ロクヨン ゼルダの伝説 ムジュラの仮面

● 開発者インタビュー


  メインディレクター 青沼英二さん
遊べば遊ぶほど濃くなるゼルダ“外伝”
ムジュラの仮面

応えてくれたのは…
  メインディレクター 青沼英二さん
  任天堂株式会社 情報開発本部 制作部

代表作
  『マーヴェラス〜もうひとつの宝島〜』(スーパーファミコン)
  『ゼルダの伝説 時のオカリナ』(ニンテンドウ64)



『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』での青沼さんの役割を教えてください。

青沼 今回の作品では6名のディレクターがいるんですが、その中のメインのディレクターが私です。前回の『時のオカリナ』でゲームシステムディレクターを務めましたので、『ゼルダ』の世界観をよく知っているということで、全員をまとめる役割をしました。


青沼さんどういったお仕事をされたんですか?

青沼 今回のゲームでは、町の中のできごとと、ダンジョンをめぐるできごとと大きく2種類のステージがあります。
ゲーム的にはダンジョンをめぐるお話がメインになりますので、その部分を主に担当しています。


今回、怖いお話になったのはなぜですか?

青沼 外伝であるということで、少し現実から離れた世界を演出したいと思ったんですね。ストーリー的にも「月が落ちてくる、どうしよう」というお話なので、それをあらわすために、ちょっと不気味だったり、不可思議だったりする世界を作っています。


RPGということで、やはり最初にストーリーを作るんでしょうか。

青沼 ストーリーというのはゲーム中でどんな遊びをさせるのかということで変わっていくんですよ。そこで、まずはリンクやほかのキャラクターが動き回るフィールド=地形を考えます。山を作ろうとか、海を作ろうとか、そういう大きなくくりですね。フィールドがだいたい決まったところでデザイナーがグラフィックを作り始めるんですけど、あとでどんどん変更されていくものなので、かなり大ざっぱに作ってもらうんですね。その後、ゲーム内容が決まってきた段階で変更を加えていくという形ですね。


今回は3日間という限られた時間で謎を解かなければいけませんよね。

天文台のおじいちゃんとリンク青沼 そうですね。今回の『ムジュラ』は最初から制作期間が1年間と決まっていたんです。そこで、前回のように壮大なストーリーは無理だろうと。コンパクトな中に凝縮されたものを作ろうと思ったときに、同じ場所なんだけどそこでなんべんも違うことに出くわしたりするような、そんなことができないかなあと考えたのが発端なんです。それは、「時間」を元に戻すことで可能になりますよね。ただ、3日間の中で自分がどれだけのことができるのか?というのもゲームとしてはやってみたくて。そこで、3日間の制限をつけるという形に落着いたんです。


出てきたアイデアでボツになったものはありますか?

青沼 たくさんあって思い出せないですね。だいたい、奇をてらっていままでにないアイデアを反映させようとすると無理があったりします。プログラムを組んでからNGになることもありますし、紙の上でダメというのもありますね。みんなで作っているので、おもしろいと思うアイデアは紙に書いてバンバン張り出していくんですよ。それで、「これを使おう」というものをはがしていくんですけど、最終的にはいくつも残っていましたから、やっぱりゲームになったものの2倍くらいのアイデアは出ていますね。


チンクル 今回はキャラクターが個性的ですよね。チンクルとか……。

青沼 “風船を背中につけたヘンなキャラクターを作ってほしい”と言ったら、アートディレクターが描いてきたのがチンクルだったんです。逆にキャラクターがひとつ生まれると、そのキャラクターになにをさせようかということで、シナリオやセリフが変わることもあるんですよ。それは3Dの世界ならではのことですね。2Dのゲームの制作過程ではあまりなかったことです。


それはなぜですか。

青沼 3Dの場合は、等身大でキャラが出てきますよね。話をするしぐさひとつでまたちがうイメージができあがる。2Dの世界ではグラフィックの情報量が少ないですし、設定以上のイメージは出てこないんですよ。3Dの場合はどんどんイメージを拡張していけるというのが特徴ですよね。そのぶん、時間がかかってしまうんですけど。


みなさんでイメージをふくらませていく感じですか?

青沼 ええ。今回の『ムジュラ』はスタッフの思いでできあがっているといっても過言ではないですね。僕が知らない間にキャラクターが進化していることもあるんです。


それはOKなんですか?

青沼 みんながめざしているところは同じなんですよ。そこがハズれなければOKなんです。今回は宮本(茂)プロデューサーからもあまりNGが出なかったんですよ。それでも、発売されたあとには、反省会の連続でした。


発売後も反省会! 厳しいですね。
ユーザーの意見を専門のメールアドレスを設置して(zelda@nintendo.co.jp)受け付けていますよね。ああいった意見も参考にするのですか?


青沼さん青沼 ええ。発売されてからは、毎日その意見を見ながらの反省会ですね。「あれはこうだったよな」「ああだったよな」という。
みなさんからのメールは僕たちには大変ありがたいんです。前回の『時のオカリナ』のときの意見が、『ムジュラ』に反映されたりもしていますし。
なにかゼルダについて言いたいということがあれば、ぜひ投稿してください。必ずスタッフたちは目を通してますので。


ソフトをより楽しむためのコツはありますか。

青沼 街の中のできごとを通り過ぎていった人は、ダンジョン攻略が一段落したあとにもう一度プレイしてみてください。たっぷり遊んでもらえればエンディングも変わりますし、王道でないストーリーを楽しめると思います。街の中といえば、街でウロウロしている全部のキャラクターの3日間のスケジュールは決まっているんですよ。


え? 全員ですか?

青沼 そうなんです。一人を追いかけていると、ちゃんと時間とおりにお店に入ったり、また出ていったりするんです。今回、メモリー拡張パックが必要だったのは、実はそれをやっていたからなんですね。


それはすごい! ところで、青沼さんのお気に入りのシーンはありますか。

青沼 イカーナ村というところに幽霊を研究している博士がいて、その人がミイラにとりつかれているんですね。そこにパメラという娘がいまして、お父さんを助けてあげることで、パメラとお父さんが抱き合うシーンが見られます。そこは自分でもいいシーンだと思ってます。
デグナッツにされたリンクあとですね、最初にリンクがデグナッツにされるシーンがありますよね? そのシーンを、僕は夢にみてるんですよ。ちょうどお話を作っている最中で悩んでいるときに、僕がデグナッツに囲まれて「どうするんだよ!」って責められている夢をみたんです。「うわあ!」って起き上がったのを、家族もハッキリ覚えてると思います。
ある日、スタッフが作ったシネマシーンを見たら、僕が夢にみたのとそっくりなシーンが入ってたんですよ。夢の話は誰にもしていなかったのに……。偶然なんですけど、アレは怖かったですね〜。


わー、夏にピッタリの怖い話ですねー。
最後にユーザーのみなさんにひとことお願いします。


青沼 お父さん、お母さんも手助けしながら、家族みんなで謎解きを楽しんでください。




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