ショコラ・クラックス

ショコラは長い間、ただの岩だと思われていた。
学校の近くの丘で、半分くらい土に埋まるように横たわり、まわりには草もはえていたので、生き物だなんて考える人はいなかった。
２０年前、丘に道を作った時に、作業員がツルハシでたたいた時にうめき声を出して、ようやく生き物だと認識されるようになった。

その後も、あまり活動的ではなかったが、作業員が掘り出したミミズが怖くて動き出すようになった。しかし、当時まだ歩くのは苦手で、ミミズに追いつかれてしまう始末。だが、体を這うミミズの感触は、長年土に埋まっていた体の半分で感じていたもので、懐かしさがこみあげてきた。

それ以来身近にいる小動物が好きで、小鳥をながめたり、トカゲが体の上を這いまわったりするのを楽しんでいる。時々無心に土を掘ってミミズをながめている。