タイトル:桃太郎電鉄 ペンネーム:はたや さん 年令:19才 性別:男性
「ほら、ファミコン貰ってきた。カセットもたくさん」
そう言って親が渡してくれたのは、黒く大きな機械だった。
当時幼稚園生だった俺は、「これがファミコンなんだ」とドキドキした記憶がある。そしてまた、友達の家にあった機械を見て、「え、これもファミコンなの?」と不思議に思った記憶もある。
自分の家にある機械が『ツインファミコン』だと知ったのは、それからかなり先の中学に入ったころだった。
とにかく、俺はその『ファミコン』に夢中になった。
そしてそのうち他のゲームもやりたくなった。

そんな時に、どこから情報を仕入れたのかは忘れたが「あるゲーム」を知った。
どうしてもそれがやりたかった俺は、祖父にねだりにねだりまくって、誕生日プレゼントとして買ってもらえるようにこぎつけた。
だいぶ先のことだったが、なんとか我慢して待っていた。

そして誕生日。やっと貰えたプレゼントの包装を嬉々として破っていくと、中には『桃太郎電鉄』があった。
俺が欲しかったのは『桃太郎 伝 説 』だった。
祖父の満足げな表情を見て、俺は泣いた。そして怒った。
なんで間違ったの買ってくるんや。
なんで一文字違うんや。
なんでこんなの売ってるんや。
狼狽する祖父を尻目に散々怒鳴り散らした後、仕方なしに『電鉄』をやってみた。
なんだ、ただのスゴロクか。最初はそう思った。
サイコロの目に一喜一憂し、物件を奪い合い、イベントに泣かされ、地元の大分県を制覇し、気がつけば規定年数。
いつのまにか、すっかりハマっていた。
俺の機嫌を見に来た祖父は、そんな姿を見てこう言った。
「それも結構面白いやろ?」
あの時はまだ腹が立っていたので返事をしなかったが、今なら言える。
「うん。おもろい」

じいちゃん、ありがとう。
今度帰ったら、ばあちゃんと一緒にお参りに行くからね。



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