ゲームボーイ コロコロカービィ

● 開発者インタビュー


  ディレクター 鈴木利明さん
ゲームボーイに新しい遊びを発見
カービィ

応えてくれたのは…
  ディレクター 鈴木利明さん
  任天堂株式会社 製造本部 開発第二部

代表作
  『スーパーマリオブラザーズデラックス』(ゲームボーイ)



『コロコロカービィ』はどこから発想したんですか?

鈴木 僕が所属している開発二部はハードもソフトも作っている部署なんですよ。ゲームボーイカラーでなにか新しいソフトを作ろうということになりまして、せっかくハードウェアを作れる人たちもいますし、新しい遊びが提案できないかなと考えたのがそもそもの発端だったんですね。とにかく新しい入力とか、センサーがないかなあと探しているときに、たまたま加速度を検出するセンサーというのが見つかったんです。それで、じゃあちょっと実験しますといって、実験機を作ってもらったんです。

最初の実験機
最初の実験機

鈴木 今回、『コロコロカービィ』に使ったのは「動きセンサーカートリッジ」と呼んでいるものです。これはかなり高機能で、車のエアバッグに使われているものなんですよ。機能としては3Dスティックと同じような役割を果たしています。これを使って、まず最初に「おもしろゲームたまころくん」という玉ころがしのゲームを作ってみたんです。その感覚がおもしろかったんで、いけるんじゃないかと。


どれくらいの開発期間で作ったんですか?

鈴木 ハードとソフトを含めて1年間くらいですね。できたらこれで対戦とかもしたいなあと思って。最初の実験機だと対戦プレイするには処理速度が足りないというのがあって、そのへんを手作りの回路で作って改良型を作ってもらいました。これは2、3ヶ月後に作ったものですね。

2番目の実験機
2番目の実験機

鈴木 ずっと「たまころくん」で作ってたんですけど、「さるがころがったらおもしろいんじゃないか」と思って、このへんではさるをキャラクターに使っています。


(触ってみて)さっきより反応がよくなってますね。

鈴木 はい。そのあとにもうひとつ作りまして、そちらは手作りの回路の部分がIC化されているんですね。ここで中身を初めてカービィにしたんです。だいたい3ヶ月くらいのペースでひとつずつ実験機を作っていったんです。


カービィがコロコロころがるたまをころがすゲームというのは決まっていたんですか?

鈴木 ええ。ただ、最初はころがるだけではおもしろくないんで、キャラクターがたまのりをしているものを考えていたんです。それがカービィになって、コロコロころがるようになったんです。一番ウリにしたいところはやっぱり、ゲームボーイ自体がセンサーになっていて、こうやって傾けることで画面上のカービィが転がっていくところですよね。これは絶対携帯機でないとできないですし、ゲームボーイカラーになって液晶の発色がきれいになったことで実現した企画なんですよ。


たくさん試作機がありますけど、最後まで試作を作りつづけていたんですか?

鈴木 そうですね。僕は駆け出しのディレクターですので、ギリギリまで不安の連続でした。最初は「おもしろい!」と思うアイデアでも、煮詰めていくうちに「これではまだダメだ」という部分も出てきて。1ヶ月前でも、まだ完成品とは全然違う形だったんですよ。その最後の1ヶ月を粘らせてくれたのが、任天堂のスゴいところだなあと実感しましたけど。


どんな点が変わっていったんですか?

カービィ鈴木 カービィが転がって、Aボタンでポンポンと飛ぶ、というのは決まっていたんですけど、「なにか足りないなあ」とずっと言われていて。そこで、ゲームボーイをハネアゲるとジャンプする機能をつけたりとか、声をつけたりとか、バンパーにぶつかって壊せるようにしたりとか。ハードウェアとしての形態は初期の段階で固まっていたので、「あとはソフト次第だよ」とずっと周囲に言われ続けていました。ハードとしての印象はすごくよかったんですが、そのあとも続けてプレイしてもらうには、ソフトがおもしろくないといけないんですよ。開発期間のうち、半年くらいはゲームとしておもしろくするための作業でしたね。ソフトの目処がたたない事にはハードのメンバーは量産準備に入れないので、ずいぶんプレッシャーを感じてました。


例えば、「はねあげる」という動作をあとで付け加えても、簡単に組みこめるものなんですか?

鈴木 ええ。それがこのセンサーの優秀なところで、アナログ的な入力ができるんです。こうやってはねあげたりすると、遠心力を認知できるんですよ。
はねあげる1はねあげる2


ゲームボーイにこんな遊び方があったなんて、すごく新鮮ですね。

鈴木 本当に、そう言っていただけるとうれしいですね。たまころがしのゲームをひとつ作ったんで、センサーを使った別の遊びをミニゲームで入れてみたんで、それも楽しんで欲しいと思います。


触った人にならこの感動はわかるはず!

鈴木さん鈴木 そうなんですよ! この動きを言葉で説明するのが難しいんですよね。ゲームに関しては、いままでは、「ボタンを押す」とかいう動詞しかなかったと思うんです。それを、「手前にすばやく傾けてください」と説明しなくちゃいけない。本当に小さい子どもにわかるんだろうかということで、何度もモニターをして確認しましたね。でも、モニター結果では、小さな子どもがちゃんと遊んでいたので大丈夫かなあと。ゲームボーイの一億台突破で、またひとつ新しい遊びを提案できればうれしいと思っています。これが評価されたら、またセンサーを使った新しいゲームを考えてみたいですね。


最後に、みなさんにひとことお願いします。

鈴木 最近、ゲームをプレイしなくなった人でも、久々に最後のボスが倒せるゲームです。ゲームから離れていた人も、もう一度手に取ってみてください。




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