階で詳しいことをお話しできないのですが、今回お伝えしたいことは、前作を超える新しい体験をユーザーのみなさんにお届けするため、さらに多くの方の力をお借りしたいと。なので今回追加で地形デザイナーを募集することになりました、ということですね。

─ 「地形デザイナー」というのは、任天堂独自の呼びかたのようですね。

他社さんでは、背景デザイナーとかBG(バックグラウンド)という言いかたをされたり、海外ではEnvironment Artist(エンバイロメントアーティスト)と呼ばれたりしている職種です。ただ任天堂では、地面や背景、それに建造物や植物などを作るだけでなく、その地形を活かしてどう遊んでもらうか、ということもプランナーと一緒に考えながら作ることが多いですし、なるべく広い範囲を包括しそうな言葉として「地形デザイナー」という呼びかたが根付いたのかなと考えています。

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─ 地形をデザインし、どう遊んでもらうかということは、どのように作っていくのですか?

プランナーと一緒に考えるようにしています。そこにプログラマーが加わって、ひとつの地形を作っていくことになるのですが、それはまるでトライフォースのような関係でもあるんですね。つまりデザイナー、プランナー、プログラマーが三位一体になってアイデアをひとつの形にするようになっています。

しかも、その関係性がすごくフラットなんです。前にいた会社ではトップにディレクターがいて、その下に何人かのリーダーがいて、その下に……というような、いわゆるヒエラルキー型と呼ばれる縦構造の組織で開発していました。ところが任天堂では、ディレクターの指示どおりに仕事をするだけではなく、フラットな関係で、しかも風通しのいい組織ですので、若手であっても自分の意見もすごく言いやすい開発環境になっていると思います。

実はカカリコ村とコログの森って、開発初期から中盤まではカカリコ村の位置にコログの森、コログの森の位置にカカリコ村といった具合に、製品とは位置的に逆だったんです。開発が進むにつれ、ストーリーの精度があがったり、ゲーム自体が組みあがったりしていくわけですが、それにつれ、この2つの村の位置関係に違和感があると思い始めたんです。そこで地形リーダーに村の位置を入れ替えたいと相談したころ、「確かに!」となり、すぐさまディレクターの元へ。時期が時期だけに、ダメと言われるのを覚悟していたのですが、意外にもあっさり、「確かにその方が諸々の仕様に対しても良さそうですね、地形デザイナーが良いならやりましょう」と。
根っこに面白いものを作ることに貪欲というのもあるんでしょうけども、それにも増して、誰が言ったということではなくて、こういった意見を真摯に受け入れてもらえるのは、とても風通しの良い職場だなと、そのとき改めて感じました。

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たしかにそんなことありましたね。地形デザイナーとしても村の入れ替えは結構な作業量のはずだったと記憶していますが、任天堂の人は面白いものを作ることに貪欲だと言っていた竹原さんもいつのまにかそうなっていたと(笑)。

確かに(笑)。ゼルダチームにいると何か自分が知らなかった力を引き出されるような気もします。ゼルダは任天堂の中でも長い歴史をもつタイトルですし、『BotW』のチームの雰囲気も相まってか、これまで関わってきた人たちの知識の積み上げや、ゲーム作りの考えかたを自然と吸収できたのかもしれないです。

カカリコ村とコログの森の話はかなり大きな話ですが、チーム内では常にどうしたら面白くなるのかといった話は繰り返されていますし、その中で誰が言ったではなく、良い意見やアイデアは採用されることが確かにありますね。なので、ただ言われたとおりにデータを作るのではなく、そのようにフラットな関係で、三位一体の開発環境を経験することは、ゲーム開発者としても大きな糧になると思っています。

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─ みなさん続編ではどのような人に来てほしいと考えていますか?

とにかく人を楽しませるということに対して、すごく情熱がある人に来ていただきたいです。前作の『BotW』を作るときは、スタッフの中には初めてゼルダシリーズに関わる地形デザイナーがいたり、地形の仕事が初めてというデザイナーもいたりしたんです。それでもその人たちには、『BotW』を通じて人を楽しませたいという情熱があって、だからこそ最後まで仕事をやり遂げることができたのだと思っています。

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もちろん地形作りの高いスキルや強い情熱をお持ちの方にも興味を引かれますが、それよりもご自身の作るモノの先にしっかりとユーザーさんを想像できている方には、お話をしていてとても好感がもてますね。
決して独りよがりではなく、ユーザーさんを楽しませるにはどうしたらいいのか、それには何が最適なのか、そういったことを自ら考えてくれたら嬉しいですし、日頃から社内の若手デザイナーにも、ゲームを遊んでくれる人のことは頭の片隅において地形を作ってほしいと話しています。
ゲームは遊んでもらって初めて娯楽として成立するものなので、そこでの体験をないがしろにはできないですから。このインタビューの中で「おもてなしをしすぎない」というお話がありましたが、ユーザーさんにとって何が面白い体験なのかを考えると、『BotW』では、おもてなしをしすぎないことが逆に「おもてなし」になっているんです。なにかそういった「おもてなし」の意識を持った方が来てくれたら嬉しいですね。

面白いものを生み出すための強い情熱、ユーザーさんへのおもてなしの心、そういったものを持った方々に来ていただけたらもちろん嬉しいですし、ゼルダチームはそういう人たちにとっては最適のチームだとも考えています。
そもそもゼルダチームは何でもできる万能な人たちの集まりではなく、それぞれ違った個性を持った人たちの集まりです。なので、たとえMayaなどのソフトウェアを習得しきれていなくても、「やる気だけだったら誰にも負けない」という方でもいいですし、「もともと『ゼルダ』が大好きで、おもしろいアイデアがどんどん湧いてくる」という方でもいいんです。
そして、開発現場でいろんな個性のぶつかり合いを楽しんでいただければと思います。
このインタビューをご覧になって、我こそはと思う人はぜひご応募ください。『BotW』の続編を、楽しみながら一緒に作りましょう!

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