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社長が訊く 〜任天堂で働くということ〜

目次

製品技術編(2)

Vol.5-2

取締役社長 岩田 聡 / 黒川 修 2004年入社 / 三浦 正幸 2000年入社 / 中西 孝雄 1995年入社

4 切ったり、嗅いだり 〜未知との遭遇〜

岩田

たぶん一般の人は、どうやって材料の不純物を
分析しているのかを知らないと思うので、
それは三浦さんの専門ではないでしょうけど、
どんな分析をするのか話してくれませんか。

三浦

規制によって分析方法も変わるんです。
例えば重金属なら重金属用の分析装置があります。
分析対象にX線を当てると、重金属が入っている場合には
X線が変化してはね返ってきます。
その量がグラフで出るので、分析担当の人は
それを見て判断します。

岩田

最近だと、Wiiの「リモコンジャケット」の
分析が大変だったという話を聞いたんですが、
どのように大変だったんですか?

三浦

あれは実際は、危険な物質が
入っていたという話ではないんですよ。
シロキサンという物質がシリコーンゴムに含まれていて、
リモコンジャケットのゴムから揮発した
シロキサンガスがモーターの接点に影響すると、
モーターが回らなくなることがわかっていました。

岩田

モーターが回らなくなるとリモコンが
振動しなくなるかもしれませんし、
リモコンジャケットはリモコンにずっと装着するものだから、
しっかり検証しないといけなかったんですね。

三浦

まず、こんなにシリコーンゴムを使って、
いろんな工場で同時に量産を立ち上げるというのは、
ギネスブックに載るんじゃないかという話も
あるくらいすごい量で。

一同

(笑)

三浦

「とりあえず600万個作りましょう」
ということになって、金型も各メーカーさんで
かなりの量を作りました。

岩田

わかりやすく言うと、
たい焼き器の型みたいなのを何千と作ったんですよね。
ゴムの成型って、いつも慣れている
プラスチックの成型と随分勝手が違うそうですね。

三浦

違いましたね。
そのたい焼き器みたいな型にゴムを入れて、
型から引き抜くにもコツが必要であったり、
先ほどのシロキサンガスを抜くために
オーブンにも入れないといけません。
生産数が多かったので1社だけではなく
10社ほどのメーカーさんに同じ品質のものを
作っていただく必要があり、品質管理が難しかったですね。

シロキサンガスを抜くように作っていたのですが、
本当に安心して使えるのか心配で、やはり
我々で分析をやるしかないということになりました。

岩田

どんな風にして分析を進めたんですか?

三浦

量産前の試作段階から、毎日各社さんに
サンプルを送ってもらって、送られてきた
ジャケットを眺めて、とりあえず切るかと(笑)。
シロキサンガスが残っていそうな
一番中心の分厚いところを
「1ミリグラムで切ってください」と
分析の人から言われて、1ミリグラムかぁ・・・と、
サイの目に切っては、電子計りに乗せて。

岩田

1ミリグラム単位で!想像を絶するなぁ。
だんだん勘良く切れるようになるものですか?

三浦

なりますよ。

一同

(笑)

三浦

その頃は同じチームの9人総がかりで、
交代交代でみんな並んで、1ミリグラムを
1個1個切っていくんです。
そのうちに、「あ、ガスが残っていそう」というのが
臭いでわかるようだという話になってきて、
臭いを嗅いだりもしました(笑)。

一同

(笑)

三浦

でも、測ってみたら本当に出てしまって…。

岩田

はぁー、シロキサンガスに鼻が利くようになったと。

三浦

製品技術の前回のインタビューに出ていた
森さんをはじめとする量産担当の人たちが
生産現場の中国に張り付いていたので、
臭い確認を検査項目に入れたらどうですかと
推薦したりして、連携して生産を進めました。

オーブンで焼いても、なぜかシロキサンガスが
検出されてしまうことがあり、
それをたどって調べるのが大変でした。
「オーブンの中に詰め過ぎじゃないですか?」とか、
「オーブンの換気ファンが回ってないんじゃないですか?」と
現地に連絡をとって連携しながら、
いろんな原因を考えて対応しました。

岩田

同じ工程のはずなのに、作る場所によって
シロキサンガスの残留量に
ばらつきがでるんですね。

三浦

同じ条件で作るように依頼しても、
同じ条件にはなっていないんですよね。
任天堂でも初めてですけど、シリコーンゴムの
加工メーカーさんも、これだけ大量のものを、
シロキサンガス含有量何PPM以下にしてほしい
なんて言われながら作るのは初めてというところ
ばかりでしたので、試行錯誤しながらでしたね。

目に見えないものを調べないといけないので、
分析というのが非常に重要だということを実感しました。

岩田

幸い市場でモーターが起こした
トラブルを聞きませんから、
量産試作での試行錯誤から始まり、
量産品の最終チェックまで、
製品技術部のメンバーが連携して行った
一連の品質管理の成果ですよね。

三浦

分析を含めてしっかりチェックできたんだなって思います。

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