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杉森建のときどき更新されるれろ
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第1回「ドリルのドリルらしさとは?」
その1「最初のごあいさつ」
2005.09.22
 皆さん、こんにちは! ゲームフリークの杉森建です。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ぼくはいつもはポケモンのデザインを考えたり、グラフィックを描いたりしています。でも、今回の『スクリューブレイカー 轟振どりるれろ』では、絵を描く仕事からちょっとはなれて、ディレクションとゲームデザインを担当させてもらいました。
 このコラムでは、『スクリューブレイカー』の制作を始める前になんとなく考えていたことや、実際に制作しながら考えたことなどを、お話ししていこうと思っています。そして、第1回目のテーマは「ドリルのドリルらしさとは?」です。
 今回、このゲームを作るにあたっていちばんやりたかったことは“ドリル感を追求する”ということでした。たとえば、これまでにもドリルが武器や道具として登場し、活躍するゲームはたくさん作られてきました。だけど、ちゃんと“ドリルらしさ”を感じさせてくれるゲームは、あまりなかったように思います。だから『スクリューブレイカー』では、ドリル感を再現することを最大の目標にしたんです。
その2「回転から生まれるドリル感」
2005.09.28
 これまでのドリルのゲームでは、ドリルが“先のとがった道具”として表現されているだけでした。ボタンを押すと、主人公が前方にドリルをつき出します。そのドリルに触れると岩がこわれたり、敵がやっつけられたりします。もちろん、それでもゲームとしては十分におもしろくできているでしょう。だけど、それではスコップやナイフをつき出しているのと同じで、あまりドリルっぽくはないんですね。
 現実にある工具としてのドリルが、どのように使われているのかを考えると、そのあたりのことが見えてきます。ドリルというのは「電気ドリル」というぐらいですから、電源を入れて“回転”させなければ役に立ちません。そう、何よりもまず回転することが、ドリルの命なのです。
『スクリューブレイカー』では、まずその部分をキチンと表現しようと考えました。ボタンを押すとドリルが回転し、その回転する力が相手(岩や壁や敵キャラクター)の体力を削っていきます。そして、相手の耐久力を越えたとき、岩や壁は破壊され、敵は倒される。それこそが、ドリル感のあるゲームじゃないかと思うんです。
その3「ドリルと主人公の関係」
2005.10.03
 このゲームの主人公は、どんな姿をしているのが理想的でしょうか?
 まず最初に思いついたのは、片腕にドリルを装着したスーパーヒーローの姿でした。ゲームフリークでは、以前にも、ヒーローが超人的能力を発揮するアクションゲームを作ったことがあるので、まずそんなことを思いついたんですね。でも、今回の場合、片腕がドリルというだけでは十分でないことに気がつきました。ボタンを押して、主人公がドリルアームをつき出して敵を撃破する。そのような仕組みでは、刀を振り回して攻撃するのとあまり変わらないからです。
 もっとこう、スイッチを入れてからギュン、ギュン、ギュンと回っていく感じを出したかった。そこで「ドリアップ」という、自動車やオートバイのようにギアをシフトアップしていく仕組みが生まれたんです。

 ドリアップの仕組みが見えてくると、それは武器を“使用する”のではなく、道具を“操縦する”感覚なのだということがわかってきました。言い換えればそれは、ドリルのついた乗り物なんですね。乗り物だったら、主人公は何もヒーローじゃなくていいということになります。むしろ、肉体的には弱い存在、たとえば小さな子供だったりしたほうが、インパクトが大きくなります。小さな女の子が、乗り物(=ドリル)をうまく操縦することで、自分の何倍もある巨大な敵を倒す。そんな光景が頭に浮かんだ瞬間、ドリルを使ったゲームのおもしろさが、はっきりと見えてきたのです。

 ではでは、第2回のコラムでお会いしましょう。ドリャア〜〜!
主人公キャラクターの初期イメージのひとつ