タイトル:アイスクライマー ペンネーム:オプティマス さん 年令:26才 性別:男性
放課後毎日のようにY君と遊んだ思い出のゲーム“アイスクライマー”。
当時、2人同時にプレイできるゲームは少なく、カセットは何本か持っていたが互いに待ち時間が必要ないこのゲームをよく遊んだものだ。
協力したり邪魔しあったりその時の気分で自分たちのルールが変わるのも魅力だったのだろう。
カセットの持ち主のY君は年上でゲームは僕より上手だった。よく置いてけぼりにされてゲームオーバーになったものだ。悔しかったが僕がゲームオーバーになるとリセット、2人で再開という遊び方で楽しく競いあえたものである。

ある年の3月、少し暖かくなったこの日も“アイスクライマー”を2人で遊んでいた。普段はピョンピョンと先に登ってしまうY君が少し登っては僕を待ちまた登るという風にしてくれた。
僕が「どうしたの?今日は仲良しゲームなの?」と聞くと「そうだよ」とだけ答えてまた黙って遊び続けた。
そして帰り際に「お前ヘタだからこれあげる。練習してこいよ」と“アイスクライマー”を僕にくれた。「??」と思ったが子供なので理由を考えず大好きなカセットが自分のものになった事を喜び持ち帰った。
当然親はこの「ゲームどうしたの?」と問いただし「Y君がくれた」といっても聞いてくれず、僕が黙ってもって帰ってきてしまったと思い、Y君の家えへ電話した。

Y君の親が出て「Yがさよならのプレゼントに○○くんにあげたんだよ」と説明してくれた。

「○○、Y君お引越しだって寂しくなるねゲーム大事にしなきゃね」
僕はカセットを放り出してY君の家に走った。

「Y君お引越ししちゃうの?もう遊べないの?」
「○○、一生遊べないわけじゃないんだし泣くなよ。それより“アイスクライマー”練習しとけよ!うまくなっていなかったらカセット返してもらうからな」

あれから十数年たった現在ファミコン本体は黄ばみ、テレビにつながってはいないが僕の本棚の中で青いカセットが差し込まれたまま静かな時間を過ごしています。



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