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社長が訊く 〜任天堂で働くということ〜

目次

製品技術編(1)

Vol.5-1

取締役社長 岩田 聡 / 森 真吾 1991年入社 / 高田 対馬 1996年入社 / 和田 将樹 1992年入社

4 どうして、WiiやWiiFitを作れたのか 〜任天堂の製造魂〜

岩田

製造という立場からみて、任天堂はどうして
あのタイミングでWiiやWiiFitを作れたんだと
思いますか?

高田

あの期間であれだけのものを、という意味で言えば正直、
「全速力で走り続けた、単純に頑張った」としか
言いようがありませんね(苦笑)。

岩田

すみませんね、ひどい目に合わせて。

一同

(笑)

高田

Wiiの本体は、時間がかかる金型検査という部分を、
従来のやり方と劇的に変えたんです。

短期間で生産量をアップするためには、部品を作るための
金型がたくさん必要になります。
そこで、これまでは日本である程度まで進めていたことも、
工場のある中国で一気に対応をしていくという形をとりました。
中国現地でメーカーさんと一緒に、金型の出来に
問題ないかの確認作業を昼夜交代制で行いました。

実は私はこの新しいやり方に
最初は反対していたんですけど(笑)。
状況に応じて臨機応変に、何を行って、何を変更し、
何を省くかというのを製造部門としてうまく
判断できたんだと思います。

岩田

私は、いわば勝負どころでは思い切ったことを
する必要があると思っていますし、勝負どころと、
そうではないところとを、うまくコントロール
できたら良いなと思っているんです。

和田さんは、なぜあのタイミングで
WiiやWiiFitを作れたと思いますか?

和田

これまでは開発部門のほうである程度設計が
完了してから製造部門に情報を引き継いで準備を開始し、
準備が完了してから予算を出して、量産に向け
進めるという方法でした。
それを、WiiやWiiFitのときは、これまでより短期間で
量産に出さなければならないので、開発の初期の段階から
開発部門と製造部門がお互いに協力するようにして
進められたことが大きかったと思います。

我々としても、まだ具体的な開発が進んでいない段階から、
こんな商品を作りたいという抽象的な情報だけで、
どんな検査器が必要になるのかというのを想定して
動いていました。
そうしないと量産に間に合わないんです。
いざ量産体制に入って、検査器ができていないと
大変なことになりますから。

苦労も多かったですが、やり遂げたときは達成感がありましたね。

岩田

言わば、のりしろのようなものをいっぱい重ねたのですね。

製造側の立場から開発の人たちに設計変更提案を行う
というのも聞いたのですが。

実際に生産をしているなかで、ここをこういう風にしたほうが
生産効率が良いとか、不良率が減るとか、
コストも意識して提案しています。
できあがったものに対して指摘する場合もありますが、
設計する段階でこういう風にしてほしいと伝えることも
非常に重要なことだと思っています。

岩田

確かにそこは生産現場の前面に立っている人しか、
わかりませんからね。
「そこにいる人しかわからないことをどう展開するのか」
というのは、その人が当事者意識を持たない限り
できませんよね。

高田

世の中の変化のスピードが速くなって、
作るものがどんどん複雑になっている状況のなかで
両部門が歩み寄って、みんな同じ方向を向いて、
同じ目標をもち、一丸となって動けたところは
一番大きいですよね。
みんながまとまりやすいのが任天堂らしいなと思います。

和田

開発部門は設計する部署だとか、
製品技術部門は品質を守る部署だとか、
仕事を分断するようなセクショナリズムが少ないと思いますね。
それでスムーズに発売にこぎつけられたんだと思います。

岩田

確かに、より良いものを作るために
一緒に担っている感じがしますね。

お二人が話したことの他には、過去にお客さんに
ご迷惑をおかけした苦い経験を繰り返したくないという思いや、
あとは、携帯型ゲームに比べて据置型ゲームの市場が
あまり活発ではなかったハングリー精神もあって、
頑張れたのではないかと感じています。
これは私だけかもしれませんが…。

岩田

私もそうでした(笑)。

一同

(笑)

岩田

私は、みなさんが話されたような「任天堂の製造魂」が
発揮されたからこそできたんだと感じています。

任天堂の製造の強みはふたつあると思っていて、
ひとつは、ものを作っている人なのに、
すごくものを使う人の視点で作っていて、
「どう使われるんだろう」「どう遊ばれるんだろう」というように、
「お客さんがこれを受け取ってどんな顔をされるのか」を
考えている人の割合が多いことだと思うんです。

それは私もDSのタッチパネルをつくったときにすごく実感しました。
タッチパネルの設定調整はお客さんに調整をしてもらう
仕様にして、工程で仕上げる必要はないんじゃないかと
思っていましたが、「やり方を知らない人でもすぐに使える
状態にしなければならないから、設定調整は工程で
仕上げなければならない」と言われ、なるほどと思いました。

岩田

もうひとつの強みは、製造というのは仕組みがあって、
マニュアル化されて方法が固定されやすいものだと
思われがちですが、我々が作っている娯楽製品は
理詰めでそのとおりやったら売れるというものではなく、
面白くないと売れないものですので、
「面白いもの」、「喜んでもらえるもの」を作るために、
やり方に対しては、みんながフレキシブルに
受け入れてくれる。

前例がないからできないというのではなく、
今回はこうしないと駄目だとなったら、そのために
どういうふうにするかを考えようという組織ですよね。

そういったことが結果的に、任天堂が作るものの
品質や信頼感につながっていて、開発部門が安心して
チャレンジをできる拠り所だと思っているんです。
面白いものをつくる設計能力、開発能力があっても、
製造部門をあてにできなかったら、私としても、
「今年の年末はこれで勝負しよう!」と
決断できないですからね。

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